オルフェウスとは (オルフェウスとは) [単語記事]

オルフェウスとは・・・

この記事では主に上記の1.および2.について解説する。

1.ギリシャ神話の詩人として

古代ギリシャの神話に登場する人物。古代ギリシャ語では「Ὀρ φ εύς」と表記し「オルペウス」と発音していたようだ。日本ではラテン語風の発音「オルフェウス」として知られる。

ミューズの一人にして「叙事詩」（叙情詩、エレジー）・美声を司る女神カリオペの息子。父はオイアグロスと言われているが、（名義上）アポロンという説もある。竪琴の技術をアポロンより伝授され、その腕は動物はおろか物言わぬ草木すら魅了するほどだった。

アルゴナウタイに参加した際には、船乗りを誘惑するセイレーンの歌声に立ち向かう。彼は船の先頭に立って竪琴を演奏しながら歌を歌い、仲間を正気に立ち返らせた。『オデュッセイア』におけるオデュッセウスと併せて、抵抗に成功したのはこの２例だけである。

その後オルフェウスはニンフ（妖精）のエウリュディケと結婚した。二人は深く互いを愛していたが、ある時エウリュディケはアリスタイオスという男に襲われて逃げる途中、踏みつけた毒蛇に噛まれて亡くなってしまう。
嘆き悲しんだオルフェウスはエウリュディケを取り戻すべく、冥界へと足を踏み入れる。彼の弾く竪琴の哀切な音色に、渡し守カロンや番犬ケルベロスなどの冥界の住人も魅了され、みな涙を流して聴き入った。そして、とうとうハデスの館にてハデスとペルセポネと対面。オルフェウスは竪琴を奏でつつ「妻を帰してほしい」と懇願する。この愛と悲しみの歌を聞いて泣かないものはいなかった。
ハデスは願いを聞き入れ、ある条件を付けて返すことを約束する。それは「冥界から抜け出すまでの間、決して後ろを振り返ってはならない」というものであった。オルフェウスは妻の手を引いて地上を目指すが、あと少しという所で「本当に彼女はついてきているのか」と不安に駆られて後ろを振り向いてしまった。その瞬間、エウリュディケは冥界へと消えていった。

これ以後、オルフェウスは癒えぬ悲しみと共に、女性を避けて生きるようになった。
そんな彼が見向きもしなかったのが、酒の神ディオニュソスの女信者たるマイナスである。酩酊によって正気を失った彼女達は恨みを込めてオルフェウスを襲い、八つ裂きにしてしまった。異説ではオルフェウス教（後述）を広め、古き神々の崇拝を軽んじたことを憎んだディオニュソスが、マイナスをけしかけたともいう。
その死体は川に投げ込まれ、彼の首と竪琴は流れ流れてレスボス島に漂着した。島の人間によって手厚く葬られた事で、以後レスボス島はオルフェウスの加護の下、多くの文人を輩出する。
その後竪琴はオルフェウスの死を悼んだアポロンによって天に上げられ、こと座になった。

しかし死んだオルフェウスは冥界に下り、そこでエウリデュケと再び巡り合えた。二人は二度と離される事なく、幸せに暮らしたという。

オルフェウス教

古代ギリシャの密儀宗教。神話上の詩人オルフェウスが始めたというので、この名がある。

元々ギリシャ原住民の神にして酒の神・ディオニュソスの崇拝につながるもので、紀元前7世紀にこれから独立、紀元前6世紀にはその中心地アテナイからギリシャ全土、イタリア南部にも広がった。
その教義はエジプト、メソポタミアなどの宗教の影響を受け、霊肉二元論と輪廻思想にたち、霊魂は肉体より解放された時に神と合一できるとする。このためには戒律を守り禁欲を行なってディオニュソスの祭儀に加わり、霊魂を清めれば良い、こうすれば輪廻の業を逃れて永遠の幸福に入ることが出来る。

ギリシャ神話に対して、オルフェウス教のような個人的・心霊的宗教が広まったのは、当時の庶民生活の苦しさを繁栄したからである。
オルフェウス教の信者は、比較的奴隷などの下層民が多かった。この宗教の持つ霊肉二元論は、ピュタゴラス学派やプラトンの思想に影響を与えた、そこを通じてキリスト教に流れ込んでいる。

1.の関連項目

ギリシア神話
神話上の関連用語一覧
詩人
セイレーン
イザナギ - 日本神話の神。「死した妻に会いに黄泉国に行くが失敗してしまう」という、オルフェウスと良く似た話が伝えられている。
地獄のオルフェ - オッフェンバックのオペレッタ（歌劇）。上記の神話に題材をとっているが、非常にコミカルかつ風刺的な内容。「地獄のギャロップ」こと「天国と地獄」が有名。
黒いオルフェ - 1959年の映画。オルフェウスの神話を題材とした戯曲『オルフェウ・ダ・コンセイサゥン』を原作とし、舞台をブラジル・リオデジャネイロに移して男女の愛と死別を描く。カンヌ国際映画祭パルム・ドール、アカデミー賞外国語映画賞を受賞。
聖闘士星矢 - 白銀聖闘士・琴座（ライラ）のオルフェとして「冥界編」に登場。初出は映画『邪神エリス』で、争いの女神エリスに忠を誓う亡霊聖闘士・琴座（ライラ）のオルフェウスという名前だった。また設定とデザインを継承した別キャラ、神闘士・エータ星ベネトナーシュのミーメがアニメオリジナル「アスガルド編」に登場している。

2.”ペルソナ”として

我は汝、汝は我・・・
我は汝の心の海より出でし者・・・
幽玄の奏者
オルフェウスなり！

アトラス制作のRPG『ペルソナ3』の主人公(キタロー)が最初に覚醒するペルソナ。
属性:愚者初期Lv1
力:2 魔:2 耐:2 速:2 運:2
雷と闇に弱い。

とある条件を満たすことで、合体解禁となる上位ペルソナ「オルフェウス・改」も存在する。『ペルソナ3FES』にて追加された。
属性:愚者初期Lv90
力:62 魔:62 耐:62 速:62 運:62
全属性に耐性を持つ。

『ペルソナ3FES』において最も作成に手間がかかるであろうペルソナ。なにせ解禁条件が｢全てのコミュをMAXにする｣という達成する為に緻密なプレイングが要求される条件なためである。

ただし得られるモノは非常に大きい。能力値や耐性が優秀なことはもちろん、愚者のアルカナの特徴である｢あらゆるスキルの継承が可能｣という点も備えている。材料にこだわれば、ラグナロク・ニブルヘイム・万物流転・真理の雷・明けの明星といった各属性の最強スキルの同時所有も可能。ただし継承スキルを絞れない＋スキル総数が最大48な為確実に〇×マラソンに明け暮れることになる。ペルソナ3ポータブルではスキルカードのおかげで多少楽になったが。