本源的な財源は「徴税権」である

MMTはゴキブリみたいなもので、つぶしてもつぶしてもTLに出てくる。それも同じ嘘を繰り返す。その一つが「税は財源ではない」という話で、田母神さんまで信じている。


まず単純な疑問として、税が財源ではないのなら、赤字国債が初めて発行された1961年まで、日本政府は何を財源にしていたのだろうか?

彼がいいたいのは、財政赤字を気にしないでバンバン国債を発行して防衛費を増やせということだが、そんなことをしたら財政赤字が増えて、インフレになる。そのときには増税すればいいというのがMMTのいいわけだが、トルコのように政府の信用が失われると、増税しても利上げしてもインフレは止まらない。

元祖MMTも「税が財源ではない」とは言っていない。レイは法定通貨を本源的な財源と考え、税は通貨供給によるインフレを調整するものだと書いているが、これは逆である。通貨は徴税権を担保にしているから有効なので、もし政府に徴税権がなかったら誰も国債は買わない。本源的な財源は通貨発行権ではなく徴税権なのだ。

以上で話は終わりだが、最近は「肩たたき券」というバージョンもある。これもあほらしい話だが、実は経済学にはこれを高度にしたバージョンがあり、それは一概には否定できない。


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減税ポピュリズムはインフレ率40%のトルコをめざす

このごろ国民民主党やれいわ新選組から財務省解体デモに至るまで、「減税は善」という思い込みが多い。立民党も消費税減税の勉強会を開いたが、減税そのものは善でも悪でもない。それは現在の税負担を将来世代に先送りする課税の延期にすぎない。


イスタンブール市長の拘束に抗議する反政府デモ(ロイター)

この先送りは、無限に続けることはできない。減税派は「自国通貨建て国債はデフォルトにならない」というが、これは都市伝説である。1998年にはロシアの国債がデフォルトになった。中南米では自国通貨建ての国債がデフォルトになるのは珍しくない。

逆に自国通貨を発行できないEU(欧州連合)では、フランスでもドイツでもデフォルトは起こらない。デフォルトは国家の債務整理だから自国通貨かどうかとは関係なく、問題は政府の信用なのだ。

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石破商品券はポケットマネーではなく「官房機密費」の疑いが強い

石破首相が新人議員15人に渡した10万円の商品券は「ポケットマネーから出した」と説明しているが、その証拠はない。同様に10万円の商品券を政務官30人に配った事例が岸田内閣でもあり、これは官房機密費から支出された疑いが強い。



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言語に「語る主体」は存在するのか

欲動 (弘文堂思想選書)
「AIは意味を理解していない」と書くと「意味なんか理解しなくてもいい」というコメントがよくある。これはある意味では正しい。英文和訳のような単純作業では、言葉を置き換えればいいので、意味を理解する必要ない。大規模言語モデル(LLM)は、もともと翻訳のために開発されたものだ。

しかしGPTは「私の悩みを解決してほしい」といった主観的な質問に答えるのは苦手だ。その意味がわからないからだ。私がどういう人物か知らないと、その悩みにも答えられない。LLMは既存の言葉を組み合わせるだけなので、そこでは意味は文脈の集合にすぎない。

記号(シニフィアン)と意味(シニフィエ)の関係は、アウグスティヌス以来、人類の謎である。19世紀までの言語学は言葉を「物の名前」と考え、その目録をつくった。ソシュールはそれを否定し、意味は実体ではなく他のシニフィアンとの差異であり、その関係は恣意的だと考えた。

だがそこでも言語は意識の産物であり、意味を生み出すのは「社会の慣習」だった。丸山圭三郎は、ソシュールの「言語論的転回」はプラトン以来の本質主義を否定するようでいながら、言語にラング(言語体系)という本質を想定していたと批判する。そこには「語る主体」が意味を生み出すという意識中心主義があった。

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石破商品券は新人議員を拘束して名誉を得る「ポトラッチ」

石破首相の商品券が問題になっているが、「みんな普通にやっている」という話もあり、岸田前首相も否定していないからやったのだろう。一般人の感覚では、初対面の人と会う前に10万円の商品券(現金と同じ)を渡す感覚は理解できないが、この背景には意外に根深い自民党の体質がある。



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GPTは「フレーム問題」を解いたのか?

4月4日からのアゴラセミナー「AIは世界を変えるか」の重要なテーマはフレーム問題である。これは半世紀以上前に定式化され、その後も多くの研究者がチャレンジしたが、いまだに解けない難問である。チャットGPTはこれを解いたのだろうか。きいてみた。

フレーム問題とは何か?

