フミログ

発達障害、知的障害のことから日々の生活のことまで。

眩しすぎて色が見えなかった長男

 

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17歳で色覚異常だと診断された長男

発達障害のある長男は以前、眼科専門病院で色覚異常だと診断されていました。

色覚異常にはいくつかタイプがあるらしいのですが、どのタイプの色覚異常なのかまではわからないと言われて。

長男は発達障害で精神科にも通院しているのですが、精神科のドクターにもう一度きちんと診てもらった方がいいのでは、と勧められました。

私も、Twitterで色覚特性を持つ方とお話させていただく中で、長男の色覚異常は何か違う?と違和感を覚えていたところだったので、精神科の主治医にお願いして、今度は大学病院に紹介状を書いてもらいました。

 

大学病院でもう一度診てもらった

大学病院でさらに詳しい検査をしていただいたところ。

何と、長男は色覚異常ではないという結果でした。

色を識別する細胞には異常がなかったそうです。

でも、長男は赤や青などの濃くはっきりした色や、白や黒しか見えていません。

黄色やピンクや黄緑、水色などは全て白く見えるし、青や緑も光の加減で黒く見えていたそうです。

眼に異常がないのに何故そう見えていたか。

認知の問題なのだと言われました。

眼は色を正しくとらえているのに、それを判断する脳の方に問題が起きていると。

長男は発達障害です。

発達障害特性の一つ、感覚過敏による、光に対する過敏で、眩しすぎて色が見えてない、と言われました。

ショックでした。

ここでも発達障害?発達障害のせいで色が見えない?こんなところにまで発達障害の影響があるの?

何というか、打ちのめされたというか。

大学病院の診察後、色覚補正眼鏡を作ることを考えていました。

色覚補正眼鏡は、以前にサンプルを試したことがあったのですが、高価な割にあまり色覚が改善されず。

詳しい検査で色覚異常のタイプがわかれば、長男に合ったものを作れるのでは、と思ったのです。

ですが、色覚補正眼鏡は意味がないと言われてしまいました。

サングラスの方がいいと。

サングラスは度付きの少しいいのを作っていたのですが、それを見せたらこれでいいと思うと言われました。

ですが、そのサングラスでは色が見えることはありません。

それに、サングラスなのでつけっぱなしで生活するのは、視界が暗くなるので難しいです。

長男が色を見る手段はもうないということなのか……と、とてもがっかりした気持ちで大学病院を後にしました。

 

眩しくなければ色がみえるのでは?

大学病院の診察から数か月たったつい先日のことです。

雑談の中で長男が、水泳のゴーグルをつけていたら色が見えることがある、と話してくれました。

長男は小さな頃から長いこと水泳を続けています。

プールの水面は眩しいのでかなり濃い色のゴーグルを使っています。

そのゴーグルをつけていたら、何となく色がわかる時がある、というのです。

色がわかるなら、真っ暗でもいいから今よりも暗い色のサングラスを探してみるかな……と色々検索していたら、遮光眼鏡というものを見つけました。

医療用にも使われているもので、特殊なレンズで眩しさだけをとって視界が暗くならない、というものらしいのです。

そのレンズのメーカーさんに問い合わせたら、最寄りのサンプルがそろっている店舗を教えてくださいました。

早速、翌日店舗に行ってサンプルを試させていただくことにしました。

 

遮光眼鏡を販売している店舗へ

店舗を訪ねて長男のことを簡単に話して、遮光眼鏡を試したいと言ったら、奥の椅子に通してもらってテーブルの上に遮光眼鏡のサンプルをずらりと出してもらいました。

長男の話を聞いて、店員さんが勧めてくださったサンプルを何気なく長男が試したところ。

「…………見える」

一言言って固まっています。

え、見える?何が?

