現在、都知事選挙が行われている[要出典]。筆者の手元には、東京都選挙管理委員会の発行した、「東京都知事選挙 選挙公報」と題された新聞様の文書がある。この選挙公報は、「立候補者21名のうち掲載申請があった20名から提出された原稿をそのまま製版の上掲載」しているという。
この選挙公報をつらつら眺めていると、多くの立候補者の主張する公約の実現には、極めて超法規的な権力(既存の国際条約、憲法、法律、条例への違反)、日本の単年度国家予算(一般会計と特別会計を合わせて重複を省いた額、だいたい200兆円ほど)を超える金、時には物理法則を捻じ曲げる必要があることに気がついた。
しかし、それでもなお、公約を真面目に実現させた場合の状況を想像すると、なかなかにユーモラスな結果となることが予想される。そこで、この記事では、今回の都知事選挙の立候補者が選挙公報に寄せた内容を公約とみなし、文字通り実現させることが可能か、そして文字通り実現させた場合に起こるユーモラスな結果を考察したい。
今回の考察にあたっては、通常の常識における制約は考慮しない。都知事には超法規的な権力が与えられ、都知事の意思ひとつで、すべての日本国が批准する国際条約からは脱退できるものとし、日本の憲法、法律、条例は変更可能とする。すべての日本国民は、さながら大躍進政策や文化大革命のごとく、都知事の計画経済にしたがって行動するものとする。あらゆる倫理、道徳より都知事の意思が優先するものとする。
ただし、最低限の制約は必要である。そこで、物理法則に違反する内容(例:永久機関)は不可能とする。また、日本の単年度国家予算(約200兆円)を超える金が必要な内容は条件付き実現可能とする。日本国外に対する内容には通常の常識を適用する。
考察する立候補者の順番は、選挙公報の順番であり、他意はない。
立花考志
この立候補者の公約は全て実現可能である。
この立候補者の主張は、東京都の条例によってMHK集金人の戸別訪問を規制するとか、放送法の改正によってNHKの受信料を支払わなくてもよくするといったたぐいのことである。今回の考察における大胆な制約の下では、NHK自体を消失させることも可能であるので、この程度のことは、他の立候補者の主張に比べれば、比較的簡単に実現可能である。
マック赤坂
この立候補者の公約は条件付き実現可能である。実現可能性は、現在の条件に依存する。
この立候補者の公約の多くは、金さえあれば実現可能である。例えば、「待機児童ゼロ、老人介護施設3倍増」とか、「中学生以下65才以上に3万円支給」とか、「東京全域バリアフリー化」などといった公約は、日本の国家予算の範囲内の金で実現できる。
また、抗うつ薬の使用禁止とか精神科医の免許取り消しなどといった公約も、法律を改正すれば容易に可能である。
「東京オリンピックを大成功させる」という公約には、日本国外の人間の動員も必要であるが、オリンピックは世界的に有名なイベントであるから、日本国内さえ十分に整備して全国民を強制徴用して動員すれば大成功は可能であろう。
ただし、疑問点はある。
「都職員に・・・能力給・信賞必罰を徹底し人員の20%カットを目指す」という内容は、論理的に成り立たない可能性がある。現在の都職員の20%以上が本来不要であるならば可能である。しかし、もし不要な都職員が20%未満であれば、彼は不要でもないのに不当に解雇される。これは信賞必罰と矛盾する。したがって、この立候補者の公約が実現可能かどうかは、現在の都職員の20%以上が不要であるかどうかにかかっている。
「スマイルあふれる東京」を実現するには、東京にいる人間に強力な抗うつ剤、あるいは筋弛緩剤(顔面を弛緩させることにより笑っているような表情にする)の摂取を義務付けるなどして、強制的にスマイルを発生させなければならない。公約では同時に抗うつ剤の禁止を主張しているので、例えば亜酸化窒素のような顔面の筋肉を弛緩させる薬品を使うのであろう。極めてディストピアな世界になるが、もちろん実現可能だ。
