世界内戦という概念をシュミットとほぼ同時に構想したのが、アーレントだった。彼女は『革命について』の序章で「戦争の多くは正規軍の衝突ではなく、ゲリラ的な革命や内戦として始まる。第2次大戦でさえ大部分は内戦のようなものだった」と書いている。
本書は内戦の概念を古代ギリシャからホッブズまでたどったものだが、おもしろいのはホッブズの『リヴァイアサン』と彼の晩年の『ビヒモス』の関係だ。後者はほとんど知られていないが、17世紀のイギリスの内戦の記録である。前者はそれを収拾する国家=公共体(commonwealth)の構想を書いたもので、ホッブズは民主制を明確に否定している。
これが彼が「王党派のイデオローグ」と批判された所以だが、王政を打倒したピューリタン革命はクロムウェルという独裁者を生み出した。君主制の対義語は共和制だが、それは民主的とは限らないのだ。ホッブズは群衆(multitude)は国家の構成要素ではあっても、主権者として国家を統治する国民(nation)にはなりえず、意思決定は君主が行なうべきだと考えた。
続きは5月16日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。
本書は内戦の概念を古代ギリシャからホッブズまでたどったものだが、おもしろいのはホッブズの『リヴァイアサン』と彼の晩年の『ビヒモス』の関係だ。後者はほとんど知られていないが、17世紀のイギリスの内戦の記録である。前者はそれを収拾する国家=公共体(commonwealth)の構想を書いたもので、ホッブズは民主制を明確に否定している。
これが彼が「王党派のイデオローグ」と批判された所以だが、王政を打倒したピューリタン革命はクロムウェルという独裁者を生み出した。君主制の対義語は共和制だが、それは民主的とは限らないのだ。ホッブズは群衆(multitude)は国家の構成要素ではあっても、主権者として国家を統治する国民(nation)にはなりえず、意思決定は君主が行なうべきだと考えた。
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