#池上彰 の教養のススメ① 「最強の武器」
2014年4月に日経BP社から出された本。ずいぶん前の本だが中身は色あせていない。
2012年から東工大リベラルアーツセンターの教授として2016年の定年まで勤められた池上彰さんを中心に、リベラルアーツいわゆる「教養」の重要性についてユニークな視点から紹介されている本だ。「教養」を生きていくうえで「最強の武器」と位置づけ、学生をリードしているらしい。
1限目 教養についてしっておくべき12の意味
ここで12の意味をずらずら並べることはしないが、ひとつは「疑う」力を持つということだ。それから、すぐに役立たないから一生役立つのが「教養」だとも書いてある。とにかく本をたくさん読んで、歴史や人物を学ぶことが重要だと示している。
「教養」とは与えられた前提を疑う能力である
印象的な話題として「つかしんショッピングセンター」を開発するとき、堤清二氏はダメだしをしたという。その理由は「路地裏のようなところがないとダメです。人間は、ごみごみとした路地裏や下町のようなところが好きなのだから。」と言ったらしい。これに対し、筑波学園都市のように整然とした街で自殺が急増している。都市開発の基礎にもこうした「教養」が生かされるべきだと書いている。
2限目 ニッポンが弱くなったのは「教養」が足りないから
ここは哲学者の桑子敏雄教授と文化人類学者上田紀行教授と池上彰さんの三人の対談。
この本が出てからさらに10年近く経過し、”弱くなった”というより”崩壊した”社会を実感するこの頃だが、戦後日本は「お金」が「教養」より価値のある時代という教育を選択したがゆえに、「決められた枠」でしか動けない人物が育ってしまった。(自分も含むと思う)
とくに危ないのは「サラリーマン根性」で、あちこちに忖度しながら言うべきことを言わない空気を作り上げる。その結果のひとつが「公害リスク」であり「原発問題」ではないか。気づいていても上司の目を気にして何もしない。まさに「見て見ぬふりをする社会」そのままだ。同町圧力の強さが、さらに日本人をがんじがらめにしていて、型破りな発想は生まれてこないのではないだろうか。
教養とは自らが自らを教え養うこと
つまり詰込み教育のなれの果てに、本当の「教養」は存在しない、という意味なのではなかろうか。
つづき・・・
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