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なにか習いごとしてた、と訊かれて、少し考えてから答えた。近所の住職がボランティアで書を教えてて、... なにか習いごとしてた、と訊かれて、少し考えてから答えた。近所の住職がボランティアで書を教えてて、毎週通ってたよ、住職は卒塔婆にかっこいい草書を書いててすごいと思ったよ、なんかくねくねしててきれいなの。 彼女はちいさくため息をついてから困ったように笑い、じゃあ厳しい習い事はしたことがないのね、と言った。私はうなずいた。 彼女は「七歳から十三歳まで神童だった」。小さい頃から電車に乗って教室に通い、家の地下室に作られた「母の夢の残骸みたいな」防音室でお稽古をした。 彼女はコンクールで賞をもらって「もっと良い先生」につくことになった。新しい先生は彼女に言った。うまいね、でもそのままではなんだか演奏している人の顔が見えない感じがするよ、もっと、感情をこめて。 彼女はわからなかった。曲にはテーマというものがあることは知っていた。でも彼女は「並みの十三歳よりよほど晩稲で」、作曲家にとっての絶望も恋も戦争
2010/02/17 リンク