もしやと思い、目の前にあったカードに書いてあったGoogleのロゴを指さして、これなんて書いてある?と聞いたら

「……グーグル」

え、これがみえるん?と思わず声を上げてしまいました。

Googleのロゴはカラフルで、長男には見えないものです。

それが見えると。

それから手当たり次第にこれは?これは見える?と聞きましたが、ほとんどがうん、見える……と。

これは、すごい。もしかして、これはかなり良いのでは。

店員さんに促されて店外でサンプルを使ってみました。

真夏のアスファルト、普段の長男なら眩しくてまともに目が開けられないはずです。

でも。

「すごい、眩しくない…見える…」

感動が声にこもっていました。

私達両親もうれしくて、早速購入したい、屋外用と屋内用と二本購入したいと言ったら、店員さんはとりあえず今日は一本購入して、慣れてから追加で購入してはどうかと。

それもそうだな、と思ったので、その日は眼鏡の上につけるオーバーグラスを一本購入しました。

価格は税込み11,000円でした。

 

街がこんなにカラフルだとは知らなかった

店員さんにつけて帰りますか?と言われて遮光眼鏡をかけて店を出た長男。

うわあああ……と思わず声がもれます。

ローソンの看板!とか車が!とかただ歩いているだけなのに興奮している様子。

本人の強い希望で趣味であるロードバイクのお店に向かいました。

そこでビアンキというメーカーの自転車を見て、初めてこの色を見れた!とまた興奮していました。

別のお店で初音ミクを見て、初音ミクの髪の毛の色とそのビアンキの色が同じだと友達から聞いていたけど、初めて見れた!と。

空を見て、雲と空が分かれていることを知ったと。

黒く見えてきれいだと思ったことがなかった海が、青くてきれいだと。

黄色を指さして、これ見える?と聞いたら、見えるけど初めて見た色だからなんていう色なのかわからない、と言っていました。

見るもの全てが今までと違っていて。

私はひたすら良かったねえと言うだけでした。

 

遮光眼鏡がある生活

遮光眼鏡を着けた生活がスタートした長男ですが、やはり慣れるまでは試行錯誤が続きそうです。

夕暮れ時の室内だと、ミカンが消滅してしまうそうです。

その他、見えなくなるものが色々あると。

でも遮光眼鏡をつけたり外したりしているととても疲れるようで、やはり場面に合わせて追加で何本か作った方がいいかな、と話しているところです。

でも、もうちょっと慣れてから追加を購入したいと本人が言うので、まだ様子を見ているところです。

今、長男は好きなアニメを見直しているそうです。

好きなキャラクターの髪や服の色を初めて見たと。

今まで見た景色を遮光眼鏡をかけて見直したいそうです。

虹も見たことないので、虹が見られるのを楽しみにしています。

色んな楽しみなことがたくさんです。

遮光眼鏡のメーカーである東海光学さんと、丁寧に対応してくださった眼鏡屋さんに心から感謝したいです。

 

 

 

死にたかった私へ

9月1日を前に - フミログ

以前、こんな記事を書いていたなあと、ふと思い出して。

そして、若い頃、死にたくて仕方なかったことも思い出した。

 

子供の頃からだったな。いつも死にたいと思っていた。

自分なんかこの世界に要らないじゃないかと。

何の役にも立たない。誰からも必要とされない。私が死んでも誰も悲しまないし、むしろほっとする人ばかりなんじゃないのか。

私が死ねば、一人分の食費も水道光熱費も浮く。一人分の出費がなくなる。

地球上から私という人間が無駄に消費するエネルギーを節約できる。

空気も水も、私が消費するなんて、なんてもったいないんだろう。

私さえ居なくなれば、無駄がなくなるのに。

私なんて生きてる意味なんか何もないんだから、早く死ねばいい。

そんなことばっかり考えてた。

 

大人になっても、うまくいかないことばかりで、ホント生きることにうんざりして。

何のためにこんなしんどい思いして生きてるんだろう、何のために生きるの?

もう生きるのめんどくさい、死んでしまいたい。

ずっと思ってた。

 

それでも結局、死なずに今も生きてる。

なんか死ぬのもめんどくさくて。

もうちょっと私に元気があって、えいや!って思い切ったことができてたら、もうこの世には居なかったかも知れない。

いや、そうでもないかな。結局は死ぬのが怖かったのかも知れない。

 

ずっとずっと。

なんで生きないといけないのかな、って思ってた。

生きる意味って何?と。

本にはまあいいことが書いてあったりするけど、どの言葉もなんか白々しく思えて、しっくり来なくて。

でもある時、漫画のセリフで、ちょっとズシンときたのがあった。

自分は何のために生まれてきたのか?と問う相手に対して、主人公が答えたのが。

人として、生きるために、だ。

というもの。

ものすごいシンプルなお答えなんだけど、その時の私にはなんかすとんと落ちた。

ああ、人として生まれたんだから、人として生きなくちゃいけないんだ。

こんな当たり前のことも、よくわかってなかった。

あと、人して生きるって何なのかもよくわからず。

それがわかるくらいまでは生きた方が良さそうな気がする、とは何となく思ったなあ。

 

生きる意味とは。

私は何のために生きるんだろう?

