さて美術館と言う柄でもないですが、当サイトで何度も取り上げている「鎌倉殿の13人」に関する特別展と言うことで行ってまいりました。横須賀美術館の「運慶 鎌倉幕府と三浦一族」特別展、と言うことでつたないですがちょっとしたレポートしていこうと思います。(2022/8/16読者から指摘があり駅名など一部記述を修正しています。)
開館15周年記念 800年遠忌記念特別展運慶 鎌倉幕府と三浦一族
電車&バスでGo!その2~2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」聖地を行く 大矢部編~
浦賀行き普通電車とバスで向かう美術館
さて横須賀美術館へのアクセスとしては京急本線終点浦賀駅から観音崎行バスで終点まで行く方法もありますが、今回は浦賀駅の隣にある馬堀海岸駅からアクセスしようと思います。京急の堀ノ内駅から普通浦賀行きに乗ってのんびりと向かいます。京急線の堀ノ内以南は速達列車である特急・快特も各駅に止まりますが、本線であるはずの浦賀方面は基本普通列車が乗り入れのんびりとした風情になります。
さて馬堀海岸駅からバス通りに向かいSEIYU前のバス停から観音崎行きのバスに乗って美術館に向かいます。このバス路線は国道16号線の海岸通りを走り風光明媚な海岸沿いを走ります。片道2車線の国道が終わると桜の名所としても知られる走水水源地を中心としたアップダウンのある道を通り、走水神社を中心とした漁師町の風情ある走水を過ぎて美術館のある観音崎にたどり着きます。
特別展見学前に腹ごしらえ
バスに揺られて美術館に到着しました。最寄りバス停は観音崎京急ホテル・横須賀美術館前バス停、終点1つ前のバス停です。終点観音崎バス停からも歩いて行ける範囲ですので観音崎から海岸沿いのボードウォークを通って向かうのも手です。ちなみに海沿いのボードウォークは当HPでも取り上げたアニメ「スローループ」の舞台の1つでもありますので聖地巡礼もかねて歩いてみるのもお勧めです。
電車とバスでGo!その7~アニメ「スローループ」の聖地を行く~
さて特別展に向かう前に併設のレストラン横須賀アクアマーレで腹ごしらえとしゃれこみます。頼んだのはかぼちゃのクリームソースのパスタのセットと豆乳のパンナコッタ、なかなか美味でした。カボチャなのでもう少し甘いかなと思いましたが、甘さ控えめでパスタにソースが良く絡まっていました。また豆乳のパンナコッタはコラボメニューらしいのですが横についている蜜がどこかしら信玄餅を思い出させるのが興味深かったです。
そして料理もそうですが目の前に見える南国の海の光景もこのレストランのもう1つのごちそうともいえます。店内席だけでなく店外のテラス席も選べますので特に春や秋にはテラス席で何びり海を見ながらランチとしゃれこむのもよさそうです。
木で作られたワイルドな仏像に浸ってみる
さて特別展を見ていきます。まず受付には上の「鎌倉殿の13人」の主要キャラクターの等身大パネルがお出迎えしてくれます。ちなみに展示は写真撮影ができませんので文章での説明となってしまいますがご了承ください。展示室1では衣笠城近くの大善寺に所蔵された天王立像等運慶以前の像が中心の展示でした。7月中は満昌寺の三浦義明坐像もあったのですが訪れた際は撤去済みで満昌寺住職の自筆の案内がありました。
運慶以前と言うことは三浦氏が三浦半島を中心とした1豪族だった時期でもあると思うのですが、天王立像等立派な像を作り所縁の寺に納めていたというのは興味深い話だと思いました。
続いて展示室2に向かいます。ある意味でここがメイン展示で、三浦氏所縁に寺社に納められた運慶作の像を中心に展示されています。浄楽寺の不動明王立像/毘沙門天立像、満願寺の観音菩薩立像/地蔵菩薩立像、曹源寺の十二神将立像等です。個人的にはやたら何かを踏みつけている毘沙門天像には思わず突っ込みたくなってみたり、不動明王像の後ろの真っ赤に燃え盛る炎の見事さ、十二神将像が十二支になぞらえられていたり、なんだか少しアニメっぽい感じが面白かったり、満願寺の観音菩薩立像/地蔵菩薩立像の夫婦のようなたたずまいの隣にある少し小さめな不動明王像がまるで子供のようだなと感じてみたりだとかメインにふさわしい多彩な展示でした。また運慶の年表を見ると鎌倉を中心とした関東での活動と並行して奈良でも活動をしていたのには驚きました。運慶が大体源頼朝と同年代なのですが、頼朝が死んだ時期以降でも精力的に活動しているのはすごいなと純粋に感じました。また浄楽寺ではコミュニティスペースを作るためクラウドファンディングに挑戦中ですのでお金と気持ちをお持ちの方はご協力願います。
