細川政元とは (ホソカワマサモトとは) [単語記事]

細川政元（1466 ～ 1507）とは、室町時代（戦国時代）の~~魔法使い~~、守護大名、室町幕府管領。畿内における本格的な戦国乱世の引き金を引いた人物である。

概要

当代きっての貴人であり奇人。

名門・細川京兆家の当主であり、室町幕府の管領（将軍の補佐役、要はNo.2）。幕府の実権を握るべくクーデター「明応の政変」を起こし、傀儡将軍を擁立した。権力の座に就いて向かうところ敵なしと思われたが、性格や私生活に少々…ではなく多大なる問題があり、後継者問題を発生させてしまった結果、それに巻き込まれて暗殺された。

生涯

若き日

応仁の乱で東軍の大将を務めた細川勝元の子。細川京兆家（細川氏宗家）は室町幕府の管領を務める三つの家の一つである。とはいえ当時の三管領家はと言うと

細川家は勝元の病死により、わずか8歳の政元が当主に
斯波家は衰退著しく、いいとこなし
畠山家は応仁の乱の一因になった御家分裂が未だに続いている（というかずっと続く）

という状態。ともあれ、~~ボンクラ~~8代将軍・足利義政より偏諱を受け、細川政元と名乗った。

応仁の乱のすったもんだの末に、東軍が推していた足利義尚（義政の子）が9代将軍に就任しており、このままいけば出世コース安泰だろう……と思われていたのだが、1489年、義尚が急性アル中で死んでしまう。これを聞いて、西軍が推していた将軍候補・足利義視（義政の弟）が息子・義材を連れて京都に帰還する。

政元としては（かつて父が敵対していた）義視たちが将軍になってしまえば、自分の立場が危うい。その為、義政のもう一人の弟・政知の息子（のちの足利義澄）を推薦するのだが……まだ政元は24歳の若年。応仁の乱をかいくぐった政界のバケモノ達の年季には勝てなかった。こうして、日野富子（義政の妻で義尚の実母）、畠山政長（元東軍）といった幕府首脳陣と足利義視の間で妥協がなされ、足利義材（のちの義稙）が10代将軍に就任した。

明応の政変

しかし元々仲の悪い日野富子と足利義視の対立は徐々に表面化していく。そして1491年に義視が死去した事で、いよいよ事態は動き始めた。富子は今度は政元に接近し、再び足利義澄擁立の計画を練り始める。

1493年、将軍・足利義材と畠山政長が河内へ向けて出兵した留守を突いて、それまで練りに練り上げたクーデター計画が発動した。世に言う「明応の政変」である。僧侶であった義澄を還俗させて新将軍に祭り上げたのだ。要は「おめーの席ねぇから！」

義材は幽閉され、畠山政長は自害、富子も1496年に病死して、いよいよ政元の権力は揺るぎなき物となっていった。

三人の養子

さて、ここで突然だが、政元は奇人変人だった。（もはやマジキチの次元）

修験道に異様にのめり込んでいて、天狗になって空を飛ぶ法を身につけようとしていたと言う。その修行の為には女人禁制！と生涯独身を貫いている。三十過ぎても童貞なら魔法使いになれる、という都市伝説は彼が由来かもしれない（ウソです）。

ある日突然「ちょっとオラ修行してくる」と都から出奔してしまったり、修験者の格好をして怪しげな経を読んでいたり、後柏原天皇の即位式を「うま味もないから中止でいいんじゃね？」と行わせなかったり、比叡山延暦寺を焼き討ちしたり……と、枚挙に暇がない。これだけ記録に残されている辺り、当時の人々から見てもやっぱり「きがくるっとる」としか映らなかったのだろう。

とはいえ彼は名門・細川家の当主。いくら魔法使いになりたいからといって跡継ぎがいないのでは困る。

そこで、まずは五摂家の一つ・九条家から細川澄之（すみゆき）を養子に迎えた。彼は足利義澄の従兄弟にあたり、養子としたのはクーデター実行以前なので、その辺の根回しの意味も込めてと思われる。
しかし、細川家と縁のない澄之擁立に不満の声が渦巻いて、分家である阿波細川家の細川澄元（すみもと）も養子に迎えられた。
こうなると周囲は止まらず、有力分家の一つである細川野州家から更に細川高国（たかくに）が養子に送り込まれる。

こうして3人の養子が並び立つ異常事態となってしまった。一応後継者に指名されていたのは澄元だったが、細川家臣団は3つに分裂し、次期当主を巡る暗闘を繰り返し始める。

あっけない最期

1507年。
そんな事はいざ知らず、マイペースに「今度は奥州に行きたい」などと屋敷で修行に励んでいた政元であったが、その一環として風呂場で行水しているところを澄之派の刺客によって暗殺されてしまった。享年42。

澄之派としては、当初は彼が後継者となるはずだったのに廃嫡され、澄元に鞍替えされた事で焦りがあったのだろう。こうして既成事実を作り上げた家臣たちに擁立されて細川澄之が家督を継ぐが、当然ながら猛反発が起こり、わずか1ヶ月で澄之は自害に追い込まれる。続いて細川澄元が跡を継いだが、もう一人の養子・細川高国も野心を見せ始め、以降20年以上に渡る細川家の家督争い、通称「両細川の乱」が続くことになる。