何で生きないといけないんだろう?

この答えは、未だ見つからない。

ただ、今はわかったことが一つある。

生きることに、意味とかないんだよね。

生きることに意味なんて必要ない。

ただ生きるだけなんだよね。

別に誰かや何かの役に立たなくてもいいし、人の世話になったっていい。

地球の資源を消費してもいい。

生まれたから、生きるだけなんだよね。

ただそれだけ。

 

生きてたらしんどいこともあるし、楽しいこともある。

幸せな時もそうじゃない時もある。

色々あるのが生きるってことなのかなあと。

まあいいことばっかりあるわけないし、悪いことばっかりでもない。

ただ淡々と、今日を生きて明日のために眠るだけ。

若い頃にそんな風に考えられてたら、もうちょっと楽に生きられてたかも知れないなあとか、最近思う。

生きていくためには、何かを頑張らないといけないと思っていたから。

でも、別に頑張らなくても生きてていいみたい。

まあ、頑張らないといけない時もあるけどね。

 

あと、そうだなあ、時間と距離が解決してくれることもある、というのもこの歳になってわかってきたことかな。

若い頃にいじめられたりして、ダメージ受けても、いじめられた場所からも人からも離れて、時間が過ぎていけば、傷って少しずつ癒えていくみたい。

時々フラッシュバックはあるけどね。

今はまあ、もうどうでもいいやと思えるくらいにはなってる。

なんかそこにこだわって色々考えるのもめんどくさくて。

めんどくさがりな性格のおかげでどうでも良くなってるのかも知れないけど。

まあ、そういうこともあるので、しんどいことからはとりあえず上手に逃げて、嵐が過ぎるのを縮こまってじっと待ってみたらどうかなあと。

戦わないといけない時もあるけど、戦わないといけない時って生きててそう何回もないと思う。

頑張りどころは間違えると無駄に疲れるだけなので。

戦うエネルギーは、ここぞという時まで温存したい。

 

こんな風にね。

若い頃にもっと楽に生きていいよ、って言ってもらえてたら良かったのになあと最近よく思う。

だからここに書いてみた。

若い頃の私が成仏できるように。

色んなことを諦めて楽になれるように。

若い頃の私と一緒に、これからものんびりと生きていくつもり。

 

友だち幻想 (ちくまプリマー新書)

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お風呂場でシャンプーのボトルをどうやって見分けるの?

我が家の長男は知的障害と色覚異常を持っています。

 

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 時々、長男が頭をボリボリとかいていることがあって。

ちゃんと洗ってる?リンスもしてる?と聞いたら、してると思うけど...という自信のない返事。

そこで気が付いたのですが、色覚異常の長男、ボトルに書いてある文字は色とびしてしまって全く見えていないはず...しかも近眼で、眼鏡を外すとまともに見えていないはず。

どれがシャンプーでどれがリンスかわかってる?と聞いたらきっぱりとわからん!と...。

今までどうしてたの?と聞いたら、適当に押して出てきたのを使ってた、と。

じゃもしかしてリンスで頭洗ったりしてたかもしれない?と聞いたらそうかもねと。

衝撃でした。

性格的に適当にやってしまう方だというのはわかっていたのですが、リンスで頭洗ってまあいっかーってなってたとは。

そこでボトルに大きくマジックでシャンプーとかリンスとか書いて、長男に見えるかどうか確認したら見えるというので、とりあえずそれでやってみることにしました。

そして今日、シャンプーを別のものに変えたいなあと思って、新しいのを買ってきて、テプラでシャンプーとかいたシールを作ってボトルに貼り付けました。

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そして長男に見えるかどうか確認しながら、最近はシャンプーやリンスを使い分けできているか?と聞いたら、またもやうーん...と。

