上下分離方式とは、施設の保有と運営を別組織にする方式のことである。
上下分離方式とは、インフラ(鉄道・道路・空港)経営において、下部(インフラの所有・保持)と上部(運行・運営を行う組織)を分離し、下部と上部の会計を独立させる方式である。インフラ保持における不採算の処理の為に採用されることが多く、下部においては行政(国家、地方自治体)などが保持していることが多い。整備については公共が実施し施設貸与の形で運行を民営化する場合や、地方の赤字民間鉄道の路盤部分を行政が引き取ることで上下分離とする、公共の資産を指定管理者制度を用いて運用だけ委託するなど複数のパターンがある。
日本においては高速道路他、空港、地方鉄道や新幹線の路盤などでこの方式を採用している。また、一度、鉄道が衰退してしまった欧州においては、多くの場合で路盤を国家が保有し民間に貸し出す形をとっている。
具体的には日本高速道路保有・債務返済機構が保有し、具体的な運用保守はNEXCO( NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本)、首都高速道路株式会社、阪神高速道路株式会社、JB本四高速が借り受ける形で行っている。
それにより日本高速道路保有・債務返済機構は賃料によって過去の借金の返済などに専念している。
愛知県内の有料道路8路線が上下分離され、運営は愛知道路コンセッション(前田建設工業などが中心となって作成した特別目的会社)に引き継がれている。 30年分の運営権料として県には1377億円を支払っている。
山形新幹線では新幹線と在来線の相互直通運転の為に施設改良を実施し、改良に伴う部分を分離する形とした。
第三セクターが下部を保持し運行事業者に貸しつける形をとった。
新しい路線を引いた場合の事例。施設の整備保有を奈良県・奈良市・生駒市等の地方自治体及び民間会社が出資する第三セクター(奈良生駒高速鉄道)が担当、運行を近畿日本鉄道が行っている。
新幹線の整備に伴いJRから経営分離された路線を初期から上下分離する事例。施設保有・管理を青森県、運行を第三セクター(青い森鉄道)が行っている。西九州新幹線開業後の長崎本線は例外的にJR九州が運営しているが施設保有・管理を長崎県が行っている。
近年多い事例。経営難に苦しむ地方民鉄(大手民鉄の不採算路線から経営分離した民鉄などを含む)の下部を自治体が引き取るパターン。民鉄側は設備維持費などの固定費の負担が大幅に軽減されることによる経営改善が期待出来るが、その負担は自治体即ち国民・住民の税金で賄うこととなるため、特に財政に余裕のない自治体からは上下分離の提案を蹴られることも少なくない。上記の様な路線が災害で不通になった際に復旧の条件として持ちかけられる事がある。
仙台空港が2016年7月1日をもって上下分離し民営化した。運営するのは東急電鉄の子会社である仙台国際空港。
欧州では大部分の国において上下分離となっている。また、同時にオープンアクセスを基本方針として採用している。簡単にいうとお金と手続きさえしっかりしていればだれでも日本で言う処の第二種鉄道事業を運営でき乗り入れできる。イタリアのイタロが運航できるのには上記のオープンアクセスの恩恵が大きい。
アメリカの旅客鉄道も上下分離方式だが日本や欧州とは状況が違っている。旅客は公共企業体であるアムトラックが運営しているのだが、北東回廊などを除けば自前では路線を持っておらず、アメリカの貨物鉄道の持つ路線を借り受けて事業を行っている。一番近いのは日本におけるJR貨物の状況だが、路盤を貸すのが民間で借り受けるのが公共企業体という点で大きく違っている。
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最終更新:2024/12/23(月) 09:00
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