「あなたは、トレンドを嘲笑していないでしょうか?」
そう語るのは、転職エージェント「キープレイヤーズ」代表の高野秀敏さん。1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の経験を持つヘッドハンターであり、「現場」と「経営者」の両方の視点で、「圧倒的に活躍する人たち」と関わってきました。
その高野さんがベンチャー流の「結果を出す働き方」をまとめた書籍『ベンチャーの作法』が刊行。発売たちまち重版し、“きれいごと”抜きの仕事論に、「若手のときに知りたかった!」「現代のビジネスパーソンの必読書だ!」と、SNSでも多数の感想が投稿されるなど異例の反響となっています。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「トレンドとの向き合い方」についてお伝えします。
「トレンド」を嘲笑してはいけない
「結果がすべて」の世界で成功するのは、素早く行動できる人です。
そうなるために、心がけてもらいたいことがあります。
「トレンド」に敏感になりましょう。
流行りをいち早く察知して、自分でも体験してみるようにしてください。
アメリカで誕生した音声配信SNSアプリ「Clubhouse」。2020年に日本に上陸した際、私の周りのベンチャー経営者たちはいち早く利用し始めました。
2023年、Meta社が新たなSNS「Threads」を発表した際も同様でした。
これが伸びるかどうか当時は誰もわかっていませんでしたが、FacebookやInstagramをやっている巨大テック企業の新サービスですから、とりあえずやってみてから考えればいい。
そう思って行動できるような人だけが、結果を出せます。
「嘲笑」するだけはイタすぎる
「そうは言っても、ClubhouseもThreadsも一瞬のブームで終わったじゃないか」
そう思った人は、要注意です。
自分で試しもせず、遠くから眺めて「ほら見たことか」と嘲笑するのは、まさに評論家のやることです。
せめて自分で試してから批判しましょう。その姿勢のままではセカンドペンギンになるどころか、群れの後方に追いやられ、たとえ魚群が見つかっても獲物にありつくことはできません。
新しい技術やサービスは、そのほとんどが一過性のトレンドで終わります。
ですがそういったもののなかから、次の時代の常識が生まれます。
「人材紹介業」というグレーゾーン
人材紹介業も、かつては正式には認められていない仕事でした。
とはいえ当時すでに、転職が当たり前になるトレンドの兆しがありました。
その流れを察知した人たちは、「人事コンサルティング」という契約内容にして、採用の手伝いをしていたのです。私も含めて当時の人材紹介業は、どの会社もそうやっていました。
その後、厚労省の許認可事業になり市場は爆発的に広がり、その規模は今では6000億円とも言われます。
競争環境は激しくなりましたが、認可前から先行して事業を始めてポジションを築いていた人や企業は、市場がレッドオーシャンになっても地位を奪われずにすみました。
「やってみる」ことが大事
新しいことにこそ、ビジネスの芽があります。
何が次の時代の常識になるかなんて誰にもわかりません。
ですが今流行っているということは、そこには何かしら人の心をつかみ、動かす理由があるということです。
目の前で起きていることに対して敏感になり、「やってみる」ことが大事です。
まず体験して、その現象の背景に目を向けてみる。
そこからビジネスの新しいアイデアを考えてみる。
ベンチャーで結果を出す人は皆、これを癖にしています。
(本稿は、書籍『ベンチャーの作法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)