映画「シュタインズ・ゲート」は蛇足の極みだった!

「STEINS;GATE シュタインズ・ゲート 負荷領域のデジャヴ」観ました。

 

TV版のおさらい

今まで観たアニメの中で一番のオススメは?と聞かれたら間違いなくシュタインズ・ゲートなのですが、どんな内容かというと平たく言えばタイムトラベルもの。主人公の岡部倫太郎(オカリン)が友人の橋田至(ダル)と偶然過去にメールを送れる装置を作ってしまい、それで色々と過去を改変してたら現在の状況も変わって、最初は喜んでいたんですが後からヤバいトラブルに巻き込まれてしまい、うまいこと行く未来を模索するというお話。おまけに現実に存在するジョン・タイターの話とかもうまく絡めているので、SF好きな人、理系の人はめちゃくちゃ心惹かれる物語です。詳しくは本編を観てください。

たぶん、映画「バタフライ・エフェクト」を好きな人は好きなんじゃないかなーと思います。とても似ています。ただ細かいことを言うと、両者はやってることは似ているのですが、実は世界観の設定は真逆で、バタフライ・エフェクトが「過去を変えると未来が大きく変わってしまって、悲劇を回避しても別の悲劇が生まれてしまう」物語であるのに対して、シュタインズ・ゲートは「過去を変えても同じ世界線では同じ悲劇が生まれるように未来は収束してしまう」というお話。偶然か、必然か。運命の存在を否定するか肯定するか。個人的にはバタフライ・エフェクトの世界観のほうが好きですが、シュタインズ・ゲートもこれはこれで辻褄がとれていて、隙がありません。詳しくは本編を観てください。

シュタインズ・ゲートの特徴は、中盤まで全くサスペンス色がない日常のほほん展開なのに、”ある悲劇”が起こってからは怒涛の展開、人が何度も何度も死にまくり、その度にオカリンが過去を改変し続けその度に悲劇がまた起こりという狂気のサスペンスへ変貌するところです。ちなみに主人公たちは2ちゃんねる用語を常用し、オカリンは重度の中二病患者で自分のことを「狂気のマッド・サイエンティスト、鳳凰院凶真」と読んでいる痛い人なんですが、それすらもきちんと後々の感動への伏線があるので、絵柄がキモいとか設定がキモいとかで敬遠していたら生涯後悔することでしょう。僕もそうでした。詳しくは本編を観てください。

 

映画のあらすじ

2011年の東京。タイムマシンや、過去にメールを送るシステムであるDメールもないシュタインズ・ゲート世界線へ、狂気のマッドサイエンティストと自ら名乗る鳳凰院凶真こと岡部倫太郎がたどり着いて1年がたっていた。そんな中、未来ガジェット研究所にいた岡部は久方ぶりに牧瀬紅莉栖と顔を合わせる。岡部は、久しぶりに集まったのだからと円卓会議(パーティー)の開催を提案し仲間たちと楽しむが、紅莉栖には気になる出来事があった。


『劇場版 STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ』予告編 - YouTube

 

 

感想

  1. 完全に蛇足だった!!

 

まぁ、予感はしていたんですけどね……

TVアニメのシナリオが完璧すぎて、足すことも引くこともできない、ラストまで完璧にいってしまったジェンガの如き出来栄えだったので、そりゃあこうなるわな、という感想です。

ただ、僕はシュタインズ・ゲートを大好きすぎる立場から言わせてもらうと、あのテレビ版の脚本を作った人が、この映画版を作ってしまったか、これでシュタインズ・ゲートの正式な映画版を名乗ってしまったか、と思わざるを得ません。

この映画、いいところもあります。今作の主人公はテレビ版主人公のオカリンではなくヒロインのクリスなんですが、クリスが色々と萌えるシーンがあって、ファンにはたまらん感じだし、映画自体としても、元々テレビで完結したシナリオに対して、新たに問題を生み出し、既に過去改変を禁止しているオカリンがいるにも関わらずシュタゲらしいタイムリープ行為を行い、ちゃんとまたハッピーエンドにつなげているという。そこは評価できるかな。

 では何がそんなにダメなのかというと、2点あって、

 

  1. テレビ版の良いエピソードを映画の都合で変えてしまった
  2. 問題が発生する原因も、対処法もこじつけが過ぎる

こんなところです。

 
1については、上記のオカリンが鳳凰院凶真を名乗るようになった感動的なエピソードが、実は○○の手によって仕組まれていたことが分かるのです。この理由、完全に映画での後付けです。原作改変にも程がある。それが価値ある後付けなら別に良いんだけど、映画版で盛り上げ要素がなくて、ちょっと足して見ました、みたいな残念具合。
 
2については、もはやシナリオの根幹に関わるんですが、なんでこの問題が発生して、それをなんでこのやり方で解決できるのかが分からない。なので、90分という短い時間も合わさって、なんでクリスがあんなにあたふたしてるかとか、なんであれだけ悩んで困ってたのにその方法でいとも簡単に解決するか、とかがさっぱり分からず、感情移入できない。
 
これもね、やっぱり本編と比べてしまうんですよ。過去改変して未来を変えるためのトリックとかもテレビ版が完璧なのに対して、映画は雑。
 
 
そんなこんなで、すごく楽しみにしていた映画でしたが、不安視もしていて、そらが悲しい方に予想通りな結果でした。
シュタゲ好きな人以外は観る価値のないファン映画ですが、好きな人はちょっと悲しくなる映画かと思います。
 
 

評価

50点(100点満点中)
 
 

 

ちょっとした注意点

この映画、テレビ版見てない人は意味分からないのは勿論のこと、さらにDVD特典の25話(テレビ版のエピローグ)を見ていないと意味が分からないという超不親切な作り!ちなみに25話はレンタルDVDには入っていないので、きちんとDVDかBlu-ray買った人しか見れないというテレビ版ファンも置いてけぼりのシステム!どんだけターゲット層狭くしてんだよ。ひどい。

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