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あべ・やすし。最近は ツイッターばー かきょーる。

「みなし再入国」制度は詐欺の手口だ(追記しました)。

 日本で生活している外国籍の人が日本から出国するとき、「再入国許可」を とらないと、それまでの在留資格をうしなってしまうという問題があります。そして、その再入国許可というのは、お金をはらって、地元の地方入管(住居地を管轄する地方入国管理官署)で申請をとる必要があるという問題がありました(参考:法務省:再入国許可申請)。


 2012年の改訂入管法で法務省は「みなし再入国」制度をはじめました。法務省は「便利になりました!」とアピールしていました。


 法務省は、朝鮮籍の人は法務省が「有効」とみなすパスポートを もっていないといって、この みなし再入国制度を 利用させていません。この問題は、よく しられています。


 今回 紹介するのは、みなし再入国制度の もうひとつの問題です。いまになって紹介するのは、わたしの不勉強によるものです。反省します。



金朋央(きむ・ぷんあん)「特別永住者にとっての新在留管理制度」外国人人権法連絡会編『日本における外国人・民族的マイノリティ人権白書 2013年』9ページ。


見出し「「みなし再入国許可」に潜んでいた落とし穴」の部分。


 これまでの「再入国許可」は上限5年、特別永住者は6年というものでした。あたらしい「みなし再入国」制度では出入国カードの「みなし再入国を希望する」という欄にチェックすることで、みなし再入国の許可をうける。
 問題は、つぎの点です。金さんの説明によると、

ところが、本来の再入国許可(上限5年/特別永住者は6年)を受けた人がこの欄にチェックしてしまうと、みなし再入国として扱われ、再入国の期限は「みなし」に適用される期間内(1年以内か在留期限の短いほう/特別永住者は2年)とされる。その説明は、事前の広報でも、現在の空港出国カウンターでも全くなされていない。
 所定の再入国期限までに日本に戻って来られなかった場合は、日本出国前の在留資格を失い新規入国者扱いとなる。特別永住者も例外ではない。今回のみなし再入国は、便利になった反面、制度を熟知していないと在留資格を失うほどの危険性も孕んでいたのである。実際にみなし再入国が原因で在留資格を失うという由々しき事態が既に複数報告されている*1。

ということです。これが、国が法にもとづいてやることでしょうか。こんなのは、詐欺の手口ではないでしょうか。


 じっさい、法務省だより あかれんが Vol.39というページの「みなし再入国許可」の説明部分を みても、従来どおり再入国許可を申請した人は「出入国カード」の欄にチェックを入れてはいけないということは、かいていない。


 ウェブを 検索してみると、http://www.shon.jp/blog/archives/687というページで この問題を 指摘しているのが確認できた。だが、これは民間の法律関係者が注意をよびかけるだけでは不十分なはずである。そもそも、このような「落とし穴」を つくることが まちがっている。


 きちんと説明しないで、書類上の不備を 根拠に、日本に生活基盤がある人に対して、あなたには これまでの在留資格を みとめないという。そんなことは ゆるせない。
 あたりまえのことでしょう。



 そもそも、法務省に「出入国管理」という視点しかないことが おかしいのです。権利として規定するべきことを、「在留資格」などという ことばで規定しているのが おかしいのです。生活者のための人権政策が必要です。


 人間を ひもで くくりつけるのは、いいかげんにしろ!


関連記事:

*1:追記:著者に確認したところ、この「複数報告されている」というのは、従来の再入国許可を事前にとっていた人ではないということです。みなし再入国をするつもりが、欄にチェックしていなかったということです。このことで「在留資格を失う事例が後を断たない」と報告されています『日本における外国人・民族的マイノリティ人権白書 2013年』4ページ(旗手明(はたて・あきら))。法務省の設計上の不備であり、「カードの様式や手続の改善が必要だ」(同:4ページ)と、わたしも おもいます。