光速より速く運動できるとされている粒子。ギリシャ語の「ταχύς(ターキス、速いという意)」が名前の由来。
超光速粒子の概念は1904年にアルノルト・ゾンマーフェルトによって提唱され、1967年にジェラルド・ファインバーグによってタキオンと命名された。
タキオンの存在は特殊相対性理論において矛盾しないようなんとか説明できることから、提唱以来何人かの科学者がタキオンの観測に挑んでいるものの、現在のところタキオンが実際に観測されたという事例は存在しない。2011年にはニュートリノが光速を超えたという実験結果が出て話題になったが、後に実験設備に不備があったとして撤回された。似たような事例はこれ以前にもいくつかある。
特殊相対性理論において、運動している粒子の質量は静止時の質量と異なるとされている。粒子の質量mは粒子の速度vと静止質量m0を用いて以下のように表される(cは真空中の光速度)。
このとき、速度vが光速cより速い場合(v>c)を考えると、ルートの内部が負になり、右辺の分母が純虚数になる。左辺の質量が(タキオンが実際に運動していると仮定しているため)実数であることを踏まえるとタキオンの静止質量が虚数であることがわかる。
「質量が虚数ってどういうこっちゃ?」と思われるかもしれないが、v<cにおいてタキオンの質量が虚数になるというのはタキオンの速度に上限はないが、下限は存在しており光速以下の速度では運動できないと解釈することができる。「静止質量が実数である普通の粒子がv>cのときに質量が虚数になる→その粒子はv>cを満たすことができない、すなわち光速を超えられない」というのと同じ原理である。
タキオンと比較する意味で、速度が光速と等しい(v=c)粒子をルクシオン(luxon)、速度が光速より遅い(v<c)粒子をターディオン(tardyon)と呼ぶこともある。
また、相対性理論において粒子のもつエネルギーEを記述する式は、
のように表される(ここでv=0とした際に出てくるのが有名なE=mc2という式である)。これまでの式を合わせて考えると、v>cと仮定した場合、速度vが上昇するほどタキオンのエネルギーEは減っていき、vが無限大に近づくほどEは限りなくゼロに近づくということがわかる(ちなみにvが無限大、Eがゼロとなったタキオンのことを「超越タキオン」と呼ぶ)。これは速度とともにエネルギーが増加するターディオンとは真逆の関係にあたる。
タキオン・ルクシオン・ターディオンにおける速度vとエネルギーEの関係をグラフに表すと、右図のようになる。このグラフからも、タキオンが光速以下になれず、ターディオンが光速以上になれないことがわかるだろう。
このようにタキオンとターディオンに関する物理法則は真逆であり、両者が干渉する場においては特殊相対性理論の原理である「物理法則は慣性系によらない」を破ることになるため、タキオンとターディオンが直接干渉することは特殊相対性理論において不可能である。
ちなみに場の量子論においてはタキオン場という形でタキオンを記述することは可能であるが、実在するものとして扱うにはあまりにも不安定であるというのが実情である。
上述したようにタキオンとターディオンが直接干渉することはできないため、何らかの観測機器を用いてタキオンを直接観測することは理論上不可能である。
タキオンの観測方法として最も有力視されているのはチェレンコフ放射を利用するものである。チェレンコフ放射というのは「ある物質内で荷電粒子がその物質中の光速よりも速く運動すると光が出る」現象のことで、「真空中でチェレンコフ放射が観測される→光速より速いタキオンが存在することの証明になる」というからくりである。
しかしこの方法を用いた実験は過去に何度か行われているが、タキオンの発見には至っていないのが現状である。
特殊相対性理論では「光速より速い速度で運動すると、時間軸を逆行する」と考えられている。すなわち、超光速粒子であるタキオンを利用すれば現在から過去に向けて情報を発信することが可能になると思われる。こうなれば当たり馬券の情報や、予測できなかった大災害の情報なんかも過去に送ることができるようになるので、まさに夢のような話である。因果律の破れとか知らない
ゆくゆくは人間のようなターディオンで構成された物質そのものを過去に送る技術も実現するかもしれないが、そもそも現時点においてタキオンが仮説上の粒子にすぎない上に、仮に実在が認められたとしても越えねばならない物理学的ハードルが多すぎるため夢のまた夢の話である。
物理学には時間の矢という概念が存在する。時間が進む方向は、現在から未来へしか進まない。時間は逆行しない。特殊相対性理論でいう、「過去への通信」というのは、ある速度で進んでいる系と別の速度で進んでいる系があるとき、光で通信する場合、系それぞれの固有時間が違うので、その固有時間の異なる系に通信が可能であるということである。例えば、ほぼ光の速度で限りなく早く遠ざかる系に対して、光の速度を超える通信手段があれば、通信ができる。理論的な部分は時間反転を参照。
まったく、わからないけれども、光の速度を超えるとどうなるのか、誰も観測できていないので、わからない。もしかしたら、ワームホールや虚数時空間や、ホワイトホールとか、超極微粒子は少しタイムワープしてるとか、正体のわからないものが関係しているかもしれない。ハードルは高い。夢のまた、夢のまた夢の話である。
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最終更新:2024/12/23(月) 19:00
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