当日欠勤は当たり前、仕事のミスを押し付ける… “お荷物社員”をスカッと成敗!? ミステリー要素も楽しめる『社内探偵』

マンガ

PR公開日:2024/12/20

社内探偵
社内探偵』(かたおかみさお:作画、egumi:原作/DPNブックス/DPNブックス)

 日頃、社会に出て働いていると、社内外で絶えない人間関係のトラブル・愚痴。特に周囲へ迷惑をかけたり、加えてそれにまったく気づかないタイプが相手だと、こちらのイライラゲージは溜まるばかり。

 そんな人にとって、『社内探偵』(かたおかみさお:作画、egumi:原作/DPNブックス/DPNブックス)の主人公・久我ありさは、喉から手が出るほど欲しい人材に違いない。久我は某商社の人事部に所属する女性社員。表情があまり表に出ない無機質な態度や機関銃のように怒涛の勢いで喋るなどややクセのある人物だが、情報収集や人物観察に長けた、人事部社員としては非常に優秀な職員でもある。

advertisement
社内探偵

本連載を試し読み

社内探偵

 彼女の所属する社内の人事部には、定期的に各部署から“お荷物社員”への苦情や相談が寄せられる。ある日、そんな人事部のもとにやってきたのは企画部の女性社員・松原。彼女が持ってきたのは、同部署の問題児・飯田美和に関する相談だ。

社内探偵

 当日欠勤が多く、仕事を他のスタッフに丸投げ。勤務態度は確かにやや難ありな飯田だが、大々的な勤務規則違反に値する挙動はなく、松原の期待とは裏腹に彼女への対応はいったん保留されることに。

 だがその話を受けた後日、社員情報をチェックしていた久我は、飯田のある不自然な点に気づく。それを契機に、彼女は会社が抱える“人事の闇”に足を踏み入れることとなっていくのだ。

社内探偵

 まず本作の魅力となるのは、社会でストレスを抱える大勢の読者が求める“スカッと系”ストーリーを入り口としている点だろう。松原が不満を訴えた女性社員・飯田美和には、おそらく大勢の人が彼女と同様、その挙動にイライラさせられるはず。

社内探偵

 社会人としての常識が大幅に欠如している上に、男性社員や上司には愛嬌を振りまく一方、同性社員を含むそれ以外の人には素っ気ない態度。その結果、松原は仕事でミスを起こした飯田の尻拭いをさせられたり、余計な仕事を増やされたり。そんな様子を見ていると、松原に共感する読者も多いことだろう。

 だからこそ余計に、人事部・久我の采配にスカッとさせられる人も多いはず。同じ人事部として彼女をサポートする男性社員・町上や、飯田への勤務態度改善の一策として企画部に送り込まれた、こちらも問題児である男性社員・林。彼らの活躍にも、おもわず胸のすく思いがするだろう。

社内探偵

 一方で、本作のもう一つの見どころとなるのが、単なる“スカッと系”ストーリーでは終わらない点。飯田をはじめとした社内の問題社員への対応が上手に噛み合い、面倒事もすっきりキレイに解決…かと思いきや、物語は徐々に思わぬ方向へと転がり始める。

社内探偵

 なぜ飯田美和は、あんなにも仕事ができないのに社内で優遇されていたのか?

 久我がその諸悪の根源を少しずつ明らかにしていくことで、ストーリーは単純な勧善懲悪から、徐々に複雑に絡み合った人間関係が織り成すヒューマンサスペンスの様相を呈していく。そんな物語の変化に、軽い気持ちで読み始めたものの、気づけばページをめくる手が止まらなくなってしまった。それこそが、大勢を惹きつける本作の真の醍醐味でもある。

社内探偵

 他人へ平然と迷惑をかける問題社員の成敗…だけでは終わらない、この物語。女性社員・飯田への処遇に隠されていた社内の秘密とは。明かされる真実に、人事部・久我はどうやって立ち向かっていくのか。そのストーリーの行く末は、ぜひ自身の目で確かめてほしい。

文=ネゴト / 曽我美なつめ

あわせて読みたい