過去200年における”Library”の趨勢、及び"Library Science"から"Library and Information Science"への転換はいつ行われたのか/Google Ngram Viewerを利用して


Googleの“Google Books Ngram Viewer”というサービスがあります。このサービスについて説明した動画が面白かったので、1800年から2000年における図書館についても調べてみました。

  

“Google Books Ngram Viewer”とは

“Google Books Ngram Viewer”については、カレントアウェアネスが詳しく紹介してくれています。

2010年12月16日、米国のGoogleが、Google Labs内に“Google Books Ngram Viewer”というツールを公開したようです。Googleの説明によると、この“Google Books Ngram Viewer”は、Googleによる図書のデジタル化によって得られた一部のデータを基に、ある単語や文章が、1500年から2008年までの資料にどのように表れていたかをグラフで確認することができるものとのことです。提供されているデータセットは、中国語、英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、そしてスペイン語の520万タイトルの資料から、5000億の単語を集積したコーパスに基づくものとのことで、データセット自体もダウンロードすることが可能のようです。
Google、デジタル化した資料に検索語がどのように表れるかをグラフ化するツール“Google Books Ngram Viewer”を公開 | カレントアウェアネス・ポータル

  

"Library"の趨勢

まず手始めに、そのままの”Library”という単語で調べてみました。その結果が以下の図です。1980年代から徐々に使われつつも、山なりになったあと、近年は利用が減少しています。
  
graph1
  
この山を拡大してみると、1975年ごろにピークを迎え、以降"Library"という単語が図書の中で使われなくなっているようです。
  
graph5
  

"Library Science"から"Library and Information Science"への転換はいつ行われたのか

もう一つ、"Library Science"から"Library and Information Science"への転換ということで、2つの単語の出現頻度を比較してみました。
  
graph3
  
グラフから、ある一時期に"Library and Information Science"が"Library Science"を上回っていることが分かります。この転換部分を拡大してみてみましょう。
  
graph4
  
転換は1996年に生じています。マイクロソフトがWindows95を発売したのが1995年ですから、コンピューターが一般に普及するにつれ、"Library Science"から"Library and Information Science"への転換が生じたのではないでしょうか。しかしどちらも、近年はその利用頻度が減少しています。研究分野として"Library and Information Science"が衰退傾向にあるということでしょうか。

あまりにも割合の差が大きくてグラフ上で比較出来なかったのですが、”Library Science”と”Library”のピークは類似しているように思われます。Libraryへの社会的注目が高まると同時に、Library Scienceも注目されるようになった、逆に言えば、近年の衰退はLibraryそのものが注目されなくなったためとも考えられます。
Libraryの出現頻度のグラフを、アメリカの図書館数や貸出冊数、利用者数、図書館予算、出版点数、市場、国家の財政などと比較してみると面白いと思います。またいつか時間があれば。