元東京都知事で、高名な小説家でもあった石原慎太郎氏が亡くなった。
 故人について思うところは多いのだが、今回はあえて詳しく書かない。
 型通りにご冥福を祈るにとどめる。

 私が、石原慎太郎氏について、この場で書くことをためらうのは、遺族感情に配慮しているからでもあれば、「亡くなったばかりの人間をあしざまには言わない」という、この国に古くからある慣習というのか、文化に、あえてあらがわないつもりだからでもある。

 もうひとつ理由がある。

 私が故人について何かを書くと、「東京スポーツ」だとか「報知新聞」みたいなメディアが、
「待ってました」
 とばかりに扇情的な記事を配信するに違いないからだ。

 彼らには、前科がある。

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