香港は「一国二制度」の国際公約を反故にされ、自由を奪われました。その悲劇が、台湾、沖縄へと連鎖しようとしているのです。中国は台湾に軍事的威嚇を続け、台湾はかつてない危機にあります。日本は大切な友人である台湾を断固として守ると決意しなければなりません。

現在の国際社会について、バイデン米大統領は「民主主義国家vs.専制国家」の戦いと捉えていますが、それでは中国の暴走を止めることはできません。「信仰ある国家vs.無神論国家」という見方で捉え、信仰を理解するロシアを対中包囲網に参加させる戦略が必要です。

ウクライナ戦争の停戦に向けた仲介を

ロシア-ウクライナ戦争は、長期化の様相を呈しています（2022年5月末現在）。日本は、欧米諸国の方針に追随し、防弾チョッキなどの供与でウクライナを支援する一方、ロシアに対しては一連の制裁を実施しています。以降、ロシアは北海道周辺で不穏な動きを続けており、この流れと軌を一にし、北朝鮮もミサイル発射を繰り返しています。

日本にとって最大の脅威は唯物論・無神論国家の中国です。中国、ロシア、北朝鮮と同時に対峙する「三正面作戦」を回避し、中国を封じ込めるためにも、日本は独自外交を展開してロシアとの友好の道を残しておかなければなりません。

ロシアが特殊作戦を敢行したのは、重要な緩衝地帯であるウクライナがNATOに加盟すれば、ロシアにとって国家存続の危機となるからです。日本は日米同盟を堅持しながらも、ロシアの立場を理解して欧米との橋渡しをし、停戦に向けた仲介を行うべきです。真の平和を実現するには、「世界的正義」を見失ってはなりません。

中国や北朝鮮による極超音速ミサイルの開発で、従来の“ミサイルでミサイルを撃ち落とす”という体制だけでは、日本を守り切れなくなりつつあります。日本は独立国として、いわゆる「吉田ドクトリン」、軽武装・経済優先の国家方針を転換し、国民の生命・安全・財産を守るための体制整備を急がねばなりません。

日本は戦後長らく「自虐史観」「反省史観」にとらわれ、改憲や国防強化にブレーキをかけてきました。これを払拭して「武士道精神」を取り戻し、日本のみならず、大国として世界の平和に責任を持つ必要があります。

今の財政に決定的に欠けているのがマネジメントの思想です。目先の税収だけを増やそうとして増税しても、経済が萎縮して結果として税収は増えません。無駄な歳出はなくしていきながら、国家の“サバイバル”や経済繁栄につながる分野への投資は行う、メリハリのある財政運営が必要です。

政府予算の最大の歳出項目は社会保障関係費です。年金、医療、介護は「保険料」を徴収しているので、本来は保険料の範囲内でやりくりすべきですが、保険料負担に加え、多額の税金が投じられています。

特に制度の歪みが顕著に表れているのが年金です。高齢者を現役世代で支える「賦課方式」という制度が採用されているため、若い世代に税金・保険料負担が重くのしかかり、若い世代になればなるほど、「払い損」となる傾向が強くなっています。

また、少子高齢化が進むなか、医療や介護の費用も年々増加しています。

社会保障に無制限に公金を投じる流れには、どこかで歯止めをかけなくてはいけません。

MMTは亡国への道

日本の政府債務は現在、国と地方合わせて1200兆円を超えています。これ以上債務を増やせば、いずれ財政破綻は避けられません。これに対し、「自国通貨を発行できる国は、過度なインフレが起きるまで、いくらでも国債発行できる」というMMT（現代貨幣理論）の代表的な主張に基づいて、積極財政を主張する学者や政治家が出てきています。 この理論の間違いを三点述べます。

（ ⅰ ）お金の価値低下で経済は大混乱へ

一つは、お金を刷り続ければいずれ必ず価値が下がり、国民生活は大混乱に陥ります。MMT論者は「インフレの兆候が出てきたら歳出カットや増税をすればいい」と言いますが、政府による歳出に慣れた世論に抗い、インフレを急に止めることは困難です。

（（ ⅱ ）大きな政府に道を開く

多額の歳出が可能になれば政府の力は肥大化し、「勤勉の精神」を失った「放蕩息子」のごとき国民を養成することになります。「小さな政府」と「安い税金」は、国民の自由を守るうえで大切なポイントと言えます。

（（ ⅲ ）富の本質を見失っている

「富は智慧と汗の結晶」です。MMT論者は「政府の債務は国民の資産」と言いますが、債務はそれ以上の付加価値を生み出して返済することが原則です。価値を生み出せないのに通貨を増やせばお金の価値は下がります。政府主導の「偽金づくりの経済学」と言えます。

このようにMMTは付加価値を生み出そうというマインドを失わせ、国家の繁栄と存続を危うくする麻薬のような理論なのです。

雇用は経済の生命線であり、その確保は政府の重要な責務の一つです。製造業の国内回帰を積極的に進めて地方にも雇用を確保すると共に、企業活動の足かせとなっている環境や雇用などの規制を緩和し、企業が自由に仕事を拡大できるようにすべきです。

「資本主義の精神」は勤勉の精神から成り立っており、富は智慧と汗の結晶と言えます。日本経済の復活に向け、給付に期待する風潮を払拭すると共に、努力の意味と喜びを教える教育を推進します。

脱炭素を前提とした「エネルギー基本計画」などによって、再エネ優先による火力発電の撤退、液化天然ガス（LNG）への過度の依存が進み、電力の安定供給を脆弱にしています。再エネ偏重政策はメガソーラーの乱開発を進め、深刻な自然破壊を引き起こしています。再エネ偏重を見直し、電力の安定供給を実現します。

脱炭素は、日本の供給網（サプライチェーン）の中国依存度の高さを浮き彫りにしました。太陽光パネルのほとんどは中国製で強制労働やサイバー攻撃のリスクも指摘されています。電動車などに必要なレアアースやリチウムイオン電池も中国依存度が高く、これを早急に見直して国内回帰を進め経済安全保障のリスクを軽減します。