古いボトルにマジックで書いていた文字は消えかかっていて、かなり見えにくくなっています。

何も言ってこないということは、まだ適当にやってるんだろうな...とはうすうす感じていました。

身体はどれで洗ってる?と聞いたら案の定、押して出てきたやつ、というお答え。

これではいけない。

身体をシャンプーで洗ったり、頭をボディソープで洗うのはまあ、目を瞑ったとしても、リンスで頭や身体を洗っているのはいただけない。

そもそもリンスじゃ洗ってるとは言えない。塗ってるだけだ。

どうしたものか。

温泉とかではどうしてるの?と聞いたら、温泉は置き場所が決まっているからだいたいわかるのだとか。

我が家はボトルラックを使わずに、直接洗い場の床に、ボトルを置いています。

以前はボトルラックを使っていたのですが、何となく使いにくいし、ラックが汚れるのが面倒で使わなくなっていました。

じゃあ、うちも置き場所がきっちりわかってたら大丈夫かも知れない?と聞いたら、うん大丈夫だと思う、と。

ならば、と洗濯機横の小物置きになっていたステンレスのボトルラックをきれいに洗ってお風呂場に復活させました。

 

 斜めにボトルをいれて、取り出して使うタイプのものです。

戻すときに元の場所にきちんと戻せば、定位置が決まるかも知れません。

しばらくはこれでやってみることにしました。

 

Twitterでこのことを呟いたら、いくつか反応をいただきまして。

その中で教えていただいたのが、これ。

シャンプーには、ボトルのどこかにギザギザな突起が入っていて、見えなくてもそれとわかるようにしてあるのだそうです。

花王さんが試行錯誤の末にギザギザ入りボトルの販売を開発して、業界全体に広めたんだとか。

これは知りませんでした。

これなら、頭がぬれていて目を瞑っていたり、目が悪い人でもどれがシャンプーかはわかりますね。

これを覚えていれば、少なくともリンスで頭を洗うことやシャンプーで身体を洗うことは防げるはず。

早速長男に教えて、覚えておくように言いました。

何よりも、本人が意識して取り組むことが大事です。

適当に済ませることも時には大事ですが、できることは頑張ってほしいなあと思います。

 

衛生に関することは、それぞれに基準があって、家族内でも認識がずれていたりします。

障害があってきちんとすることが難しい長男に、どこまで求めていいものか悩ましい所です。

あまり気負わずにできる程度に、工夫をしながら身だしなみを整えられるように手伝いたいと思います。

 

 

 

 

 

 

自立について

先日、長男と改めて自立について話した。

一人暮らししてみたい?家を出てグループホームとかに入りたいとか考えてる?と。

長男はうーん...と。

一昨年の春に特別支援学校の高等部を卒業して、就労支援B型に通所していた長男は、通所先の環境が合わずに二度の入院を経て退所した。

そしてこの春、新しい就労支援B型へ通い始めたばかり。

新しい通所先は何もかもが前と違っていて、新鮮で、通うのが楽しいらしい。

ここなら頑張れそうだと長男は言う。

うちに来てくれている訪問看護の先生が長男に、まずは10年続けられたらいいねと面談で仰った。

その言葉を受けて長男は、まずは10年今の暮らしを続けたいと言う。

二次障害を患っている長男、新しい通所先も休みがち。

まずは休まずに毎日通所できて、休みの日は好きな自転車に乗ったりする生活を10年くらい続けたいと。

家を出て自立することは、それができてから考えたいと言った。

就労支援B型の工賃を貯めて、新しいロードバイクも買いたいらしい。

ロードバイクが買えたら、その次は自立に向けて貯金をしたいと。

グループホームに入るにしても、お金はいると思うので、と。

私は、それでいいんじゃないかなと思った。

親元を離れて入所なりグループホームに入るなりするなら、できるだけ若いうちの方がいいのかも知れない。

その方が新しい環境に馴染みやすいから。

だから、本当はすぐにでも自立に向けて動き出した方がいいのだろうと思う。

グループホームは、希望してもすぐには入れないだろうし。

でも、まだ若い長男は、これから生きる上でかけがえのない経験を重ねていくのだろうと思う。

そして、その中のいくつかは、親元でなければできないものもあるのだろうと。

障害のある長男にとって、生きる力となるようなかけがえのない経験を得られる機会は、そう多くはない。

私は、まだしばらくは長男のそばにいて、そんな経験を得るための手助けができたらいいなと思っている。

 

