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本の森をさまよう

本の森をさまよう_a0023387_1711436.jpg卒業生なら母校の大学図書館を利用できることは知っていたが、お目当ての資料があるかどうかわからないのに、わざわざそれを探しに行く気はしなかった。ところが、今やネットでその蔵書が簡単に検索できるようになって、いろいろ調べてみると見たいものがずいぶんある。
入学試験の季節も終わって図書館が全面的に再開されるようになったのを機に、昨日、卒業以来初めて大学図書館に行ってきた。

りっぱな建物がいくつかできてはいたが、おおむね校舎は昔とかわらず。ところが、図書館は、すっかり現代的な変身を遂げていた。中央図書館は、場所すらも変わって、近くのりっぱな建物に引っ越していた。
昔は、請求カードを書いて、係の人に本を書庫から出してきてもらっていたのが、今は自由に書庫に入れるという。もちろん、検索は書庫の中を含めてあちこちに置いてあるパソコンを使う。
館内の書見用のテーブルがいくつも置かれたスペースは大きな窓から光をうけて明るく広々としているし、あちこちに置かれた個人用デスクも使いやすそうだ。

読みたい資料は、だいたいはムルナウに関するものばかりだから、映画に関する洋書なら、一箇所に固まっているだろう、そこに行けばいいだろうと思ったのは、おおきな間違い。それぞれが遠く離れたいくつかの箇所に、さらには階も別に分散しておいてある。どういう基準で置いてあるのかはよくわからない。だから、ただひたすら、一冊一冊、検索結果が指示する書架を探して歩く。広い、広い。ひどい、ひどい、と書いてもよいくらいだ。書架は固定された開架だけでなく、電動の移動式書架もあって、これは初めて見た。書架の間にはさまれたりするということはないのだろうかねぇ。救いは、コピー機が、書庫内に何台も置いてあってその場ですぐコピーがとれることだった。
見たい資料を探すうちに、ふとその隣にある本も気になる。図書館は、開架式に限る、まったく見たこともない本の連続だから。チベット文字で題名の書かれた厚さ20cmもあろうかという箱入り大型本が数十冊並んでいるのを見たときには、まったく驚いた、一体中にはどんなことが書いてあるんだろう?

実は、見たい資料は、中央図書館だけでなく、学部の図書館やら専門図書館やらにも置いてあって、同じ雑誌でありながら、年度によっては分散して置かれている、などという具合なので、3ヶ所の図書館を、僕の勘違いもあったが、結局2往復するということになってしまった。
というわけで、昨日は午前中に到着したにも係わらず、全部終わってみれば夜7時。休憩は、途中で自動販売機のコーヒーを一杯飲んだだけ。見知らぬ本の詰まった柱が林立する巨大な森の中をさまよい歩いた。本を探し、本を読む僕のオデッセイの旅は、森の奥深くで道を見失い、ついに戻れなくなってしまった僕の人生そのものだったかもしれない。
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