放射線検出器について

前フリですが,例えば,“玄関のドアの幅がどれだけだろう?”と考えて,ノギスをチクチクやって,“1823.75 mmだな.”という人もいないでしょうし,電子部品のピッチを測るのに 3 m のメジャーをもってきて“んーと...2.5 mm...かな!”ってのもないでしょう.ドアの幅はメジャーがいいし,電子部品のピッチはノギスがないと目的が達成できないこともしばしば.
以上の勘案が,秋葉原でガイガーカウンター売る側買う側双方に欠けてるっぽい.

放射線検出器は概ね蛍光灯だのプラズマディスプレイだのと近いものがあります*1

ポンチ絵を下に示しました.陽極は円筒形,陰極は円筒を貫くように張られていると思ってください *2あ!*3

放射線が検出器に入射してそれがたまたま検出器内のガスを電離(イオン化)すると,検出器内には高い電圧がかかっているので出てきた電子がどこぞの隣のガスを電離して...が雪崩のようになって陽極まで達します.それでもとても微弱な電気なのでアンプを通して増幅して測る仕組み.
ポイントは以下ありまして,
(わずかな放射線を捉えるための考え方)

  • 電極にかける電圧を高めれば,どんどん電離の雪崩が大きくなって,僅かな電離でも検出できるようになる.
  • 検出管を大きくすれば広範囲に通過する放射線をとらえやすくなる.

(大量の放射線でも飽和しない検出器にするための考え方)

  • 電離の雪崩の規模が大きくなりすぎれば,ある電離が起こって陽極に到達する前に次の電離が起こると数え落としが起こる.(不感時間: dead time) *4

即ち放射線計測器でも大量測定向け(メジャー的な)と微量測定向け(ノギス的な)ものがあるわけです.

*1:実は照明器・ディスプレイ業界にも一時期いて,この例えをすると各業界の人に怒られます.放射線検出器業界の人も同様でしょう

*2:ガイガー=ミュラー計数管及び比例計数管(いずれも wikipedia)も参照のこと

*3:今気がついたけど電源のプラスマイナスが逆っぽい,苦労して書いたので脳内変換して読んでください

*4:他,電離の雪崩が放電にならないような仕組み:クエンチングが必要