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オートポリス戦のデビューへ向け進化したトヨタ「GRヤリスMコンセプト」 新型4気筒エンジンの最高出力は400馬力?
2025年6月21日 08:08
東京オートサロンと仕様が異なっていたGRヤリスMコンセプト
GRヤリスをリアミッドシップ4WD化した「GRヤリスMコンセプト」。新開発のG20型2.0リッター4気筒エンジンを搭載し、さまざまなテストが行なわれているという。そのデビューは、7月26日~27日開催のスーパー耐久第5戦オートポリスになり、ニュルブルクリンクに展示されたGRヤリスMコンセプトではレースデビューへ向け、東京オートサロン2025の仕様からアップデートが行なわれていた。
大きく違っていたのはフロントまわり。オートサロンでは展示のためか何もなかった空間にラジエータからの空気を上方へ跳ね上げるエアアウトレットボックスを装備。ラジエータで熱せられた空気を、車体の下まわりや横に流すことなく上面へと流すことで、整流を図ろうとしている。
GRヤリスMコンセプトはリアミッドシップにエンジンを搭載したクルマ。トランスミッション、4WD機構のデフなど大量の熱を発生するものがまとまっており、この熱の解決が一つの開発ポイントになる。
ニュルブルクリンク展示車では、上面へと空気を流すエアアウトレットボックスをフロントに設けることで、温まった空気を積極的に屋根の上のみに流していこうとしている。こうすることで温まった空気がサイドに流れにくくなり、右サイド後方についているリアミッドシップエンジン用の空気取り入れ口にフレッシュな空気が入るようになる。
この形状をエアインテークカバーや、NACAダクトで積極的に採り入れる考え方もあるが、このGRヤリスMコンセプトでは大きめの穴が空いているだけ。開発担当者によると、ターボ車のためラムエア的な考え方を採り入れなくても十分に空気は入ってくるという。
新開発のG20型2.0リッター4気筒ターボエンジンのスペックは発表されていないが、2024年5月に行なわれた「マルチパスウェイワークショップ」で、トヨタの中嶋裕樹副社長は、400馬力も目指しているが各部品を取り替えての600馬力も見すえているとの発言を行なっている。
これは市販では400馬力を視野に入れ、レーシングエンジンとしてヘッドなどを取り替えた場合は600馬力を発生。600馬力を実現できれば、現在レース専用エンジンとして使われている高価なNREを置き換えることができる。そんな構想の下に作られているエンジンになる。
もちろんオートポリスに投入されるG20型エンジンは、市販を見すえた開発用のもので、おそらく想定馬力は400馬力仕様。現在のG16型3気筒エンジンで300馬力級なので、1気筒増えて排気量も増えるG20型エンジンへの期待は400馬力級になるのではないだろうか。
この400馬力エンジンの駆動力を前後に配分。そこには現時点で市販GRヤリス用のデフを用いて、可変トルク配分を行なっていくという。これは、エンジンがリアにあるため、リアからトルクを回すことが可能となる上、リアエンジンミッドシップ4WDのため必要なトルクはリアが多い。そのため、トルクは必要に応じてリアからフロントに配分させればよく、前後のトルク配分デフに関しては市販のGRヤリスと同じもの、つまりGRヤリスに採用されているジェイテクトの「ITCC」になる。
リアには各種冷却ダクトが張り巡らされていることから熱的に厳しい課題がありそうだが、トヨタの技術陣がどのように問題を解決していくのかは要注目と言えるだろう。
【2025年7月8日:情報追加】TOYOTA GAZOO Racingより、2025年スーパー耐久第5戦オートポリスへのGRヤリスMコンセプトの欠場が発表されました。