コマンド81号を入手

bqsfgame2008-07-11

付録ゲームは、なんと「カイメングリーンは三度甦る」ではないが、あの「パットン第3軍」。
S&Tの付録ゲームとして登場、SPIでボックスゲームに昇格。HJがライセンスでボックスゲームとして出版、とうとう今回が4度目の出版となる。
率直に言って、このゲームを4度も出版するのなら、他に出すものがあるのではないかという気もしないではない。その一方で、このゲームがそれなりに人気もあり出版価値もあるのも事実ではあると思う。個人的な意見を個条書きにしておこう。
1)PGGシステムの進化形として一定の完成に達したシステムを持っている
2)WW2の陸戦作戦級ゲームはどうしても東部戦線のものが多いので西部戦線のものは貴重であり、特にアメリカの誇るパットン将軍が主役と言うのはアメリカでの出版価値を高めている
3)本作の題材メッツ戦役は、要塞防御線への攻勢というPGGシステムのゲームとして扱うには魅力が薄いシチュエーションである
といったところだろうか。
個人的な意見としては、3が非常にいただけない気がする。しかし、どうしたものか、1に記述した優れたゲームシステムである本システムは、なぜか3の問題を抱える戦場に次々に投入され、本シリーズの第2作はオペレーショングレネードだし、東部戦線のプレイアブルビッグゲームとして名高いオペレーションタイフーンも、フルマップ3枚であることを除けば、部分部分の戦局は要塞防衛線への攻勢から始まるので本作と似たようなシチュエーションのゲーム展開からスタートする。
PGG系の進化形態である本システムには、本当はもっと突破展開が図れる余地があり、その一方で土地と時間と部隊のバランスを考える戦略性を要求するようなシチュエーションが最適だと思うのだが、どうしたものか良いものが見当たらない。一番、その要求に近そうなのが「ドライブオンスターリングラード」ということになるだろうか。
ただ、オリジナルに近いPGG系に対する個人的な不満としては、強制ステップロスの結果がないため、防衛ラインの死守価値がないところで平押しするとずるずる後退されるばかりで攻撃側の消耗のみが目立つのが好きではない。だからこそ、一点に集中して突破し、戦闘後前進を利用して部分包囲を実現していくテニクカルなシステム運用が要求され、それこそがPGG原型の醍醐味なのだという主張がなされるのだろう。
あとは好みの問題になると思うが、筆者はPGGファンの主張は理解するけれども、それにしても攻撃側がかなりの戦力を集中して実施した攻撃にあって、防御側はそのダメージをすべて退却のみで賄えて戦力の損害がまったく出ないと言う結果に、どうしてもリアリティを感じることができない。あるいは、そのシステム運用を極めないとリアルな結果を求められないという「ゲームシステム運用」に比重が高いデザインが、あまりにゲーム的に過ぎる気がする。
PGGはウォーゲームシステム進化上の重要なエポックではあると思うのだが、その登場をリアルタイムで感激した諸氏が絶賛する気持ちを重々理解した上で、いまなお同じように絶賛すべき価値があるかどうかは冷静に考える必要があるように思う。そんなことを考えていくと、冒頭に書いた通り本作が4度目の出版を迎えるのであるならば、他にもっと出版して欲しいタイトルがあるのではないかという気がする。
販売作戦という側面もあり版権問題もあり実現が難しいのを承知で好みを言わせてもらえるならば、アメリカが列強に認められるエポックになった米西戦争を陸海ハイブリッドのシステムで扱った「メイン号を忘れるな!」や、ドイツの数少ない海外植民地タンザニアで孤立したドイツ軍の英雄的な奮闘を描く「サイドショウ」などは、是非とも日本語で再出版されて欲しいものだと思っている。マイナー過ぎるだろうか???