日常の「むずい」は「おもしろい!」への転換点。SNSでバズった、クレヨンしんちゃんの「先生は教えてくれない!」シリーズ第9弾の魅力を紹介

マンガ

PR公開日:2024/12/18

先生は教えてくれない! クレヨンしんちゃんの勉強がどんどん楽しくなる!
先生は教えてくれない! クレヨンしんちゃんの勉強がどんどん楽しくなる!』(臼井儀人:キャラクター原作、高田ミレイ:まんが/双葉社)

 勉強が苦手な子はもちろん、学びの本質を「子どもたちに教えるのは難しい」と悩む親世代にも読んでほしい一冊が『先生は教えてくれない! クレヨンしんちゃんの勉強がどんどん楽しくなる!』(臼井儀人:キャラクター原作、高田ミレイ:まんが/双葉社)だ。

 Xでは、親世代による「こどもに読ませたいと思って買った しんちゃんの本だけど、良すぎて 大人も熟読した方がいいやつだった」と絶賛するつぶやきも話題に。勉強で大切なのは「昨日わからなかったことが、今日は『わかった』という喜びを感じることではないでしょうか」と問いかける思いにも納得できる、本書の内容を紹介していこう。

■日常の「むずい」は「おもしろい!」への転換点

 本書ではしんのすけ、野原一家、かすかべ防衛隊…と、おなじみのキャラクターが登場する漫画も掲載。子どもたちにそっと語りかけるような口調の解説は、物事の本質を捉えていて、大人の心もグッとつかむ。

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 例えば、「勉強気分を盛り上げよう!」のパートでは、モチベーションアップの秘けつを様々に学べる。その一節にあるのが、「勉強ってつまんない。むずい」と言いたがる子どもたちへの問いかけだ。

先生は教えてくれない! クレヨンしんちゃんの勉強がどんどん楽しくなる!
p14-15

 デジタルの腕時計をほしがるしんのすけは、母のみさえが理由を尋ねると「アナグロ(アナログ)時計が読めないから」と、いつもの調子で返す。そこで、みさえはノートにアナログ時計を描き、時計の読み方をしんのすけに伝授。しんのすけは「アナグロ時計!! カッコいいから!」と、喜んだ。

 この作品のタイトルは「『わかる』と世界は変わる」だ。「むずい」と言い訳したくなる物事こそ「『なにこれ、おもしろい!』に大転換する可能性」がひそむ。勉強すれば「新しいステージが開ける」とする本書の主張は、大人にとっても心に響く教訓だ。

■料理は理科、算数、社会の勉強への出発点に

 視点を変えれば、身近な出来事すべてが勉強のヒントになる。教科ごとに「勉強が楽しくなる」秘けつも伝えるのは、本書の特徴だ。

先生は教えてくれない! クレヨンしんちゃんの勉強がどんどん楽しくなる!
p84-85

 しんのすけの友だち、ネネちゃんの父は料理上手だ。父・ひろしと共に釣りへ訪れたしんのすけと偶然、釣り場で出会ったネネちゃんの父は帰宅後、ネネちゃんの母とネネちゃんの前でアジの三枚おろしを披露し、得意料理のアジのたたきや梅かば焼きを振る舞う。

 じつは、この料理も理科に興味を持つきっかけになるという。本書によると、料理は「自然観察であり、実験」だ。ネネちゃんのように「同じアジでも焼いたら白っぽくなるのはなぜ?」と疑問を持つのも、好奇心の出発点になる。

 火を使って包丁で切るのは「実験」の予行練習になり、調味料の計測は「算数の勉強」で、扱う食材の産地を知るのは「社会の勉強」にもなりうるという。

 発想を切り替えれば、何でも勉強になる。そして、楽しい。本書に一貫して感じられるメッセージだ。ただ、大人の立場から子どもたちに伝えるのは難しい。冒頭「はじめに」で一言「お子さんといっしょにたのしんでください」とつづられている本書は、世代を問わず勉強に前向きになれる良書だ。

文=カネコシュウヘイ

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