セイレーンとは (セイレーンとは) [単語記事]

セイレーン（Σ ε ι ρήν）とは、ギリシア神話に登場する海の怪物である。
警笛・警報を意味する「サイレン」の語源。

人間の女性と鳥類が混ざった姿をしており、その歌声で船乗りたちを誘惑するといわれている。

曖昧さ回避

セイレーン(ファイナルファンタジーシリーズ) - ゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズに登場する召喚獣、幻獣、アンデット etc。
セイレーン(スイートプリキュア♪) - アニメ『スイートプリキュア♪』の登場人物。
セイレーン(アズールレーン) - ゲーム『アズールレーン』に登場するキャラクター、勢力。
セイレーン連邦 - アニメ『YAMATO2520』に登場する国家。
デーモン・セイレーン - 『クトゥルフ神話』の神。

概要

美しい歌声で船乗りたちを誘惑し、遭難・難破・水死させる怪物。

鳥と女性の融合体ではあるが、人と鳥の比率は物語によってさまざま。
後世では鳥と人の融合体ではなく、人と魚の融合体でも表現され、人魚の姿をしているセイレーンも登場する。
共通しているのはその美しい歌声と容姿、そして船乗りたちへの危険性である。

もともとは豊穣を司る女神デメテルの侍女だったが、デメテルの娘コレー（後のペルセポネー）がハデスに誘拐された時、阻止する事が出来なかった。これをデメテルに責められ、罰として姿を変えられたとも、コレーを探す為に自ら鳥に変身したともされる。また別伝ではコレーの誘拐を悲しみ続けて恋を忘れてしまった為に美神アプロディーテーの怒りをかい、鳥に変えられたともいう。

アルゴナウタイの活躍を描く『アルゴナウティカ』と、オデュッセウスの困難な旅を描く『オデュッセイア』に、その姿が描かれる。
『アルゴナウティカ』では、セイレーンの住まう岩礁をアルゴーが通過する際、彼女たちの歌に対抗してオルフェウスが竪琴を鳴らし、無事に通過できた。唯一養蜂家のブーテースだけは抵抗できずに海に身を投げてしまったが、彼を気に入ったアプロディーテーに救出され、シチリア島に漂着。アプロディーテーと結ばれ、一子を授かっている。
『オデュッセイア』では、故国イタケーへの帰還を目指すオデュッセウス一行の船が岩礁に差し掛かる所で登場。しかしオデュッセウスはあらかじめ部下達の耳に蜜蝋で封をし、自分だけ歌を楽しむ為にマストに縛りつけてもらっていた。美しい歌声に魅了されて暴れるオデュッセウスをよそに部下達は全力で櫓をこぎ、彼が正気を取り戻した所で難所を通過したと知った。
自らの歌が通じなかった事を恥じたセイレーンは次々と海に身を投げて死んだという。

セイレーンと同系列の怪物として同じくギリシア神話にハルピュイア（ハーピー）という女性と鳥類の融合体の怪物が登場する。しかし、ハルピュイアはセイレーンと違い、醜く悪臭がするという描写がなされ、その鳴き声もひどいものとなっている。
現代の創作作品ではセイレーンとハルピュイアのイメージが混ぜられて、歌がうまかったり、音楽が好きなハーピーが登場したりすることがある。