昨年8月から私が指摘してきた東電のスマートメーター問題が、ようやく動き始めた。河野太郎氏も言うように、
値上げの影に隠された東京電力の罪、スマートメーター問題で、自民党エネルギー政策議連で経産大臣にアポイントを申し込む。これも開いた口がふさがらない大きな問題だ。
私も、ここまでひどい仕様が出てくるとは思わなかった。JBpressで問題にしたときはスマートメーター制度検討会でまとまった仕様でメーターの標準化が決まらないことを批判したが、実際に東電の「国際入札」で出てきたのは、検針のおばさんの代わりに電力使用量を東電に送信するだけの「ダム・メーター」で、通信網とも家電ともつながらない。

検討会のメンバーである村上憲郎氏も指摘するように、これは意図的に拡張性をなくして地域独占を維持するだけではなく、東電がスマメを中心とする今後のエネルギーの情報化を独占しようとするものだ。しかもあきれたことに、30分おきの検針情報を送信するだけのために1000億円を投じて光ファイバー網を建設するという。

アゴラで松本徹三氏も怒っているが、これは順序が違う。東電は実質的に経営が破綻して公的資金が投入され、会長も交代することが予定されている。このような「禁治産者」状態の企業が、新体制の決まる直前に地域独占型のメーターを設置するのは、国有化の前に駆け込みで既得権を守る伏線を張っているとしか考えられない。

これは技術的な問題にみえるかもしれないが、スマメは家電を制御する物のインターネットの要となる重要な機器である。先週の記事でも書いたようにIPベースの国際標準も決まり、欧米では配備が始まっている。そんな時代に「TCP/IPプロトコルは非実装」と宣言するメーターが2700万台も配備されることは、何としても阻止しなければならない。

東電は4月20日〆切でパブリックコメントを募集しているが、アゴラ研究所では専門家と企業による「スマートメーター研究会」をつくってこの問題を考える。ご支援いただける企業があれば、事務局にご連絡ください。