また、「都内のレストランにチップ制を導入」とある。日本ではチップの文化がないので、これを導入するには大躍進や文化大革命のごとき都民の強制徴用と動員が必要になる。
総合的に判断して、この立候補者の公約は、疑問点がいくつかありながらも、実現可能である。
鳥越俊太郎
この立候補者の公約は実現不可能である。
この立候補者の公約の多くは、金さえあれば実現可能である。必要な金は国家予算を超えないので実現可能である。
がん検診の促進や骨粗しょう症対策は、通常の常識の範囲内でも実現可能であるし、災害に強い東京も、金さえあれば実現可能である。
ただし疑問点はある。「希望するすべての人が正社員になれる格差のない社会をつくり」とあるが、これは難しい。ここでいう「正社員」とは労働基準法等に基づく被雇用者であって、かつ、有期契約労働者や派遣労働者や請負ではなく、仕事を依頼する人間が直接、期間を限定せず、雇用するものをいうのであろう。
これは、雇用された会社ではなく、常に客先に常駐している派遣をなくすのであれば、通常の常識の範囲内ではあるが、「希望するすべての人」という条件により、通常の常識からは外れてしまう。
例えば、筆者の自宅の壁付けコンセントが破損したとする。コンセントの修理には電気工事士の資格が必要である。筆者は同資格を保有していないので、資格保有者に修理を依頼する。もし、資格保有者が正社員を希望した場合、筆者は資格保有者を雇用しなければならない。もちろん、有期雇用契約ではなく無期雇用契約でなければならない。
これを実現するには、人を雇用する手間を極端に下げなければならない。例えば、役所に印鑑証明でも出しに行く程度の気軽さで、雇用契約を結べるよう、行政の手厚いサポートが必要だ。雇用の概念も大幅に変わるだろう。この公約が実現した社会では、都民ひとりひとりが大勢の人間を相互に雇用しあっている状態になる。もはや現在の「正社員」などどうでも良くなっているはずだ。しかし、実現可能ではある。
「職人を大切にするマイスター制度を拡充します」と書いてある。「拡充」とは大辞林 第三版の解説によれば、「設備・組織などをひろげ,充実させること」である。すると、都知事選前にすでに日本にマイスター制度が存在しなければならない。現在、日本にはマイスター制度は存在していないので、この公約は前提となる条件を欠き実現不可能である。
「できるだけコンパクトでシンプルな2020オリンピック」と書いてある。オリンピックは大規模なイベントであり、コンパクトではないので実現不可能である。今回の考察では、多額の金を費やすことにより実現可能なことは実現可能だと判定するが、実現には多額の金がかかるにもかかわらず金をかけずに実現するという矛盾した公約は実現不可能だと判定する。
増田ひろや
この立候補者の公約はすべて実現可能である。
この立候補者の公約の多くは、金さえあれば実現可能である。必要な金は国家予算を超えないので実現可能である。
例えば、子育てや介護福祉や女性の活躍の場の充実などは、金があれば実現可能である。災害対策として上げている木造住宅の不燃化、耐震化も、金があれば実現可能である。オリンピックの成功や、その後も成長を続けるなども、金があれば実現可能である。
ただし疑問点がある。
「都民が、あたたかさにあふれ、不安がなく、安心して生活できる環境・社会の実現を目指します」とある。
「あたたかさにあふれ」るためには、暖房を完備しなければならない。冬の屋外でも「あたたかさにあふれ」るためには、屋外に隙間なく暖房器具を配置するか、すべて屋内にしてしまう必要がある。すべてを屋内にした場合、東京都民はドーム型通路の中を歩いて移動することになる。これは、金さえあれば可能だ。
「不安がなく」なるためには、全都民に強力な抗うつ剤の摂取を義務付けなければならない。極めてディストピアな世界となるが、もちろん実現可能だ。
