放送作家・佐藤満春が「また一緒に仕事したい」と思った人間は?/凡人の戦略
公開日:2024/11/7
『凡人の戦略 暗躍する仕事術』(佐藤満春 /KADOKAWA)第5回【全5回】
オードリーのオールナイトニッポン、春日ロケーション、DayDay.、キョコロヒーなど多数の番組を支える影の立役者。放送作家として担当する番組は最多で20本超!
作家、芸人、専門家…様々な顔を持つ裏方のプロ サトミツこと佐藤満春が数多くの方と関わりながら、様々な人たちに頼られ、人知れず活躍してきた暗躍の仕事術を大公開。今まで語られてこなかった佐藤の仕事哲学を紹介した本書『凡人の戦略 暗躍する仕事術』の一部を、5回連載でお届けします。
特別短期連載としてお届けしてきた佐藤満春著【凡人の戦略 暗躍する仕事術】。本書の中には読者の方から募った、様々な質問にお答えするコーナーも収録しています。ダヴィンチニュースの短期連載では、そちらの中から本書に収録しきれなかった一部をご紹介します。
Q. 昔の成功体験に引っ張られてしまうときは
昔の成功体験に引っ張られて、今の自分や、今の環境に疑問を持ってしまう瞬間がたくさんあります。無駄に誰かと比較したり、立ち止まってしまったり。。サトミツさんはそう思う時ってありますか?またどう折り合いをつけたり、前に進むパワーに変えてますか?
(ザリガニ祭り 35歳会社員)
年齢や立場、あとその時に持ち合わせた運などによってとんでもない結果が出る瞬間が訪れます。お笑いでは特にそういうことが多く、ある程度の経験値と熟考したネタと稽古量とその日のお客さんの空気、はたまた前のコンビの受け具合などでとんでもないウケ方をすることがあります。
もちろん、それだって実力なわけですがはじめた当時はそこに対して手応えを感じすぎていたように思います。環境が、ライブが、その時のテンションが変わればウケ具合も違いますしリアクションも全く違うものになります。
この場合「成功体験」を他者に委ねたから、変わるわけですが。
となると、「ネタを自分たちの間でブレずにやりきる」ことが前提の目的だったとした場合、もしかしたら「成功体験」というもの自体はもっともっと自分の手の中にあるもの(ハンドリングできるもの)になったのかもしれませんよね。もちろんそんなことすぎには気がつかないわけですが。
あなたの考える「成功体験」は誰に委ねられたものですか?あなたの手にありますか?
それ次第で少し、意識するところは変わってくるかもしれません。
お金も世の中の評価も社内の評価も、自分でどうにかできるもの・・とは言い難いですよね。
Q. オンオフの切り替えはどうやっていますか?
プロジェクトマネジメントを主に行なっているのですが、休みの日にも仕事のことで「あれ、終わっていたっけ?」や「終わらなかったらどうしよう」などと色々考えてしまいます。他人の仕事の進み具合を休みもずっと気にしても仕方ないのは分かっているのですが、オンオフの切り替えはどうやっていますか?
(ヨノモリ 29歳システムエンジニア)
お仕事お疲れ様です。
僕自身も「あの宿題は出したんだっけ」「あの企画はもっとこうしよう」などと24時間ぐるぐると頭の中で考えてしまう癖があります。まだ先の企画のことならともかく「あのオンエアはこうすればよかった」「あの時はこうだった」など過去をオートではじめている時も多いので気をつけたいところです。(まあ、本当に時々その反省が生かされることもあるのがやめにくくさせているというところもありますが・・・)
そこで、僕は不眠に陥り、薬の飲まないと眠れない身体になりました。
気分転換として実行しているのはスポーツです。1つの判断基準として
「思考をとめざるをえない状態を作ること」これは自分が動くこと(僕でいうとサッカーやフットサルです)そして夢中になるほど何かの応援をすること(僕でいうとFC町田ゼルビアというサッカーチームです)この2つによって思考する時間をストップさせることに成功しました。
旅行や温泉、マッサージの類は僕はダメでした。睡眠導入率99.9%の高級なヘッドマッサージ120分で一睡もできずに「このまま眠れなかったらどんな顔して帰ったらいいのか」と無駄なことを考えて更に眠れなくなってしまうような人間なので。
でもスポーツは違いました。なぜなら、自分が相手のディフェンダーをかわし、シュートをする瞬間は「面白いことを考えよう」とか「あそこのフリが弱かったな」など一切考える余裕がないわけです。身体が、脳が、そんな余裕を自分に与えません。
試合観戦も同じです。
逆にいうと他の時間はもう諦めました。
僕にとってのそれらがあなたにとっての何になるのか、わからないのですが是非探してみてください。僕は週1、2時間フットサルをしていますが(少なくともその間のプレーしている1時間は)全く仕事とは別の脳みそで生きております。最高です。
Q. 誰かに相談するときの基準と相談の仕方は
仕事でも生活でもきっと誰かに相談すべきときに、どう相談したらいいかわからないのと自分でなんとかしようと思うことが多く、苦しみながらいつも乗り越えています。サトミツさんが誰かに相談するときの基準と相談の仕方を教えていただきたいです。
(リトルサトミトゥース 26歳会社員)
こんにちは。僕は基本的に「相談する」ような関係でいる人が少ないです。
仕事のことやそれに近しいことは若林君に相談するでしょうか。それ以外のことは妻や子どもの意見を聞くこともあります。
この場合の「誰かに相談すべきとき」はご自身の判断ですか?
「相談すべきとき」がちょっとわからないのですが、それでなんとかなっているということは
「相談しないとわからなそうな事案」とまだ出会ってない可能性も大いにありそうだなと思いました。自分で抱えられないほどの悩みではない(いや、これは文字ではわからないのですが)可能性もあります。自然に、1人で抱えてられなくなった時、おそらくそういう出会いがあれば誰かに自然と連絡しているのではないでしょうか。
そして誰かに相談したとて、「苦しみながら乗り越える」は結果として同じで、やることはさほど変わらなかったり、します。
なので「自分でなんとかしようとする」ことは悪いことでは決してないし、「相談したらもっと楽になるはず」と思いすぎてるのかもしれませんね。相談することで解決することもあるとは思いますが、基本、自分で解決しないといけないことのほうが多いので、そんなに誰かに相談することに期待しすぎないほうが良いでは?と思いました。
Q. また一緒に仕事がしたいと思う人は
演者として、裏方として、沢山の方々とお仕事をされてきた中で「また一緒に仕事がしたいな」「もう2度と仕事したくないな」と思ったのはどんな人でしたか?
(taishow 43歳自由業)
また一緒に仕事がしたいな、と思ったのはいいものができた時、同じものを共有、イメージしながら達成できた時はそう思うと思います。
「もう2度と仕事したくないな」と思う時は何パターンかあって
「仕事はできる人だけど人間的に合わない人」
「人間的には嫌いじゃないけど仕事仕方が下品な人」
みたいなことですかね。仕事したくないな、と思った時はたいがい相手もそう思っているものなので、時間をかけて精査して、精査されている体感はあります。
向いている仕事が残り、話が合う人との仕事が残っていく印象でしょうか。