同じことを言われているのに「この人は感じがいい」「あの人は感じが悪い」と言われる違いとは?
それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんです。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか? この連載では、「顧客ロイヤルティ」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「気づかいのコツ」について紹介しましょう。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
同じことでも「印象」は変わる
同じことを言われているのに、「この人だと感じがいいけれど、あの人だと感じ悪い」という印象を持つことがあります。
先日、あるお店でバーコード決済をしようとしたときのことです。
専用機械にスマホをかざしても反応しません。
すると、レジの担当者の方から「もっと近づけていただかないと、こちらの機械が反応しません」と案内されました。
思わず「あ、すみません」と謝ってしまいました。
別の日に、他のお店で精算しようとしたら、また同じ現象が起きました。
その時は、レジの方から「もう少し近づけていただくと、反応すると思います」と案内されました。
自然と口から出たのが「ありがとうございます」でした。
まったく同じ案内なのに、こちらの反応が異なったのは、なぜでしょうか。
「肯定形」で伝えよう
最初のお店では、「~しないと~しない」と、否定形で案内していました。
一方、二つめのお店は「~すると、~する」と、肯定形で伝えています。
同じことを伝えているのに、二回も否定されるより、肯定形で伝えられたほうが、格段に感じよいことがわかります。
オフィスでも、数多くの肯定形の出番があります。
「その件は、うちの部の担当ではないので、お受けできません」
→ 「その件は、〇〇部が担当ですので、あらためて問い合わせていただけますか」
「担当者が不在ですので、いまお答えできません」
→ 「戻り次第、担当者からお答えします」
やはり、後者のほうが耳にやさしいですよね。
最初はとっさに肯定表現が出てこないかもしれません。
でも、使い続けるうちに習慣になります(使わなければ習慣にならないのではなく、使い続ければ習慣になりますよ)。
(本記事は、『気づかいの壁』の著者・川原礼子氏が特別に書き下ろしたものです。)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。