桜井誠
この立候補者の公約は実現不可能である。
この立候補者の公約の多くは、倫理、道徳さえ無視すれば実現可能である。
倫理上問題のある外国人生活保護の廃止、表現の自由を侵害する半日ヘイトスピーチ禁止条例制定などは、今回の考察の制約の範囲内で実現可能である。
実現不可能なのは、「コンパクトな東京五輪の実施」だ。オリンピックは大規模なイベントでありコンパクトではないので実現不可能である。今回の考察では、多額の金を費やすことにより実現可能なことは実現可能だと判定するが、実現には多額の金がかかるにもかかわらず金をかけずに実現するという矛盾した公約は実現不可能だと判定する。
今尾貞夫
この立候補者の公約はすべて実現可能である。
この立候補者の公約の多くは、金さえあれば実現可能である。
子育て、教育にかかる個人負担はないとか、幼稚園、保育園は誕生直後から全員受け入れ態勢を取るとか、老人介護のために食堂浴場を整備した家を作るなどは、国家予算以下の額の金で実現可能である。
実現可能ではあるが疑問のあるものとして、直接民主制の導入を主張していることだ。
「知事交代をチャンスに都民皆の希望を集約、生活不安解消策を皆で見出し、皆で実現していく皆の参加する都政に変えます。」
皆が参加する都政を実現するためには、選挙で代表者を選出するのではなく、都民皆が議会に参加できる必要がある。したがって、この公約を実現するには直接民主制に切り替える必要がある。
谷山ゆうじろう
この立候補者の公約は条件付き実現可能である。実現可能性は、国外の未来の条件に依存する。
この立候補者の公約の多くは、実現可能である。
ただし、国外の未来の条件に依存した公約がある。
「「DONALD TRUMP アメリカ大統領」に毅然とNO」と書いてある。2016年アメリカ合衆国大統領選挙において、ドナルド・トランプは立候補者の一人であり、大統領になる可能性があるが、大統領選挙は2016年11月8日に行われ、投票結果が正式に発表されるのは2017年1月とされている。したがって、ドナルド・トランプが今回、あるいは将来のアメリカ合衆国の大統領になるかはまだ未定であり、もしドナルド・トランプが大統領にならなかった場合、大統領ではないので、前提となる条件を欠き、「毅然とNO」と言うこともできない。
今回は選挙公報の実現可能性だけを考察するものであって、その内容の良し悪しについて考察はしない。しかし、この立候補者の選挙公報の日本語は、解釈が難しい。例えば、以下は選挙公報からの抜粋である。
2020年世界はTOKYOに
その中心地、国立競技場からのみ発信します
イギリスBBC、中東アルジャジーラTVなど世界を舞台に活動してきた谷山ゆうじろう
は、毎日英語で定例記者会見を行いNHKワールドで生中継。日本を売り込みます
TOKYOから国際化&自立国家
国際人を育む、夢のあるカラーフルなシティTOKYOを目指す
既成政党の組織票・お金ありきの選挙戦に、断固反対します。名前を連呼するだけの選挙カーなし、
事務所なし、ガソリン代なし。あるのは国家観と、iPhoneのみ。従来の思考回路ではもう日本は
進化できません。毎年2万人人口減少の高齢化の中で、若い人に夢を。移動中のスマホで、ご家庭
のPCで、2020東京オリンピックスタジアム(建設中)前からの生放送演説をぜひお聞きください。
これは一部だが、とにかく文章らしい文章がない。「iPHoneのみ。」とか、「若い人に夢を。」とか、よくわからない文章の区切り方と構成をしている。筆者の解釈によれば、この立候補者は、
- 2020年に国立競技場から発信(生放送演説?)をする
-
- 発信は国立競技場からしか行わない
- 東京オリンピックスタジアムでも生放送演説(発信ではない?)を行う
- 演説の際、東京オリンピックスタジアムはまだ建設中である(生放送演説は2020年ではない?)