フレーム問題は、1969年にマッカーシーとヘイズによって提起された。彼らは、AIがある行動をとった際に、どの情報を更新し、どの情報を無視すべきかを適切に判断することが困難であることを指摘した。

フレーム問題の具体例:ロボットが爆弾が仕掛けられている部屋から貴重な美術品を取り出してこなければならない。ロボットは台車を押して美術品をとってきたが,不幸なことに爆弾は台車にしかけられていたので,ロボットは爆発に巻き込まれてしまった。

frameproblem1そこでこの問題を改良したロボットが美術品を取り出しに部屋に再び向かったが、
  • 台車を動かしたら天井は落ちてこないか?
  • 部屋の電気は消えないか?
  • 壁に穴があかないか?
…と考えているうちに爆弾が爆発してしまった。このようにすべての状況変化を考慮しなければならない場合、AIは無限に計算し続けることになり、実際に行動を起こせなくなる。このような問題がフレーム問題であり、現在のAIにおいても本質的な課題として残っている。

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不気味な財務省解体デモは「日比谷焼き討ち事件」に似ている

3月14日は、話題の「財務省解体デモ」のいろいろなグループが集合する日だったが、この不気味なデモには謎が多い。
@worldsupertrivia #財務省 #財務省デモ #財務省解体 #税金 ♬ オリジナル楽曲 - 政治と芸能

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ことばの意味を計算するしくみ

ことばの意味を計算するしくみ 計算言語学と自然言語処理の基礎 (KS情報科学専門書)
4月4日からアゴラセミナー「AIは世界を変えるか」がスタートするが、これはAIのプログラミング講座ではなく、ハウツーものでもない。テーマは言語の本質である。

チャットGPTで使われている大規模言語モデル(LLM)は、言語学が70年以上かかって解けなかった謎をコンピュータが解いた画期的なイノベーションだ。その謎とは、人間は言葉の意味をどうやって知るのかという問題である。たとえば

 Time flies like an arrow.

という言葉を初期のAIは「時蠅は矢を好む」と訳した。これが間違いであることを証明するには「時蠅」という蠅がいないことを示す必要があるが、それはコンピュータにはできない。もしそういう蠅がいたら、likeは前置詞ではなく動詞になり、文の構造が変わってしまう。

こういう曖昧さを解決するため、意味論と文法理論(統辞論)を区別する伝統的な言語学に対して、両者を統一的に説明する多くの理論が提案された。その代表がモンタギュー意味論である。これは上の文を

 T(x)→F(x)∧L(x)

のような記号論理で表現するものだ。ここでT(x)は時間を示し、F(x)は「飛ぶ」、L(x)は「似ている」という動作で、∧は積集合である。こういう表現で曖昧さをなくせば、意味論も機械的に処理できると思われたが、そこには落とし穴があった。

続きは3月17日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

アゴラセミナー「AIは世界を変えるか」

2022年11月に発表されたチャットGPTは、世界に大きな反響を呼びました。従来は画像処理や音声認識などの特殊な仕事に使われていたAI(人工知能)が言葉を理解し、どんな質問にも答えられるようになったからです。そのユーザーは4億人を超え、世界は生成AIで大きく変わろうとしています。

ITの社会的影響は今まで論じ尽くされていますが、自然言語処理はその限界でした。コンピュータが人間を超えるシンギュラリティはSFの世界で、機械が人間と同じレベルになるのは2060年ごろともいわれていましたが、GPTはそれを一挙に実現したようにみえます。

しかしそのしくみは、人間の脳の処理とはまったく異なるものです。GPTは大規模言語モデル(LLM)という技術でインターネットから膨大なデータを集めて人間の言葉をまねているだけで、言葉の意味は理解していません。

ただ文書作成の能力は人間よりはるかに高く、そういう事務労働はホワイトカラーの仕事の大部分を占めます。公務員や銀行員、あるいは弁護士や会計士などの文書作成業務は生成AIで代替できるでしょう。

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トランプの関税戦争を指南するスティーブン・ミランの支離滅裂な理論

トランプ米大統領の関税引き上げに対抗して、カナダやEUが報復関税を発表しました。まるで100年前のような関税戦争が始まりましたが、トランプは何を考えているのでしょうか。その鍵を握るのが、スティーブン・ミランという謎の人物です。

Q. トランプの関税引き上げの目的は何ですか?

トランプ大統領は就任初日に「アメリカ第一主義の通商政策」を発表し、関係閣僚に対して不公正貿易慣行の是正や貿易赤字の削減に向けた具体的な施策の検討を指示しました。

2025年3月12日からは、1962年通商拡大法232条にもとづき、鉄鋼製品に25%、アルミ製品に10%の追加関税を課す措置を実行に移しました。 彼が関税引き上げを打ち出す目的は、多岐にわたりますが、主な狙いは以下のとおりです。
  1. 国内製造業の活性化:輸入品に関税を課すことで、国内製品の競争力を高め、特に自動車産業などの製造業の復活を促進する

  2. 貿易不均衡の是正:関税引き上げとドル安政策を組み合わせ、国際貿易のバランスを取り戻す

  3. 国家安全保障の強化:関税を通じて半導体などの重要産業を保護し、国家安全保障を確保する

  4. 政府歳入の増加と財政赤字の削減:関税収入を増やすことで、連邦予算の均衡化や財政赤字の削減を図る
しかしこれらの関税政策には、物価上昇や貿易相手国からの報復関税といったリスクがあります。

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