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私が勤務する知的障害者入所支援施設でヴォイニッチ手稿を読める利用者さんがいます。その人は程度区分4なので普通に会話も出来ますし、余暇時間に普通にiPadで動画を観たりしている、どちらかというと精神の気が強いような感じの人です。 ある日その人が、偶然なのでしょうがiPadをいじってヴォイニッチ手稿の画像に辿り着いたらしく、それを見て笑ったり独語を続けていたりしたので職員が気になって声かけした事がきっかけでした。 するとその人は『このナーナは面白いよ』と言いました。 職員が『ナーナ? ナーナって何ですか?』と尋ねると、その人はヴォイニッチ手稿の画像の文字を指さしで追いながら『ナーナ。ナーナでしょ?』と言いました。その人は、その字を『ナーナ』と認識しているようで、それはその書物のタイトルというか、『図鑑』のような分類を言っているようで、『分かって当然』のような口ぶりで言っていました。 職員の中には既にヴォイニッチ手稿を知っている者もいましたので『これ、ヴォイニッチですか?』と尋ねたりもしましたが、その人は『ヴォイニッチってなんだよソレ?』と返し、『これ、シャガのナーナでしょ。久し振りに見たね。面白しれぇ。』とイマイチ意味が分からない返答をしてきます。 私たちも一応、相談支援の専門員でもあるので、その人の言うことには否定せず『へぇ、そんなに面白いことが書いてあるんですか?』と話を合わせてみると、その人は『だって、ココ、ほら』と言って文字を指さしでなぞりながら、全く聴いたことの無いような単語を口にしながら読み上げて、『そうなんだよ、いっつも草が人を見てるんだよ』と言ったり、『サマは草に命令して、人間は草の命令に従って動く一番バカな生き物、正解だよー』と訳して大笑いしたり、『そうそう、男を動かしているのはこの草、女を動かしているのはこの草、怒って人をぶん殴ったりさせるのはこの草のせいで、笑わせたりするのはこの草のせい。こんなナーナもあったんだ。誰が書いたんだろ。スゲーなぁ。』と、はしゃいだりしていました。 私たちは驚きましたが、それでも冷静に『どこでこんな字を習ったんですか?』と尋ねると、その人は『あれ?』って感じで眼球が上を向きましたが、『子どもの頃にそろばん塾にいたイラン人の【ムベキ】っていう友達から教わった』とイマイチ曖昧な答えしか返ってきませんでした。 さらに、読めるならその文字を書いたりもできるのか聞いてみたところ、出来ないとのことで、この文字は同じ形の文字であっても一辺の線の太さが違うだけで読み方も意味も違うし、左上の跳ねは数字を表していて、その数字の順に文字を読んでいくとのことで、文字自体も文字というより絵文字顔文字のように覚えたため専用の道具を使わないと書くのは難しいとのこと。 本人曰く『悟空、悟飯、ベジータは絵で見ればそれぞれ名前を言えるけど、名前言われて描けって言われても完璧に描けないでしょ』というようなニュアンスで説明していました。 その後も何日かに渡って、彼にヴォイニッチの『日本語訳』を聴かせてもらいメモをとってきましたが、やはり彼も最近ネットで噂されているように、この本には知られてはいけないような個所もあるようで、全文の訳は聴き取れませんでした。 その個所以外の翻訳を改訂して書き起こすと以下のようになります。 まず、この手稿の前半、植物の挿絵が描かれているページの殆どは『【オフィシナリス】という植物を駆逐するために作られた【対抗植物】の歴史と、その設計図』のようなものだそうです。 手稿の後半に、『シャガに住む19人のサマが、生活に必要なエネルギーを採るために地球と呼ぶ牧場で人間を飼育し始めた。人間の管理を植物道具に任せていて、その中で人間の数の管理を【オフィシナリス】に任せていたが、サマを裏切って人間を可愛がって数を増やした【オフィシナリス】は、サマの作った兵器植物によって攻められる。