住み慣れた家の価値を向上させるリフォーム。光熱費が高騰している今、特に「省エネ」は誰もが関心の高いキーワードです。そこで、おすすめの省エネリフォームについて、プロに教えてもらいました。
教えてくれたのは
ぱっとホーム代表取締役社長田中広一さん
二級建築士、増改築相談員。顧客満足度を第一に考えたリフォームを追求する地域密着型の工務店。目指すのは「リフォームを通じて関わり合う全ての人の幸せに貢献すること」。
公開 2024/03/22(最終更新 2024/03/21)
編集部 モティ
編集/ライター。千葉市生まれ、千葉市在住。甘い物とパンと漫画が大好き。土偶を愛でてます。私生活では5歳違いの姉妹育児に奮闘中。★Twitter★ https://twitter.com/NHeRl8rwLT1PRLB
記事一覧へ交換タイミングで給湯器を最新機器に
断熱性や気密性の低い日本の多くの住宅は、外気の影響を受けやすいため「夏は暑く・冬は寒い」もの。暖房効率も悪く、部屋によっての温度差も生じます。特に冬の水回りは気温が下がりやすく、浴室との温度差によるヒートショックで毎年多くの人が亡くなっているのも深刻な問題。
「省エネ住宅」というと、光熱費削減や快適さといった良さがありますが、健康面にも大きなメリットがあります。
そうはいっても、リフォームを検討する理由が「省エネ住宅にしたいから」というケースは、実はまだまだ少数派。相談に来るきっかけのほとんどが住宅の経年劣化です。
ですが、政府が省エネ住宅を推進しているという背景があり、補助金を活用し、お得に省エネリフォームをご案内することも増えてきました。お得にリフォームできるなら…と、そこで初めて「省エネ」を意識する人も多いですよ。
例えば給湯器。設置から10~15年ほどで寿命を迎えるため、多くの人が交換のタイミングで省エネの製品を選びます。
少ないガスで効率的に湯を沸かすエコジョーズ、電気で湯を沸かすエコキュート、ガスで電気を作る際に発生する熱を利用して湯を沸かすエネファームの他、電気とガスの利点を併せ持ったハイブリッド給湯器があります。
エコジョーズ | ガス | 給湯の際に発生する熱を再利用して湯を沸かす |
エコキュート | 電気 | 「ヒートポンプユニット」が大気中の熱を集めて湯を沸かし、「貯湯ユニット」が沸かした湯をいったん貯蔵する |
エネファーム | ガス(水素) | ガスの力で自家発電を行い、発電時の熱でお湯を沸かす |
ハイブリッド給湯器 | ガス・電気 | 「ヒートポンプユニット」が湯を沸かし、タンクにためる。 タンク内の湯が不足するとガス給湯器からお湯が作られる |
オール電化のご家庭ならエコキュート、ガス温水式の床暖房があるならエネファーム、従来の給湯器からの交換ならエコジョーズと、今お住まいの住宅環境によって適した機器もいろいろです。
特に、ハイブリッド給湯器はここ5、6年で登場した新しい製品。給湯のランニングコストが従来の給湯器と比べて約50%削減できるものもあります。その分、初期費用はかかりますが長い目で見ればお得といえるでしょう。
また、もし自宅の浴室がタイル仕上げの在来工法なら、ユニットバスに交換するだけでも断熱性が上がり、ヒートショックなどのリスクも軽減できます。
一番手軽にできる窓のリフォーム
住宅の省エネ性能を上げるために最も手軽にできるのは窓のリフォームです。
ひとくちに窓といっても、単板ガラス、ペアガラス、真空ガラス、窒素含有ガラスと種類があり、コストも性能もさまざま。窓枠から取り換えることもできますが、外壁の一部を壊す必要があり、費用も割高に。
個人的におすすめなのは内窓です。内窓は、二重窓、二重サッシとも呼ばれ、今ある窓の内側に枠を作って取り付けるもの。部屋の気密性が上がるため冷暖房効率がアップするのはもちろん、樹脂サッシの商品を選べば結露の軽減にもつながります。
防音効果も高く、交通量の多い道に面したお家には特にお薦めです。
工事は1カ所2時間ほどで完了し、窓枠全体の交換と比べるとコストも抑えられます。「暖かい」「静か」など、施工後すぐに快適さを実感しやすいのもメリット。
同じような工法で断熱ドアも設置できるので、窓と合わせて施工する場合もありますよ。
省エネ性能をアップすることで、家そのものの資産価値が上がるといわれています。
ですが、壁や床下、屋根裏の断熱材を増やすとなると大規模な工事となり、現実的ではありません。
費用の面、工期の面から無理のない範囲で、大切な住まいの価値を上げることは可能です。信頼できる工務店や業者に、まずは気軽に相談してはいかがでしょうか。