「役の芸人×放送作家」佐藤満春。自分自身の“希少性”を高めるには?/凡人の戦略
公開日:2024/11/21
『凡人の戦略 暗躍する仕事術』(佐藤満春 /KADOKAWA)第4回【全5回】
オードリーのオールナイトニッポン、春日ロケーション、DayDay.、キョコロヒーなど多数の番組を支える影の立役者。放送作家として担当する番組は最多で20本超!
作家、芸人、専門家…様々な顔を持つ裏方のプロ サトミツこと佐藤満春が数多くの方と関わりながら、様々な人たちに頼られ、人知れず活躍してきた暗躍の仕事術を大公開。今まで語られてこなかった佐藤の仕事哲学を紹介した本書『凡人の戦略 暗躍する仕事術』の一部を、5回連載でお届けします。
希少性の磨き方
僕が仕事を始めた時には〝現役の芸人×放送作家〟という肩書きを持っているのは結構レアだったとお伝えしました。でも、昔と違って今はマルチタスクが推奨されていたり、副業も精力的にこなす人が多い時代。僕と同じような肩書きを持つ人は以前より増えただろうと思います。
ただ、この芸人と放送作家という肩書きのほかにも、僕は〝トイレ専門家〟や〝掃除専門家〟の一面も持っています。もちろん、トイレと掃除について僕より詳しい人やプロは他にもたくさんいるとは思いますが、芸人もやって、放送作家もして、トイレや掃除の専門家として働く……この4つを併せ持っているのは、現時点ではきっと世界で僕ぐらいでしょう。
今だったら会社員をしながらYouTuberをしているとか、弁護士をしながら芸人さんとしても活躍するとか、そういう掛け合わせの仕事をしている人も増えていますよね。
自分自身の希少性を高めることで得られるメリットは2つあります。
1つは〝僕だから〞というオリジナリティーを高められるということ。
僕の場合は、芸人と放送作家は面白いことを考えるというくくりで考えると同じ方向性ですが、そこから遠く離れたトイレや掃除の専門家というジャンルを開拓できたことで、僕だけのオリジナリティーが生まれました。
また、裏方でもありながら出役のベースがそもそもあったことで、芸人×トイレ専門家、放送作家×ラジオパーソナリティ……など、中身を考えながらもアウトプットもできるという一石二鳥感のある役割をいただくことも増えました。
そういうオリジナリティーが育った時に、スムーズに仕事を進めることができ、周りから面白がってもらうことも増えていきました。
もう1つのメリットは希少性を高めた結果、自分を支えてくれる仕事の軸が複数でき、仕事が安定しやすくなった。そして、自分の強みが見える化し、把握できるようになったということ。
お笑いや掃除関連以外にも、僕を形成するポイントはサッカーが好きとか、町田に住んでいること、テレビ、ラジオ両方の作家をしていること、出役をしていること……など、そういう細々とした要素も、今の僕の仕事を支えてくれています。自分に紐づく仕事の幅が広がることはそれだけ生活の安定にも繫がります。
この話の冒頭でも触れましたが、昔は1つの仕事を追求して技術を高めていく仕事こそ価値が高い時代もありましたし、今もそう判断されることもあります。
そんな中で、僕は芸人でテレビスターになることは早くから諦めていました。
ひな壇に座ってリアクションを求められるのも自分の性に合わないので諦めていました。
だけど、舞台に立つのは好きだし、面白いことを考えることは好きだなと。
自分の実力に絶望して一気に様々なものをやめる選択肢ももちろんありましたが、そこで「じゃあ自分ができることはなんだ? 何なら仕事にできる?」と絶望した上で考えた結果、放送作家のお仕事は自分のベースと近そうだ、修行してみるか、とすごく自然に流れてきて、そこからあれよあれよと仕事も広がりたどり着いたのが今です。そのくらい最初はライトな入り方でしたが、その選択がなかったら間違いなく今はないと思います。