ホンダと日産自動車が経営統合に向けた協議を始めることが18日、明らかになった。共同持ち株会社に両社がぶら下がる形が想定され、三菱自動車の合流も視野に入る。実現すれば年間の新車販売台数で世界3位の巨大グループが誕生するが、この経営統合には死角もある。過去の事例などを踏まえ、持ち株会社方式での統合のメリット・デメリットを探った。
M&A(合併・買収)には大きく分けて3つのやり方がある。複数の会社で持ち株会社を設立してそれぞれが子会社として傘下に入る「経営統合」と、株式交換による「完全子会社化」や吸収による「合併」だ。
合併は拠点・販路の見直しや人事制度の一本化など事前の手続きが煩雑なため、20年ほど前から大企業同士のM&Aに経営統合方式が使われるようになった。M&A調査のレコフデータ(東京・千代田)によると、2020年以降の日本企業による経営統合(12月17日時点)は40件に上る(記事末尾に主な一覧表)。
日本総合研究所の山田英司理事は経営統合方式のメリットについて「企業統合の時間軸を自分で調整できる」と説明する。例えば、今回のような大手自動車メーカー同士の統合の場合、サプライヤーや販売会社など関連する企業が膨大な数に上り、その見直しには時間がかかる。
そのため、いったん持ち株会社の傘下に入り、それぞれのブランドを残して車を販売しながら、研究開発やコスト削減などでどう連携できるか時間をかけて調整できる。
LINEヤフーは合併で出直し
経営統合方式には個社の企業文化を残したまま従業員がしばらく働き続けられる「ソフトランディング(軟着陸)」という側面もある。
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