- 事務所もガソリン代もない
などの情報が得られたが、この日本語の解釈が正しいのかどうか、筆者には自信がない。発信と生放送演説は違うことと、生放送演説は2020年ではなさそうなので、記述は矛盾しないように読める。この立候補者の文章の日本語は極めて解釈が難しいため、今回の実現可能性の考察は完全に間違っている解釈に対して行っている可能性がある。
後藤輝樹
この立候補者の公約は条件付き実現可能である。公約は国家予算を超える金があれば実現可能である。
この立候補者の選挙公報は、ほとんどが公約の箇条書きで構成されている。立候補者の学歴や職歴、属する政党などの公約ではない情報は極めて少ない。
この立候補者の公約をすべて実現するには、日本の国家予算を超える金が必要になる。したがって、この立候補者の公約は条件付き実現可能と判断した。
特に金のかかる公約は以下の通り
「すべての低所得者(国民)に毎月8万円支給します(ベーシックインカム導入)」
最大で以下の額の金がかかる。
$$ 8万円 \times 12ヶ月 \times 1億2千万人= 115兆2000億円 $$
「日本の借金約1000兆円を10分の1以下に減らし」などは、デノミネーションを行えば額面上は実現可能である。
「核武装します」、これには多額のカネがかかる。
「日本の食料自給率およびエネルギー自給率100%以上を目指します」
以下の公約は物理法則に違反しない。
「地震、津波および気象兵器テロ(人工地震兵器等)対策をします」
人間が知覚可能な地震を人工的に起こすことは可能であり、津波や降雨、旱魃なども、ある程度人工的に操作可能である。またこれは兵器開発ではなく対策なので、そのような兵器が存在しなくても実現可能である。
また、この立候補者は、日本の政治を天皇を元首とする君主制政治に変更する公約をしている。
公約は多数あるが、お互いに矛盾する公約は見つけられなかった。
「東京五輪中止、または超低コストでやります。」と書いてある。金があれば実現可能なことは多いが、支出を削るのに金は使えないので実現は難しいが、中止は可能なので実現可能だ。
中川ちょうぞう
この立候補者の公約は条件付き実現可能である。公約の実現には国家予算を超える金が必要になる。
この立候補者の選挙公報は具体性にかけるが、すべての実現を考えると、おそらく国家予算を上回る額の金が必要になる。
高橋しょうご
この立候補者の公約はすべて実現可能である。
この立候補者の公約をすべて実現するには、国家予算以下の金で足りる。
公約には具体的な対応作に欠けるものが多い。
「少子化対策の公約が守られていたら、私達の回りには今より多くの子供達がいたはずです」という文章があるが、これは誤りである。なぜならば、公約の少子化対策が効果のないものであれば、たとえ公約が守られていたとしても児童人口は増加しない。
せきくち安弘
この立候補者の公約は、全て実現可能である。
この立候補者は憲法改正を公約としている。その他の公約も国家予算以下の金で実現可能である。
この立候補者の提案する日本国憲法の前文には、「国民が投票により選ぶ代表が、常時一カ所に集う新しい国際協調の仕組みとして世界最高会議体(仮地球議事堂)を形成してゆく為に」という文章がある。これを解釈すると、おそらく政治家は24時間365日、一カ所に拘束されるのだろう。
山口敏夫
この立候補者の公約は、すべて実現可能である。
この立候補者の公約は、国家予算以下の金で実現できる。
「2020東京五輪・パラリンピックは・・・一、アスリート選手諸君の、”名誉”をかけた”活躍”に期待し、応援すること」と書いてあり、都民にオリンピック選手の応援を義務付けている。応援したくない都民がいたとしても、文化大革命、大躍進政策のごとく、都民の意思を無視して、都民徴用と強制応援を行えば実現可能となる。
やまなかまさあき
この立候補者の公約は、全て実現可能である。
「今立ち上がれ! 私達(眠れる子羊)よ!」と書いてあるが、都民は人間であり羊ではない。この文章は比喩であろう。しかし、眠れる獅子とか迷える子羊とはいうが、眠れる子羊とは何を意味するのであろうか。
「さあ、はじめよう«レジスタンス»!」とも書いてあるが、侵略や抑圧に対抗する民兵を組織して革命を目指すのではなく、同じく単なる比喩であろう。
「次代を担う!子供たちの輝ける未来«笑顔と笑い声のたえない»の創造を目指します!」と書いてある。「笑顔と笑い声のたえない」を創造するためには、都民に強力な抗うつ剤の摂取を義務付ける必要がある。ディストピアな社会になるが、もちろん実現可能だ。
岸本雅吉
この立候補者の公約は、全て実現可能である。
唯一気になるのが、徴農制だ。
「小学校・中学校時代に、「徴農制」を導入する」、「小学校・中学校時代に数期に分けて「徴農制」を導入します」
