学生と話していて違和感を感じるのは、彼らの生活にケータイが圧倒的な影響を与えていることだ。『ネオ・デジタルネイティブの誕生』は電通の行なった実態調査だが、若者の実態を世代論の図式で無理に分類している。他方で『近頃の若者はなぜダメなのか』は博報堂の調査だが、おじさんの視点で若者を一方的に断罪する。どちらも分析が混乱していて、本質的な変化がわかりにくい。もう広告代理店もモバイル世代に追いついていないようだ。
どちらにも共通するのは、若者にとって主要なメディアはインターネット=ケータイであり、PCやテレビは副次的なメディアになっているという指摘だ。ケータイは単に情報を「見る」端末ではなく、「書く」端末になっており、レポートや卒論までケータイで書く。ケータイの利用時間の半分以上は自宅で、PCはケータイで書いた文章を広い画面で確認する端末にすぎない。
ケータイは人間関係にも強い影響を与えており、人づきあいが苦手な「草食系」の若者が増えている。「人と会って話すよりメールでやり取りするほうが楽だ」という答が大人の2倍以上で、「他人が自分をどう見ているかが気になる」という答が70%にのぼる。「空気を読む」傾向は日本人の特徴だといわれるが、直接のつきあいが減った分、ケータイによる情報交換が濃密になり、他人志向はむしろ大人より強まっている。
政治には関心がなく、身の回りの出来事しか話題にならないとか、将来のことを考えないで刹那的に行動するといった指摘は共通だが、博報堂は若者が「新村社会」に閉じこもって知らない人を排除する傾向が強まっているとするのに対して、電通はSNSやツイッターなどで未知の人とつきあう若者も増えているとする。「ひきこもり」的な傾向があることは間違いないが、それとは逆の傾向もあるようだ。
新聞などの旧メディアにはまったく関心がないが、「活字離れ」は嘘で、毎日平均100通ぐらいのメールを読み書きし、膨大なテキスト情報を処理している。テレビの影響は意外に強いが、それは番組を見るためというより「ケータイで通信するとき話をあわせる」ツールで、すべてのメディアがケータイに従属している。動画はツールなので、光ファイバーやHDTVのような高画質メディアにはまったく関心がない。自宅でさえ、親は地デジの「デジタルハイビジョン」を見ているが、子供はケータイでYouTubeを見ている。
要するにケータイが身体の一部になり、コミュニティのコアになりつつあるのだろう。だから重要なのはビットレートや画質ではなく、自分の一部としていつでもどこでも安くつながる自由度である。この点では日本は世界の最先端を行っているので、iPadのアプリケーションでも欧米より進んだものが出てくるかもしれない。彼らにとって固定回線は(DSLだろうとFTTHだろうと)無意味な土管であり、「光の道」を拡幅することより帯域と基地局を増やして「電波の道」を使いやすくすることが最優先である。
ケータイは人間関係にも強い影響を与えており、人づきあいが苦手な「草食系」の若者が増えている。「人と会って話すよりメールでやり取りするほうが楽だ」という答が大人の2倍以上で、「他人が自分をどう見ているかが気になる」という答が70%にのぼる。「空気を読む」傾向は日本人の特徴だといわれるが、直接のつきあいが減った分、ケータイによる情報交換が濃密になり、他人志向はむしろ大人より強まっている。
政治には関心がなく、身の回りの出来事しか話題にならないとか、将来のことを考えないで刹那的に行動するといった指摘は共通だが、博報堂は若者が「新村社会」に閉じこもって知らない人を排除する傾向が強まっているとするのに対して、電通はSNSやツイッターなどで未知の人とつきあう若者も増えているとする。「ひきこもり」的な傾向があることは間違いないが、それとは逆の傾向もあるようだ。
新聞などの旧メディアにはまったく関心がないが、「活字離れ」は嘘で、毎日平均100通ぐらいのメールを読み書きし、膨大なテキスト情報を処理している。テレビの影響は意外に強いが、それは番組を見るためというより「ケータイで通信するとき話をあわせる」ツールで、すべてのメディアがケータイに従属している。動画はツールなので、光ファイバーやHDTVのような高画質メディアにはまったく関心がない。自宅でさえ、親は地デジの「デジタルハイビジョン」を見ているが、子供はケータイでYouTubeを見ている。
要するにケータイが身体の一部になり、コミュニティのコアになりつつあるのだろう。だから重要なのはビットレートや画質ではなく、自分の一部としていつでもどこでも安くつながる自由度である。この点では日本は世界の最先端を行っているので、iPadのアプリケーションでも欧米より進んだものが出てくるかもしれない。彼らにとって固定回線は(DSLだろうとFTTHだろうと)無意味な土管であり、「光の道」を拡幅することより帯域と基地局を増やして「電波の道」を使いやすくすることが最優先である。