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次男の知的障害は長男と違って、軽度である。

いわゆる、境界知能に該当する。

軽度の療育手帳を所持する彼の将来は、重度の療育手帳を持っている長男のそれとはまた違った厳しさをもつものになると予想される。

軽度の療育手帳では、受けられるサポートは多くはない。

障害者雇用の対象にはなるけれど、障害者雇用で得られる収入では自立は難しい。

障害年金をいただきながら働くことが理想なのだけど、軽度の次男は障害年金の審査に通るのは難しいだろうと医師から告げられている。

障害年金がいただけないのであれば、国民年金も支払わなければならないし、自立するのであれば国保も払わなければいけないだろう。

特別支援学校に通って障害者雇用を目指している次男だけど、恐らくは最終的に一般枠での雇用をめざすことになるんじゃないかと思う。

でも、すぐにそうしなくてはならないわけではないので。

まずは障害者雇用で働いて、ゆっくりと力をつけてから一般枠に挑戦してみたらいいんじゃないかなと思う。

今、私が次男の為にできることは何だろうと考えていたのだけど。

心身ともに強くすることを手伝うことかなと思った。

バランスの良い食事を用意して栄養をつけさせること、リラックスできる環境でぐっすり眠れること、生活のリズムを整えること。

それに加えて、生きることが楽しいと思える心の豊かさが持てるように。

自分を好きでいてくれるように。

一緒に暮らしている間は、のびのびと息ができるような生活をさせてやれたらなあと思った。

そうすれば、厳しい環境に身を置くことになっても、のんびりと息をすることを忘れずに、まあいいかと思ってくれるんじゃないかなあと。

自らが生きていく道が厳しいものであることは、悲しいくらいに理解できている彼なので。

 

願うのは、子供たちがそれぞれ自分は幸せだと思って生きてくれること。

それだけ。

私はそのための手伝いができる、彼らにとっての身近な大人でありたいと思っている。

 

 

 

 

 

発達障害のことを忘れて生きられるように ~世界自閉症啓発デーに寄せて

 

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 4月2日は世界自閉症啓発デー。

我が家には、自閉症と診断された次男が居ます。

我が家は次男以外の家族も全員発達障害の診断を持つ、発達障害一家です。

Twitterを眺めていたら、こんな記事が流れてきました。

お子さんが発達障害と診断されて、不安でいっぱいだった保護者が、徐々に知識を得て、仲間を集め、コミュニティを形成していくというお話。

たくましいなあと思いました。

私はどうなんだろうか。

三年前と今と、私は何か変わっただろうか。

考えてみたら、大きく変わった点が一つあります。

それは、自分が発達障害者であることをあまり意識していないということです。

三年前の私は、自分の特性に悩み、自分を制御するのに精いっぱいで何とも余裕のない暮らしぶりだったように思います。

今の私は、投薬をうまく調整し、相談支援、訪問看護、家事援助などの支援を受けながら、体調を気遣える程度の余裕をもって生活しています。

我ながら、のんびり生活しているなあと思えます。

生活の中で、特性に対する工夫も色々とやっています。

そんな中で、いつのまにか自分の発達障害のことで悩むことが少なくなってきました。

様々な支援や投薬や工夫のお陰で、私は頑張らなくても生きられるようになったのです。

 

以前の私は、周囲と異質で変わり者な自分が嫌で嫌で仕方なくて。

どうにかして周囲に溶け込んで、目立たないようにすることに一生懸命でした。

目立ちたくない…その気持ちは、私からあらゆることに対する積極性を奪っていたと思います。

やってみたいことや何か良いアイディアを思いついても、目立ってしまうようなものであれば何もせずに飲み込んでしまいました。

けれど今は。

目立とうが何だろうが、やりたいことがあればわくわくしながらやり始めることができるようになりました。

自由になりました。

他人がどう思うかとか考えることもあまりありません。

私は私でいいじゃないか。

私が私でいることを許してあげよう。

そう思えるようになりました。

 

