ドラケンとは (ドラケンとは) [単語記事]

概要

スウェーデンは国是として自主防衛として戦闘機の開発など独力で行っており、その流れで開発された戦闘機であるが、1950年代とは思えないほど先進的なコンセプトと機体形状をもって生まれたのがJ35ドラケンである。
滑走路が破壊されたことを考え、2000m級の直線道路から飛びたてるSTOL性能や10分以内で給油、武器の装備などが行えるなど、メンテナンス性にも配慮された機体は当時のスウェーデンが置かれた国情からは当然のことだったが、スウェーデンという小国が単独でそのような性能をもつ(エンジンのみイギリス製エンジンのライセンス生産とはいえ)マッハ2級戦闘機を作り上げたことは賞賛してもよい。
(ちなみに初飛行は1955年。この時期はイギリスではBAC ライトニング、アメリカではF-104などが初飛行している)
スウェーデンだけではなくフィンランド、デンマーク、オーストリア空軍などで使用されているが、現在すべての国の空軍からは退役している。

また、ドラケンを最初とするダブルデルタ翼・ブレンデットウィングボディ形状は以後の航空機デザインに大きな影響を及ぼし、コンコルドやスペースシャトルなどに受け継がれた。

北欧の小国が生んだ隠れた傑作機であるといっても間違いはないだろう。
…まぁ、この機体がどうして日本で有名になったかといえば「エリア88」で風間真が乗った機体だから、というのが一番の大きな理由なのだが。

…さて、ドラケンの評価については「隠れた傑作機」扱いが一般ではあったようなのだが、最近航空雑誌でオーストリア空軍のドラケンを取材したカメラマン・記者のレポートが掲載されており、ここではドラケンに対して厳しい評価がされている。
スウェーデン国内のトンネルなどの制限により垂直尾翼の高さが不足していることからAOA(迎角)に厳しい制限があること、全幅もトレーラーによる輸送を考えていたことで機体サイズがコンパクトすぎるためか、燃料タンクが過小のため滞空時間が少ないという指摘がされていた。
総じて手厳しい評価ではあるが、初飛行が1955年であることを考えればいささか同情の余地はあるのではないかとは思われる。