Culture Vulture

ライター・近藤正高のブログ

「2020TOKYO」といえば…

もはや旧聞だが、2012年のオリンピックがロンドンに決まった翌日(7月7日付)の産経新聞WEB版に、こんな記事が出ていた。

2012年五輪はロンドンで さあ「2020TOKYO」

「16年」北米開催が有力

 【シンガポール=藤本欣也】国際オリンピック委員会(IOC)は6日、シンガポールで総会を開き、パリとロンドンの決選投票の結果、2012年夏季五輪の開催地に英国のロンドンを決定した。欧米の有力都市が争った今回の招致レースで欧州が招致に成功したことで、地域的なバランスを考えると、次回16年開催都市は北米が有力。

 20年夏季五輪の国内招致を目標に掲げる日本オリンピック委員会(JOC)ではこの結果を受けて、今後、本格的な戦略を早急に立てることが求められそうだ。08年夏季五輪の誘致では大阪市が惨敗しているだけに、今回の投票結果の徹底した分析も必要だ。

 http://www.sankei.co.jp/news/050707/morning/07gor001.htm

上記の文章からは、2020年の夏季五輪の日本国内への召致をJOCが目指していることはわかるのだが、それにしたって、なぜ産経新聞は《さあ「2020TOKYO」》というフレーズを掲げたのか、その理由がよくわからない。JOCはまだ、東京を候補地にするともなんとも発表していないはずだし。ひょっとして、本紙の記事ではちゃんと説明が書かれていたりするのだろうか?*1
それはそうと、「2020年に東京でオリンピック」って、どこかで聞いたことあるなあ……と思ったら
そうか、『AKIRA』だ!
1982年に第三次世界大戦が勃発してから38年後の2020年、『AKIRA』の舞台である東京湾上に浮かぶ都市「ネオ東京」では、まさにオリンピック開催に向けて着々と準備が進められていた。それが、思いがけず*2現実化する可能性が出てきたというわけである。
ま、どうせ召致するんだったら、東京湾を埋め立てて、「ネオ東京」を実現するぐらいの意気込みはほしいもんですな……って、そんなことしたら、ヒートアイランド現象がますますひどくなるか。
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ところで、『AKIRA』劇場版アニメの設定では、金田が2003年、鉄雄が2004年に生まれたという設定になっているという(参照*3)。鉄腕アトムとは同年代ということになるが、やはり意識したのだろうか。かつてアトムと人気を二分した『鉄人28号』からの影響*4については、作者の大友克洋自身が語っているだけに、少し気になるところ。

*1:実はこの産経新聞の記事を、ぼくはオリンピックブログというブログの7月7日付(2020 TOKYOは可能か?)の記事で知ったのだが、このブログではなぜ日本国内に五輪を召致するなら東京なのか、そのへんの理由が推測されている。なるほど、たとえばイギリスではこの20年ほどのあいだに、バーミンガムマンチェスターといった都市が五輪開催地に立候補しているものの、結局首都であるロンドンが立候補してようやく召致に成功しているわけで、これに倣えば、名古屋・大阪で失敗した日本もやはり、首都・東京が五輪招致に名乗り出るべき……という考え方もできるというわけか。

*2:いや、ひょっとしたらJOCの若手委員あたりは、そこらへんについて結構意識していたりするかもしれないけど。

*3:ちなみに同サイトによれば、大佐は1977年11月15日生まれらしい。ぼくとは一年違いながら誕生日が同じということで、なんだか親近感が湧いてくる。

*4:たとえば、金田や鉄雄は、『鉄人28号』の少年の名前からとったものだし、アキラ少年が実はかつて軍の開発した新兵器だったという設定は、彼のコードネームが「28号」だということも含めて、『鉄人』がまんま下敷きになっている。