ニュース
モリゾウ選手こと豊田章男会長、ニュル24時間決勝前にあいさつ 「これは次の20年のスタートの大事な2025年になる」
2025年6月21日 19:56
- 2025年6月21日~22日 決勝
6月21日16時(現地時間、日本時間21日23時)にニュルブルクリンク24時間レースの決勝が始まる。世界一過酷なレースともいわれるこのニュル24時間へ、トヨタ自動車はルーキーレーシングと組んで「TOYOTA GAZOO ROOKIE Racing(以下、TGRR)」として挑んでいく。
トヨタのニュル24時間への挑戦は、成瀬弘氏と現在はトヨタ自動車会長である豊田章男氏が副社長時代にモリゾウとして開始。当初はトヨタの名前も使えず、GAZOO Racingとして中古のアルテッツァで開始した。
トヨタとしての参加は2019年以来の6年ぶりになる。当時はGRスープラでの参加であったが、2025年はGRスープラに加えて、モリゾウ選手らが鍛えてトヨタが作り上げたGRヤリスの2台体制での参戦になる。GRヤリスのドライバーとして、モリゾウ選手も参加している。
決勝レースは前述のように16時からスタートし、109号車GRヤリスは大嶋和也選手→モリゾウ選手(豊田章男会長)の順でドライブ。GRスープラは蒲生尚弥選手→片岡龍也選手の順でドライブしていく。
決勝に先立つ午前、チームはチームテントにおいて朝礼を実施。チーム関係者があいさつをしていくなかで、2007年にこのニュルブルクリンク活動を開始した豊田章男会長もあいさつを行なった。
モリゾウ選手こと豊田章男会長あいさつ
みなさんおはようございます。
2025年、我々のニュルへの挑戦が始まります。2007年初挑戦から18年、モリゾウが生まれて19年、GRが生まれて18年、ルーキーレーシングとしては初挑戦ということになります。
はじめモリゾウという名前は、世の中から豊田章男を消すための名前でした。ですから、このニュル参戦にあたって私自身、運転をすることが世の中から認められていませんでした。やれ道楽だ、やれ危険をかえりみない、というところがスタートでしたので、モリゾウというのは隠すための名前だったんです。
トヨタはそのときモータースポーツはF1 一本足打法ということで、そこにリソーセスを集中している会社でした。F1参戦とともにWRC(世界ラリー選手権)は撤退、そして会議の中ではスーパーGTはじめ、すべてのレースから撤退。
トヨタのリソーセスをすべてF1に集中ということが決まりかけたときに、裏番組でやっていたのが、この隠れみののモリゾウと成瀬弘のニュルの活動でした。
成瀬さんは多分、当時まだ副社長であった私が、ひょっとしたらトップになるかもしれない、トップになったら、本当にクルマが分かっている人がトップになればトヨタの商品は変わるんじゃないかということで、会社はまったくの応援をしない中、この裏番組でニュルの活動をしてきました。
そのトップになる可能性がある豊田章男に対して、成瀬さんは「運転を知らない人にとやかく言ってほしくない」、ただその一言でした。
そしてトレーニングを始め、初めてのニュルとの出会いは私自身本当に怖かったです。そして成瀬さんは何も教えてくれません。ただテールライトの後ろを追いかけるだけのトレーニングだったと思います。
ただF1の陰でスタートしたのがGR、モリゾウ。そしてニュルを始めたときに、中古のスープラ、販売・生産も中止になった、そういうクルマでトレーニングをしたら裏番組でした。
視線が本当に冷たかったです。
ただ2007年3月25日、ニュルへの参戦を中古のアルテッツァで決定いたしました。今朝、私の部屋のドアノブに1つの新聞が掛けられていました。そこにはGRヤリスとともに、トヨタはニュルに帰ってきた、第2の故郷にお帰りなさい、という見出しが書いてあったそうであります。
こんなうれしいことはありません。
今、モリゾウは自分を隠すためではなく、モータースポーツを引っ張る人間として期待を集め始めたと思います。昨日は(予選を)走り、初めてこのニュルをアクセルを踏めて走れたと思います。
本当にみなさん連れてきてくれてありがとう。そして何とかモリゾウ、体は間に合ったと思います。今まで一緒に戦ってきてくれてありがとう。20年目を迎え、これは次の20年のスタートの大事な2025年になる、と思っていただきたいです。
それには110号車(GRスープラ)は優勝・完走、そして109号車(GRヤリス)は完走、ぜひやらせてほしいと思います。
そしてモリゾウが豊田章男についていなかったら、今のトヨタはないと思います。また、豊田章男も違う形で生きていたんじゃないのかなと思います。
そんな中でTGRRは生まれました。今日4時スタート(現地時間16時、日本時間6月21日23時)で24時間の戦いが始まります。ぜひとも20年前のモリゾウではないモリゾウを参加させてくれたこと、本当にみなさんに感謝したいと思います。
そして、そのためにもぜひ完走という、みんなでやった1つの成果物を取りに行きたいと思いますので、よろしくお願いします。
最後に、当たり前のことですがみんなでありがとうを言い合う、困っている人がいたら助ける、そして最後は笑顔で終える。ファミリーチックでプロフェッショナルがこのTGRRだと思いますので、それをやる主役がここにいる全員と、ここに来れなかった今までサポートしてくれた全員です。
その全員のために今日は戦いたいと思います。よろしくお願いします。