金剛山勝長寿院大御堂
運慶の仏像を守る浄楽寺|新たなコミュニティスペースづくりにご支援を
満願寺[まんがんじ]@久里浜観光協会
曹源寺
そして最後の展示室3に向かいます。ここでは相模国三浦郡大矢部村略絵図等運慶後のローカルな展示が中心となります。大矢部村略絵図では三浦義澄の墓所の管理寺である薬王寺が現役の反面、吉村を祀った近殿神社はなく鎮守のお寺と言った感じだったのが興味深かったです。また名主の島崎氏に関しては大矢部では島崎と言う苗字の日とが多いと聞いたことがあるのでその点も興味深かったです。また横須賀から遠い私の生まれ故郷大分県の竹田でも三浦氏の子孫が大名の家老として仕え、所縁の品を持っていたり、独眼竜政宗でライバルだった蘆名氏の末裔が三浦半島にたどり着き地元の子供たちに毎年プレゼントを贈っていたなど興味深いエピソードも多かったです。個人的には運慶後でも毘沙門天は何かを踏みつけていたのが気になって仕方なかったです。
さて特別展としての展示いかがだったでしょうか?ワイルドな木で作られた仏像に圧倒されつつ、毘沙門天や十二神将などどこかユーモラスさを感じる像も多かったです。そして特別展の出口近くの階段を上るとNHK横浜放送局によるパネル展示もあります。放送局の瓦版や、ドラマの各シーンのパネルなど小さなスペースのわりに充実した展示が行われています。三浦義村、和田義盛の三浦氏の2巨頭とともに畠山重忠の展示も充実しています。個人的にはいぶし銀の活躍した三浦義澄の展示も欲しかったですが特別展の後に訪れてみるのも面白そうです。
また横須賀市によるアーカイブ動画もあります。短い動画ではありますが雰囲気はつかめますので参考までにどうぞ。
谷内六郎館~週刊誌の表紙絵の素朴な味わい~
谷内六郎(1921-81)は家族と共にたびたび横須賀を訪れ、1975年には観音崎公園にほど近い場所にアトリエを構えました。そうした縁から、1998年に遺族から『週刊新潮』の表紙原画約1300点をはじめとする膨大な数の作品や関連資料が寄贈されました。当館では年4回開催するテーマ展示を通じ、谷内六郎の作品をさまざまな視点から紹介しています。~中略~
谷内六郎館@横須賀美術館
代表作である『週刊新潮』表紙絵には、昭和の懐かしい風景やいきいきとした子ども達の様子が、谷内六郎ならではのユーモアを交えて描かれています。表紙絵は不透明水彩を使って描かれていて、中には実物の網やレース、砂などを使った作品があります。谷内はこれらの素材を直接画面に貼り付けたり、絵具と混ぜたりして、テーマに合わせてさまざまな表現を試していました。表紙絵には1枚につき約400字の「表紙の言葉」が残されていて、展示では「表紙の言葉」も併せて紹介しています。
さて特別展を見終わったので常設展示も少し見てきました。横須賀美術館の常設展示は週刊新潮の表紙絵などをかいていた谷内六郎氏の作品で谷内六郎館と言う常設展示スペースで行われています。
訪れた際の展示は子どもの遊びと言うテーマで六郎氏のメインワークである週刊新潮の表紙絵及びそこについた短文の展示となっていました。
時期としては1960~70年代がメインで東京オリンピックでビルや道路ばかり増えているのを嘆いてみたり、伊豆の漁港や雪国に繰り出してみたり、ローカル線の駅に行ってみたりと意外に多彩で、それでいて素朴な味わいのある作品が多かったです。中には短文を書くのが面倒になって下の文章から引っ張ってこようとしているなど人間味にあふれた作風はこの美術館の立地にあっているかと言われたら微妙な面もありますが、なんというか昔床屋に行って待ち時間に読む週刊誌を思い出しなんだか懐かしさを感じてしまいました。アート、美術と言うと堅苦しいですが、こういったものも週末の小旅行で味わうにはなかなか楽しいものです。
三軒家砲台跡~横須賀美術館の裏庭を行く~
さてこの美術館の脇の道を行くとこんな山を登るような階段と道があります。そして暑い中ではありますが少し上ってみました。
観音埼灯台をとり囲むように、観音崎の台地に砲台の跡が残っています(観音崎砲台跡・三軒家砲台跡など)。
10.三軒家砲台跡(観音崎台場跡)@横須賀市より
文政4年(1821)以後は、浦賀奉行所によって管理され、その後、慶応4年(1861)から江川太郎左衛門が引継ぎ、明治以後は、海軍省から陸軍省へと引継がれ、昭和20年(1945)8月15日の終戦まで管理されました。観音崎一帯は明治14年に要塞となり、一般の人の立入りは禁止になりました。