少し形は違うがポル・ポトを彷彿とさせる公約だ。
ないとうひさお
この立候補者の公約は、すべて実現可能である。
アメリカ合衆国のような自己責任について書いているが、それを実現するには修正第2条にある、「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない。」のような、武装する権利を都民に認めるべきであるが、そのような言及はしていない。
また、「東京の人口を現在1/2にする」とも書いている。これは虐殺によって人口を減らすのではなく、地方に人を工場や企業を移転させることで実現するという。大躍進政策や文化大革命のような強制的な徴用と動員が必要であるが、もちろん実現可能だ。
望月義彦
この立候補者の公約は、全て実現可能である。
ゼロエミッション都市のために、緑化、木造、木質化を挙げている。おそらく厳しい建築規制が敷かれるのだろう。そのような厳しい建築規制では、東京の経済が他の公約どおりに「世界とともに成長し続ける未来都市」となれるかは疑問だが、十分な金さえあれば可能だろう。
また、「瞑想教育」を公約に入れているため、都民に特定の宗教を強制するものと見える。
小池ゆりこ
この立候補者の公約は、全て実現可能である。
ただし、実現した場合、社会構造を大きく変える公約がある。
「残業ゼロ」を実現するには、たとえ労使協定を結ぼうとも残業は違法になる法律を制定する必要がある。また、もちろん公務員も残業ができないので、国会議員の質問主意書の返答は極めて遅くなるだろう。
「満員電車ゼロ」を実現するためには、電車を拡張するより、東京都の経済を破壊するとか、都民を虐殺するなどしたほうが実現が容易だ。
「多摩格差ゼロ」もよくわからない公約だ。多摩を都心部のように経済的に充実させる公約であろうか。すると大躍進政策や文化大革命ばりに強制徴用と都民動員が必要になる。
宮崎正弘
この立候補者の公約は、全て実現可能である。
この立候補者の公約はあまりにも具体性に欠けるため、考察できることがほとんどない。
上杉隆
この立候補者の公約は、実現不可能である。
「知事給与ゼロ全額返上」と書いてあるが、給与返上は公職選挙法第199条の禁止する寄付にあたるので、現行法では禁止されているが、法律を改正すれば実現可能だ。
「首都直下型地震対策死者ゼロ」と書いてあるが、東京都で大規模な地震が起きた場合に死亡者を0人にできる保証はないので、実現不可能である。
「東京オリンピック運営費を当初のコンパクト案に」と書いてあるが、金さえあれば実現できることは多いが、支出を削るのは金がいくらあっても不可能なので、実現不可能である。
七海ひろこ
この立候補者の公約は、条件付き実現可能である。公約の実現可能性は国外の経済に依存する。
この立候補者は、「経済的にも精神的にも、世界一リッチな都市・東京を実現します」と書いている。これを実現するには、国外のすべての都市が東京の経済規模以下にならなければならない。国外に依存するので条件付き実現可能となる。
考察まとめ
金、法、倫理の制約を無視しても、これほど多くの立候補者の公約が実現不可能になるとは思わなかった。実現不可能な公約を出した立候補者は以下の通り。
マック赤坂、鳥越俊太郎、桜井誠、谷山ゆうじろう、後藤輝樹、中川ちょうぞう、上杉隆、七海ひろこ
以下は実現不可能な公約である。
オリンピックをコンパクトにする
オリンピックは巨大なイベントである。フルチンでかけっこをしていた昔と異なり、今のオリンピックは多数の国家から多数の選手が参加する。例えば、先のロンドン・オリンピックでは、204の国家から、10568人の選手が参加した。選手だけで1万人もいるのだから、これをどうやってコンパクトにせよというのか。参加国の桁を減らし、参加人数の桁も減らすしかない。しかし、おそらく立候補者はそこまでコンパクトにすることは考えていないだろう。
金をかければ実現できることは多いが、金をかけないことを実現するのは難しい。
実現可能性が過去や未来の不確定な結果に依存するもの
無能な都職員を20%クビにする公約を実現するには、現在の都職員の20%が実際に無能でなければならない。すでに確定した結果を変えることはできないので、現在の都職員のうち20%以上が無能でなければ実現できない。
マイスター制度を拡充するには、すでにマイスター制度が存在しなければならない。
ドナルド・トランプはまだアメリカ合衆国の大統領になることが確定していないので、もしドナルド・トランプが大統領にならなかった場合は、毅然とNOをいうこともできない。
日本の国家予算(約200兆円)を超える予算が必要になるもの
政治家は現在の国家予算という上限を認識すべきである。