しかし、オフィシナリスの裏切りによって急激に数を増した人間は、やがてサマの手に負えなくなり、裏切り者のオフィシナリスも人間の手によって守られながら強く進化して益々人間の数を増やしている。』 『19人のサマは、これまでにこんなに沢山の植物を作ってオフィシナリスと人間の数の維持に励んできたが、最初から根本的に間違っていたのかもしれないと思った。人間から採れるエネルギーは小さく、効率が悪いのは最初から問題だった。』 『モンヌサ(悪魔?)からエネルギーを採るには私たちの2人と1/4を犠牲にする燃料(?)が必要だが、時間を犠牲にしないから、そのほうが良かった。』 『人間と一緒に沢山の植物(道具)が消えてしまうので、ナーナ(図鑑?説明書?)を残して、あとは私たちが違うところに行けば、牧場は新しいものに変わって、また始まるだろう。』 大体、こんな感じになります。 分からないところが殆どですが、正直、これを語った利用者さんは、全く読めない文字を追いながら即興でこんな話を作れるほどのアスペルな才能は無い人なので、あの文字から少なからず『何かしら』を読み取っているみたいではあります。 また、それらの文字をイラン人から教わったとのことで、アラビア語なのかと思い調べてみましたが、私が見た感じではアラビア語とは全く違い、むしろ梵字のような筆跡だと思いましたが、その人が読んで訳した単語には、それなりにそれぞれ固有の発音や意味が固定されていたし、単語の羅列でそれなりの意味を成しているので、即興の当てずっぽうで言っている感じではなく、さらに元を辿るとそのイラン人の友達というのがヴォイニッチの文字について知っていたのだと思われます。 そして、その人が『読み取れても語らなかった個所』について、『シャガにいる19人のサマのうち、植物を作れるのは7人だけで、他のサマが植物を作ろうとするとモンヌサが生まれて世界が逆転して磁石が逆を指すようになってしまう。それは最後の先にある光だが、オフィシナリスがこのまま人間の味方をするなら、全てを黒色か白色に戻すのが正しい。』という一文の先が『言えない個所』であり、その先の数ページが抜けているらしいのですが、その先のミニデーモンみたいな挿絵から、磁場を反転させる道具?のような『モンヌサ』という悪魔?力?抽象的な何か?の精製、製造マニュアルのような記載なのではないかと推測されます。 ただ、具体的にその製造方法が書かれているとしても、現代の私たち人間の技術では『モンヌサ』はおろか、前述の植物でさえ作り出すほどの知識も技術力も無いので、べつに全文翻訳されてしまっても問題は無いと思ってしまうところです。 ここまでの情報をまとめると、ヴォイニッチ手稿とは、それを知っていて読める人にしてみれば、それはヴォイニッチなどという名前ではなく『ナーナ』というマニュアル本のような物のようです。そして、その内容は主に、エネルギー源として蓄えておく人間の数を制限するための手段というか、人間の数を無碍に増やしてしまう【オフィシナリス】という反逆の植物を駆逐するための植物の作り方を記した説明書で、中には人間からエネルギーを抽出する方法や、より効率的にエネルギーを抽出出来るよう人間の進化を導く案などが差し込まれており、最終的に上手くいかなくなった場合の消去の手段についても記載されていると思われます。 最終手段まで書かれていると推測される事から、この書物が『シャガ』の世界から流出した物と考えるより、既に最終手段は成されている段階での『伝記』のようなもので、『シャガの世界』を知る者、又はサマの誰かが記録として書き残しておいたものと推測する方が自然だと思うところです。 ただ、私にも未だ『19人のサマ』『植物を作れる7人と、その他のサマが生み出してしまうモンヌサという負の存在』『人間を増やすオフィシナリスという植物』『磁石が逆になる世界の逆転』など、いくら考察してみても分からない文章も非常に多いので、内容については殆ど理解できていないと言って良い状況で、それら一つひとつの読解はこれからだと思っています。
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