何故そんな風に変わったのか。

それは、支援を受け入れ、工夫をし、自分が障害者であることを許したからだと思います。

私は障害者なんだ。

そのことはどうしようもない。

仕方ないから障害者として生きてみよう。

そう思えるようになってから、ずいぶん楽になったように思うのです。

自分が障害者であることを意識せずに済むくらいに。

 

障害に対する理解が進めば。

ひょっとしたら、障害のことを忘れて生活できる日がくるのではないかなと思いました。

自分自身も、周囲も、そして世の中の人みんながあらゆる障害に関心を持ち、少しでも知識をもってくれれば。

障害のために頑張らなくてもよくなる日がくるのではないかなあと。

改めて思いました。

そんな日に少しでも近づくために。

多くの方が、世界自閉症啓発デーを通して発達障害の正しい理解に関心をもって頂けたらなあと思いました。

 

最近の私は、自分の趣味に没頭したり、家族と楽しく過ごしたりして穏やかに暮らしています。

そんな穏やかな日々が、悩める発達障害者の皆さんに訪れることを願ってやみません。

次男の高等支援学校進学に向けてとりくんだこと

今年、次男は中学の特別支援学級から高等支援学校を受検して合格しました。

高等支援学校とは、軽度知的障害児向けの、受検(受験ではありません)のある、高等部だけの特別支援学校です。

主に一般就労を目指して、厳しい訓練がされることが特徴です。

高等支援学校、高等特別支援学校と呼ばれることが多いようです。

四月から通い始めて四か月が過ぎ、学校にも慣れて楽しい高校生活が送られているようです。

先日、次男の受検についてお話してみないか、とのお誘いを受けたので、改めて高等支援学校への進学に必要な課題はなんだろうか、と考えてみました。

 

自己理解

受検にしろ就労にしろ、一番大事なことはやはりこれだと思います。

受検の面接でも重要視される項目のようです。

自分のできることとできないことを把握して、それを言葉にして他者に伝えることができるかどうかということですね。

そのままではできないことでも、何らかのサポートがあればできることがある場合、それを伝えることもとても大事です。

それも、本人が把握してなければ伝えることなどできるはずがありませんよね。

障害者就労の場合、まず、本人に対してどのような仕事を任せればよいかがわからない場合が多いのだとか。

一般就労の場合は、ジョブコーチなどを除けば、保護者や支援者が雇用主側と顔を合わせることはほとんどないのだそうです。

本人が自分の障害特性を把握し、できることとできないことを雇用主に伝え、必要な配慮を受けるための交渉する力を持っておくことが大事だと思います。

 

体力

これもとても大事です。

一般就労の場合、毎日朝から夕方まで働かなくてはなりません。

体力が無くては、仕事が続かないのです。

障害者就労では、体力勝負の求人が多いのだそうで。

病院のリネン、ファミリーレストランのパン製造、食品加工、清掃、厨房での食器洗浄など、ずっと立ちっぱなしの仕事ばかりです。

次男が通っている高等支援学校も、とてもハードなカリキュラムが組まれていますが、そのくらいは耐えられないと、障害者就労は難しいのだそうです。

将来、障害者就労をする可能性があるのでしたら、是非早いうちから体力作りを意識してほしいと思います。

これだけは、一朝一夕でできることではありませんから。

 

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公共交通機関に慣れておくこと

寄宿舎のない高等支援学校ならば、自力で通学しなければなりません。

入学後、現場実習が決まれば、単独で実習先へ通うことにもなります。

交通機関に慣れていなければ、その都度保護者が付き添って通勤、通学の練習をしなければなりません。

学校は移動の練習まではさせてくれないようです。

一人で公共交通機関が利用できるかは、面接時にも確認されました。

 

挨拶

挨拶については、かなり早い段階から家庭内で意識してするようにしてきました。

まずは旦那に、子供から物をとってもらった時などに必ずありがとうと言うように徹底してもらいました。

それから、おはよう、おやすみ、ただいま、おかえり、などをきちんと聞こえるように言うように、夫婦間で意識してきました。

挨拶については、子供に挨拶しなさいと促すより、保護者が日頃からさりげなくお手本を見せた方が良いように思います。

 

