「建築物省エネ法」の制定・改正により、住宅の省エネ性能向上が義務化の流れ。
「住まいの価値観」はどう変化する!?
※ZEH(ゼッチ)/ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称
お話を聞いたのは
公開 2024/03/20(最終更新 2024/03/19)
編集部 モティ
編集/ライター。千葉市生まれ、千葉市在住。甘い物とパンと漫画が大好き。土偶を愛でてます。私生活では5歳違いの姉妹育児に奮闘中。★Twitter★ https://twitter.com/NHeRl8rwLT1PRLB
記事一覧へこれから建てるなら省エネ上位等級で
地球温暖化対策の一環として、政府は2030年以降の全ての新築住宅の性能を「ZEH水準」に引き上げることを目指しています。
CO2削減の世界的な動きは、1997年採択の京都議定書にさかのぼります。
その後、2015年のパリ協定で気温上昇を1.5℃に抑えることが目標に。
達成するには、各国が2050年までにCO2の排出量を実質ゼロにしなくてはなりません。
日本は、中間目標として2030年にCO2排出量46%削減を掲げているため、住宅性能の見直しも「2030年」が一つの区切りとなっているのです。
とはいえ、「ZEH(ゼッチ)水準の家」と聞いてもほとんどの人はピンと来ないのではないでしょうか。
まず「ZEH」とは、高断熱・高気密(省エネ)かつ、使用した分のエネルギーを作り出し(創エネ)、プラマイゼロにする家のこと。
ですが、家の建坪が小さい都市部や日照時間の少ない地域では、消費する分の太陽光発電ができない場合もあります。
そのため、「創エネは十分でなくても、省エネはZEH相当にしましょう」ということで「ZEH水準」という基準が設けられました。
移行措置として2025年4月1日以降に着工する住宅は、最低でも「省エネ基準」適合が義務化。
省エネ基準とZEH水準の違いは省エネ等級の高さです。
2030年にZEH水準がスタンダードになることを踏まえると、これから家を建てるなら省エネ等級は上げておくのが賢明。
コストはかかりますが、フラット35の借入金利の優遇や自治体によっては補助金なども出るので、よく調べた上で予算を組むといいでしょう。
省エネ性能ラベルが資産価値にも影響
もう一つ、大きな変化として今年の4月から「建築物の省エネ性能表示制度」が始まり、新築・中古にかかわらず「省エネ性能ラベル」の表示が努力義務となります。
このラベルは、従来仕様書でしか読み取れなかった家の省エネ性能が、誰でも一目で分かるというもの。
これまで住まい選びの条件といえば、間取りやデザイン、立地でしたが、ラベル表示により「性能」という新しい価値基準が加わることになるでしょう。
そういう意味でも、省エネ性能は将来の資産価値に影響するといえます。
既に戸建てにお住まいの人は、リフォームで省エネ等級を上げることは可能です。
例えば、窓のリフォーム。窓本体を断熱性の高いものに替えたり、二重窓にしたり。
その他、床・壁・天井の断熱材のグレードをアップする、給湯器を省エネ仕様に替えるなど、大規模な工事から手軽なものまで、さまざまな方法があります。
日本の家づくりは、柱と梁(はり)で建てて障子やふすまで空間を仕切り、外気と日差しを取り入れることを重要視してきましたが、ここ数年の猛暑もあり、家に求める機能性も大きく変わってきました。
約40年前の耐震基準の大きな見直しの時のように、2025年以降・以前では家づくりに対する価値観や常識がガラリと変わるかもしれません。