南極の図書館

ペンギンが寝ていた…。

悲鳴と嘔吐と技術記事

最近話題になっているこちら。
普通の女子大生は、Google+で「日本一」になんかなっちゃいない。 - 真性引き篭もり
私はきっと、この方の文章を初めて読んだのだと思う。
第一印象は、ああ、これはすごいなぁと。明らかに「本物」なのに、今まで見つけられなかったのはなんでだろう?と思った。
こういうパワーのある記事は私はとても好きなのだ。


その後、各所の反応を見ていると久しぶりの記事だったらしい。なるほど。
で、その反応というのがまたすごい方々の、すごい内容だった。
件の記事そのものについてというよりも、そもそも書くとはどういうことかという話になっている。いくつか引用させていただく。


はてなダイアリー

長い? そりゃときどきは長いでしょうよ。つーか長いとか短いとかどうでもいいのよ。

スカスカ? 違うよ。趣旨がどうとかいう問題じゃないの。俺らは真性さんがロックしてる現場でその歌声を聞いてりゃいいのよ。

マジキチ? あたりまえだろうが。狂ってナンボっすよ。絶叫なんざ悲鳴でありゃあるほどかっこいいんすよ。まともな言葉なんざいらねえよ。


「ネットの片隅に咲くドクダミの花の匂い」 - シロクマの屑籠

ここまで人事のように書いてきたが、この“シロクマの屑籠”なるblogも、ある程度まで日向に適応してしまった、と思う。昔は「嘔吐」などと称し、情念丸出しの文章を、見境無く連投していたように思うが、最近はそういうことをあまりしない


この悲鳴とか嘔吐というのは、つまりパワーであって、そしてブログの価値とは純粋にそのパワーであると思う。
呪詛でも金(カネ)でも、きっかけはなんでもいいが、その溢れるパワーが重要であって、知性やら理論なんてのは必要無い。


ただ、そういうパワーをぶん投げ続けられる人というのは本当に一握り。ブロガーの上澄みの1%をすくい、更にそこから1%をすくうほどの割合。
だから私は、「書ける人は書ける人、書けない人は書けない人、はい終わり。」とずっと思っていたし、今回も自分でそう結論づけて終わろうとしていた。



それなのに今回このエントリを書いておこうと思ったのは、パワーをぶん投げ続けられないことに対する的確すぎる理由を見つけてしまったから。
私の考えてることはそう、まさにこれだよ。と言いたくなるほどピンポイントに。
こういう思いをもって、人は叫ばなくなり、吐かなくなる。


1996年、「僕達のインターネット」を指咥えて見ていた小学生の話 あるいは「真性引きこもり」という現代に生きながらえる呪詛について - mizchi's blog

2009年頃、「ミームの死骸」のはっしゅさんに煽られてブログを書き始めたのだが、僕は半角さんほど、世界にも、インターネットにも絶望出来なかったようで、粘着の相手するのに疲れて、無難な技術記事ばかり書くようになってしまった。技術記事は誰も不幸にしないので良い。


「技術記事は誰も不幸にしないので良い。」


そう、技術記事は誰も不幸にしない。
逆に言うと、パワーのある文章は誰かを不幸にする。というか、実際のところは『不幸になりたがっている人』がここぞとばかりに突っかかってくる。
私も15年ほど前、バカな高校生の頃からテキストサイトを作ってうだうだ顰蹙を買う文章を書いていたり、暇な大学時代にネットゲームをやって廃人を煽ったりしていたわけだが、結論としては上記のとおり「誰も不幸にしない記事」を書きたいと思うようになった。それも匿名で。


ちなみに、高校時代にやっていたテキストサイトは、半年ほど書いた頃、何故か同じ高校の女の子に見つかった。
15年ほど前なので、PCを持っている高校生というのはわりかしレアで(特に私の周りでは)、しかも無名のテキストサイト、もちろんリアルについてはぼかして書いていたのだが、ある日突然メールが来たのだ。


「◯◯高校ですよね?私もそうです。良ければメール下さい。」


なんのホラーかと思った。
1時間以内にサーバの中身を全部消した。


404 Not Found.


しかし安心はできない。今の時代と比べるほどではないが、データを取られていたらそもそも終わりである。しかたなく連絡を取ることにした。友好的に。
結局、なんら悪い人ではなく(むしろとても良い人だった)「メル友」として半年くらいメールをする仲になった。
同じ学年だが全く面識のない、元気な女の子だった。会話は数えるほどしかしなかったと思う。あまり覚えてない。


その後、大学のときにネトゲで廃人を煽ったときはそれよりも怖い目にあったわけだが、今回は割愛する。
ネット上に何か書いている人というのは、こんな風にいろいろなことがあって「誰も不幸にしないであろう記事」を書くようになっていくのだと思う。


考えてみると、バッファローマンくらいの超人強度がありそうなid:nakamurabashiさんも一時期「いろいろあって慌ててヤバい記事を消している」ようなことを書いていたことがあった。
私は「え、今さら?」と思ったが、そういうものなのだろう。