第一、第二、第三、第四、南門、大浦、三軒家各砲台などや、火薬庫の跡など、今でも石組やレンガ造りの砲台の跡が残っています。
歩きながら、レンガ積みがフランス式かイギリス式かなど、見て歩くのも楽しいでしょう。
階段ではなく坂のほうを上っていくと上の写真のような砲台跡があります。この砲台跡は三軒家砲台跡と言い江戸時代に作られたもので明治時代以降も東京湾の防衛を担う存在だったそうで、この時期はこの美術館のある場所を含む観音崎一帯が一般人立ち入り禁止の要塞だったようです。三浦氏が鎌倉と言う最初の東京の海の守りを担う存在だったとするとこの砲台は人ではないといえ、その役目を引き継いだ存在と考えると興味深いところです。
他の砲台跡などはこちらもどうぞ
電車&バスでGo!その6~デジタルよこすか満喫きっぷで行くMEGURU PROJECT~
最後の夏を迎えた観音崎の象徴ともいえるホテルでティータイム
さて最後に向かったのは今年9月に生まれ変わるために閉鎖される観音崎京急ホテル、長年この地域の象徴的存在として活躍してきた存在にお別れを告げる意味も込めてティータイムとしゃれこみました。
観音崎京急ホテル
2023年共立リゾートの新ホテル開業に向け 観音崎京急ホテルが営業終了・リニューアル
さてそんな観音崎京急ホテルですが最後まで様々な試行錯誤を行ってきたホテルともいえると思います。例えば上のキックボードシェアリングであったり、グランピングなど、きっとこのホテルで行われた試行錯誤の果実は三浦半島の観光をより楽しくしていくものだと思います。
そしてそんな最後の夏も試行錯誤に明け暮れる京急ホテルのティータイムで頼んだのはこちらの緑茶モルゲンタウと甘味のセット、甘味は芋ようかんとしゃれこみました。美術館展示とのコラボメニューで香り豊かな緑茶モルゲンタウと甘さ控えめな芋ようかんはなかなか相性が良くゆったりとしたおいしい時間を過ごすことができました。共立リゾートの新ホテルに生まれ変わっても観音崎を訪れる観光客に愛される施設であってほしいものです。
まとめ~海辺の美術館の愚直な企画
今回の展示は色んなお寺から大きな像を借り受けて展示するという字にすれば簡単ですが、なかなか大変な企画だったと思います。各お寺の個性豊かな住職と交渉し、借り受けて運ぶものも簡単には運べないものだったと思います。そんな中で愚直に努力してお寺との信頼関係を築き、像を運び設置するというどう見ても面倒な準備のために手間を惜しまなかったキュレーターを中心とした美術館関係者の横須賀を盛り上げる為の尽力に感謝しこの記事を終えたいと思います。
お得な切符
よこすか満喫きっぷ | おトクなきっぷ | 京浜急行電鉄(KEIKYU)
デジタルよこすか満喫きっぷ
電車:発駅~フリー区間入口駅の往復、横須賀市内全域の京急線電車(追浜駅~浦賀駅、堀ノ内駅~津久井浜駅)使いたい放題
バス:横須賀駅~中央駅~三笠循環・平成町循環~観音崎のバス路線、JR・京急久里浜~浦賀・東京湾フェリーが使いたい放題(地図)
グルメ:横須賀海軍カレー本舗を含む横須賀のグルメが味わえます。(1名様1回限り)
アクティビティ・お土産:ボードウォークのそばにある温泉、観音崎京急ホテル SPASSOを含む指定の施設・お土産が利用できます。 (1名様1回限り)
値段
三浦半島1DAY・2DAYきっぷ | おトクなきっぷ | 京浜急行電鉄(KEIKYU)
電車:発駅~金沢文庫駅の往復、金沢文庫駅以南の京急線電車使いたい放題
バス:三浦半島地区の指定バス路線が使いたい放題
値段
三浦半島まるごときっぷ | 三浦半島のおトクなきっぷ | 京浜急行電鉄(KEIKYU)
デジタル三浦半島まるごときっぷ
電車・バス:三浦半島2DAYきっぷと同じ
グルメ:横須賀海軍カレー本舗を含む横須賀のグルメが味わえます。(1名様1回限り)
アクティビティ・お土産:ボードウォークのそばにある温泉、観音崎京急ホテル SPASSOを含む指定の施設・お土産が利用できます。 (1名様1回限り)
値段
京急線・京急バス1日フリーパス
電車・バス:京急線全線および京急バス全線(空港・中距離バスを除く)が24時間乗り放題(PASMOで使用可能、泉岳寺駅では購入できませんのでご注意を)
値段:大人3,000円(税込)小児1,500円(税込)
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