作文の練習

高等支援学校の受検では、作文や面接でどれだけ意欲を見せられるかが大事になってくるように思います。

我が家の次男は作文がとても苦手でしたので、文章力を上げるために毎日日記を書きました。

最初は一行日記から。

初めのうちは毎日書くことだけが目標です。

行数が増えてきたら、50字に。

それもクリアできるようになったら、100字にします。

スモールステップで増やしていくことを忘れずに。

 

忘れ物対策

これはとにかく構造化するしかないと思います。

我が家では持ち物リストを作って、毎朝指差し確認をしてから登校するようにしています。

メモをとることを習慣づけることも大事ですね。

 

本人の意思による進路選択

入学後のトラブルで比較的多いのが、思っていたのと違っていた、というものなのだそうです。

進路は自分の意志で決めて欲しいと思います。

保護者がするのは、判断するための材料集めですね。

学校見学などを繰り返し、十分に判断材料をそろえてあげて欲しいと思います。

複数の選択肢を用意して、それぞれにメリットとデメリットを伝えて、本人の意思で選ばせて欲しいです。

我が家では、進路だけでなく、日頃から色んなことをこのやり方で本人に決めさせています。

 

 

受検とは直接関係ありませんが、信頼できる専門家と繋がっておくことも大事なことだと思います。

継続して相談できる専門家と、定期的に面談できる環境が望ましいかと思います。

発達障害者支援センターや医療などを上手に利用できるとよいですね。

思春期前に繋がっておくことが理想だと思います。

それと、サードプレイスが獲得できているといいかなと思います。

学校、家庭以外の第三の居場所ですね。

塾でもデイサービスでもスポーツセンターでも図書館でも、本人が落ち着いて居場所だと思える所ならどこでも構いません。

親や学校の先生からの干渉があまりない所で、積極的に関わってくれる大人が居ることが望ましいと思います。

 

中三になって受検に向けて家庭で何かしたかと言われると、何もしていません。

上記のことは、小学生の頃から受検など意識せずに取り組んできたことで、振り返れば受検に役立ったな、と思うことです。

なので、上記のことができていなくても、ご家庭で常日頃から意識して取り組んでいることがあるのであれば、それでいいのかもしれません。

正解か不正解かではなく、親子で一歩ずつ、でも確実に歩んできたその道のりこそが、大事なのだと思うからです。

受検でも、見られるのはやはりそういった本質的な部分なのではないかなと思います。

満足のいく選択と、楽しい高校生活をお子さんが得られることをお祈りしております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インドア派でも体力作りにチャレンジしよう!発達障害児の簡単トレーニング

毎日暑いですね。

夏休みも中盤ですが、こう暑い日ばかりでは、つい室内に閉じこもりきりになってしまいます。

せっかくの夏休みなので、体力作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

 

スポーツを頑張る我が家の兄弟と長男の解離性障害

我が家には、二人の男子が居ます。

長男19歳、知的障害、発達障害、色覚異常をもっています。

 

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次男15歳、境界知能で発達障害があります。

長男は水泳を、次男は卓球を、それぞれ市の障害者スポーツセンターに通いながら頑張っています。

 

長男は解離性障害という重い二次障害を患っていて、年に二回程一か月単位の入院を繰り返しています。

 

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 入院を繰り返し、学校にもなかなか通えない日が続きました。

半年間不登校だったこともあるし、通常の登校でも週に半分くらいしか行けていませんでした。

そんな中で長男は水泳を続け、障害者の全国大会にもチャレンジしてきました。

入院や不登校を繰り返しながら、どうやって大きな大会にもチャレンジできる体力を維持してきたのか。

もし体力がないインドア派の発達障害のお子さんに体力作りをお勧めするとしたら、どのようなメニューがよいか。

長男に聞いてみました。

 

