イントゥ・ザ・ワイルド


監督:ショーン・ペン

原作は、アラスカの荒野へと旅した青年、クリストファー・マキャンドレスの実話をジョン・クラカワーが小説化したもの。
大学卒業と同時に、誰にも行き先を告げずに旅に出た彼は、アレクサンダー・スーパートランプ*1と名乗り、「究極の自由」を求め、さまざまな人に出会いながらやがてアラスカの荒野へと目的を定めるようになる。映画は、そのアラスカでの暮らしを軸に、彼がここにたどり着くまでを振り返る構成になっている。
物に溢れた暮らしを否定し、紙幣を焼き、自分を縛る人々から離れ、彼は孤独の中で「生きている実感」を得ようとする。彼の思いが真摯だからこそ、自然の中に立つ彼の姿が魅力的だからこそ、見ている間中、私はどこか居心地の悪い気持ちがしていた。
例えば私が彼と向かい合ったとしても、言葉は届かないだろう。そのことに愕然とするけれど、最後まで見て、それは自分で見つけないと意味にならないんだなと思った。そして彼はそれを「人」から見つけようとはしてなかった、ということなんだろうな。
それでも彼がたどり着いた結論には希望があって、ただ、そのタイミングが決定的にずれてしまったことがすごく悲しい。ラスト近く、座り込んだ父親の姿にはすっかりうちひしがれてしまいました。
彼を意味づけするのではなく、彼に寄り添う視線がすばらしい映画だったと思います。
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この映画は Dirk_Diggler さんの感想(http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/./Dirk_Diggler/20080918/p1)がきっかけで見に行きました。感謝!

*1:トランプとは放浪者という意味らしい