初音ミクAppendとは (ハツネミクアペンドとは) [単語記事]

初音ミクAppendとは、2010年 4月30日にクリプトン・フューチャー・メディアから発売された「初音ミク」用の追加音声ライブラリ・パックである。正式な製品名は「初音ミク・アペンド(MIKU Append)」。ナンバーは「CV01A MIKU APPEND」。

概要

初音ミクのVOCALOID製品の中枢部分は、YAMAHAの音声合成エンジン VOCALOID シリーズと製品ごとの音声ライブラリをパッケージしたものである。このうち、音声ライブラリは音源を収めた発音データベースと音楽的表情データを収めた表情データベースで構成されている。

初音ミクAppendは、新たな6種類の表情データベースを収めた音声ライブラリをセットにしたもので、初音ミクに追加することで元々搭載している音声ライブラリの表情と合わせて7種類の異なる表情が使用可能となり、より多彩な表現が出来るようになる。
また、各表情ごとに独自の収録方法や調整が施されており、従来のVOCALOIDの音声ライブラリに比べて滑舌や発音の繋がりなどが向上しているとのことである。
音声ライブラリは藤田咲の音声を新たに収録して作成されている。

なお、初音ミクAppendは追加音声ライブラリであるため、使用するにはあらかじめ別途「初音ミク」が必要であり、初音ミクAppend単独での使用はできない。

音声ライブラリの種類

追加される6種類の音声ライブラリの表情と特徴は以下の通り。
音声ライブラリのそれぞれの名称から直感的にイメージしやすい声の表情になっているという。

	特徴	得意な曲のテンポ得意な音域(目安)	得意ジャンル
SOFT	全体的に物腰柔らかく、おしとやかな声	70～150 BPM A3 ～E5	ソフトロック、バラード、フォーク、アンビエント等
DARK	落ち着きがあり、少し憂鬱な表情の声	60～145 BPM D3 ～B4	バラード、ジャズ、フォーク、アンビエント等
SOL ID	硬く張り詰めた声質、緊張感のある声	65～160 BPM D3 ～C5	ポップス、ロック、ダンス、エレクトロ等
VIVID	滑舌の明瞭化により、ハキハキした声	95～180 BPM G3 ～D5	ポップス、テクノポップ、トラッド等
SWEET	吐息成分を多く含み、甘く囁くような声 (β版ではvery sm all)	55～155 BPM F3 ～D5	フレンチポップ、バラード、エレクトロニカ等
LIGHT	活発で勢いのある、明るくさわやかな声	85～175 BPM A3～D5	ポップス、ロック、ダンス、テクノポップ等

キャラクターイメージ

キャラクターとしての初音ミクAppendのイメージは、基本的な特徴は初音ミクを踏襲しつつ、コスチュームとアクセサリーパーツが一新されている。あと、多分はいてない。

初音ミクのイメージがイラストレーターのKEIによるものであったのに対して、初音ミクAppendではフィギュア原型師の浅井真紀が造形を行い、その画像を元にイラストレーターのねこいたがデジタルイラストにするという方式をとっている。
この浅井真紀による原型はMiku(Zero-Vocalist ver)と呼ばれる。

クリプトンの初音ミクのプロデュースを担当している佐々木渉と初音ミクAppendの造形を担当した浅井真紀がキャラクターイメージに留まらないコンセプトと初音ミクAppendの今後の使われ方やVOCALOID3まで見据えた将来の展望などを、以下のASCII.jpのインタビュー記事で明かしている。

佐々木渉×浅井真紀ロングインタビュー初音ミク Appendに託された「ものづくりの心」

また、既にいくつも作られている初音ミクAppendを使用した曲に比べて、ビジュアルイメージを前面に出した動画作品などは比較的少ない傾向にある。
これは最近の初音ミクオリジナル曲のイメージイラストやPVでは、その曲に合わせた独自の衣装や格好の初音ミク、普遍的な歌詞内容の曲で初音ミク含むVocaloid キャラクターではなくオリジナルのキャラクターを用いるものが増えてきていることも関係しているのかもしれない。

MMDのユーザモデルにも複数種類の初音ミクAppendが作られているが、MMD 動画作品においては当初はメインで登場するよりも従来の初音ミクと組み合わせて、変化や変身を象徴するような表現や場面での使用の方が目に付く傾向があった。その後、2012年にTda式Appendミクのユーザモデルが公開されてからは同モデルを用いた動画作品が多数作られるようになり状況が一変した。