長男の体力作り

長男が入院する精神科病棟は、基本的に病棟内を出ることができません。

散歩はもちろん、売店にも自由に行くことはできません。

病棟に鍵がかかっているので、病院内を歩き回ることもできません。

なので、退院直後は極端な運動不足になっています。

そんな時に、リハビリ的な意味合いでいつもやっていることがあります。

20分くらいのウォーキングです。

距離にして3㎞くらいを20分程度で歩きます。

早歩き、くらいのペースですね。

近所の浜辺の景色を眺めながら、少々の雨くらいなら休まず毎日歩きます。

https://www.instagram.com/p/BXOVMfqFEWN/

きれいな色。

ウォーキングに慣れている方なら、20分は少ないのでは?と思われるかもしれません。

でも、体力がない状態なら、このくらいから始めるのが良いのだそうです。

徐々に体力が戻ってきたら、少しずつ距離を伸ばしてみたり、ウォークにランやジョグを織り交ぜたりしていきます。

少しずつステップアップしていく、いわゆるスモールステップですね。

 

ウォーキングの他にもう一つやっていること、それは5分程度のストレッチです。

これも毎日欠かさず続けます。

そして、無理をせず、5分ほどでやめるようにします。

 

20分間のウォーキングと5分間のストレッチ。

たったこれだけのことですが、とにかく毎日欠かさず続けます。

そして頃合い(だいたい2週間くらいでしょうか)を見て、スモールステップでトレーニングの強度を上げていきます。

最初のステップを終えたあたりから、時々プールにも入って泳ぎの勘を思い出します。

その時の体調にもよりますが、だいたい二か月前後で元の体力に戻るようです。

 

インドア派の発達障害児におすすめの室内トレーニング

毎日地道なトレーニングを続けている長男に、体力に自信のない、インドア派の発達障害児にトレーニングをすすめるとしたら、どんなものが良いと思う?と聞いてみました。

最初に彼が言ったのが、この腹筋運動です。

 

呼吸を意識しながらかなりゆっくりしたペースでします。

頭を床につけません。

さすがにこれは難易度高いと思うよ...と言ったら、バランスボールやチューブを使ったトレーニングがいいかも、と言いました。

バランスボールとは、大小さまざまな大きさや形の、樹脂製のボールです。

そのボールに乗るなどして、体幹を鍛えるトレーニングが手軽にできるのだそうです。

椅子代わりにその上に座るだけでもトレーニングになるのだとか。

 

 多動傾向のあるお子さんが落ち着くための好ましい刺激として、バランスボールを使うこともよくありますよね。

我が家のADHDである次男も愛用しています。

 

チューブとは、トレーニング用の樹脂で作られた紐です。

 

 私が使っているのは、女性用の柔らかいものです。

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 これをエキスパンダーのように両手で伸ばしたり、ボート漕ぎ運動をしたり、足にかけてウエイトリフティングのようなもちあげる運動をしてみたり。

どこかにひっかけて引っ張れば、肩や腕のトレーニングが簡単にできます。

工夫次第で様々な運動ができるのです。

多くのアスリートが取り入れているトレーニングです。

お子さんの場合は、型にはまらず、好きなように引っ張るだけでも良いかと思います。

多動傾向のあるお子さんには、引っ張るだけでバランスボールと同じ様な落ち着く効果が期待できると思います。

 

もう一つ長男のおすすめなのが、踏み台昇降です。

これは踏み台や階段などを上がったり下りたりする運動なのですが、長男は両手を壁につけた状態でやると良いと言っていました。

そうすることで運動効果もあがるし、何より集中力のないお子さんが途中で飽きて他のものに目がいって中断してしまうのを防ぐことができるのだと。

長男自身、両手をぶらぶらさせていると、後ろが気になって振り返ったりして、運動に集中できないのだそうです。

踏み台昇降も、スモールステップでやって欲しいと。

最初は5~10回くらいから始めてもいいと思うと言っていました。

慣れてきたら少しずつ回数を増やすといいですね。

 

エクササイズステップ台 チョコレート

エクササイズステップ台 チョコレート

 

 

 

スモールステップと無理をしないこと

長男が繰り返し言っていたのが、とにかく無理をしないこと、でした。

本人のペースに合わせて楽しくできることが、継続への一番の近道だと思います。

トークンなどのポイント制を取り入れるなどして、夏休みを利用して、スモールステップで楽しく体力作りに取り組んでみられると良いかなと思います。

 

 

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