ショートショートを書きました 面白い、つまらない、どっちでしょう? 評価、感想を下さい。 「隗岏仁VSジアリ」 先に仕掛けたのは隗岏仁の方だった。 覚悟は出来ていたが、ジアリは一瞬、妙な感覚にとらわれた。からだは正直でジアリの肌は粟立っていた。 それを見た隗岏仁はさらに攻勢を強めた。このまま一気に勝負を決めてしまおうとスパートをかけた。 だが、自分を鼓舞するようにジアリは叫んだ。 「そうはさせるか!」 そうしてすぐさま同じ技をもって隗岏仁に対抗した。 ノーガードのせめぎ合い。二人はこう撃のみに特化している。肉が擦れる音が響きわたっていた。 戦いは時間無制限の一本勝負。 審判もいなければ、他の者が入り込む余地もない。戦いは二人だけの世界で、どちらかが精根尽きるまで続く。 互いに相手の顔は見られなかった。表情がわからないところに、この勝負の難しさがある。 一つ確実なことがある。それは経験がものを言うということだ。 つまり、年の功は技の功でもあった。すると年長者の隗岏仁のほうに分がある。 隗岏仁は攻め方に変化をつけた。それまでの荒療治一辺倒から緩急をつけ、スロー&ソフトに転じた。 「うっ、あっ」 隗岏仁の作戦は当たった。ジアリはたまらず声を漏らした。スロー&ソフトは効果てきめんである。痙攣したかのようにピクピクしている。 「そうか、ここか。ここが貴様の弱点か」 熟練の技は冴えに冴えた。隗岏仁は何度もこうして相手を陥落させている。燃えるような目をして勝利に突き進んだ。 だが落とし穴はどこにあるかわからないものだ。ラストスパートをかけたところで隗岏仁は仰天した。 「なっ、なんと!このソフトタッチは?!」 隗岏仁の技を学習したジアリの逆襲が始まっていた。隗岏仁は自分の技を盗まれ、あろうことかその技によって悶え、苦境に立たされている。 ジアリは窮地を脱し息を吹き返した。隗岏仁に傾きかけていた勝負の行方は、これでまったく分からなくなってしまった。 「この戦い、そう簡単には終わらせないぞ」 一旦口から放しジアリはいった 「私もだ」 と隗岏仁も口から抜いていった。 そこから両者互角の持久戦に突入した。 勝負が決まるその瞬間まで、一歩も引かないと覚悟を決めた意地のぶつかり合いは、永遠とも思える時間の中で激しく火花を散らしていた。 体勢は入れ替わった。今度は隗岏仁が下で、ジアリは上になった。 ジュルジュルジュル。チュパチュパチュパ。 二人のロクジュウキュウは終わらない。