偏読老人の読書ノート

すぐ忘れるので、忘れても良いようにメモ代わりのブログです。

「名作うしろ読み」


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「名作うしろ読み」(斉藤美奈子)は「名作」を七つ(「青春の群像」、「女子の選択」、「男子の生き方」、「不思議な物語」、「子どもの時間」、「風土の研究」、「家族の行方」)のカテゴリーに分類し、小説のラストの一文を列挙した「名作案内書」だ。名作の頭はクイズ番組や、引用で知っている人は多いが、ラストの文章はほとんどと言って良いほど知られていない。さらにご親切にも名作の紹介が終った後、これらの小説の終わり方を4つに分類(「閉じた結末、開かれた結末」、「風景が『いい仕事』をする終わり方」、「人が『もうひと仕事』する終わり方」、「語り手がしゃしゃり出る終わり方」)し、作家たちがどうフィニッシュを決めたかを考察し、最後にこう感想を述べている。

 <何しろ一編の最後を飾るフィナーレである。さぞや名文揃いにちがいないと、当初、私は期待しないでもなかった。結論からいえば「着地がみごと決まって拍手喝采」な作品はむしろ少ない。「こ、ここで終わるの?」な作品あり、「この一言は蛇足ちゃう?」な作品あり、書き出しで読書の心をグッとつかみ、フィニッシュをピタッと決めて美しく舞台を去りたい。そう願っても、人生と御暗示で本てのも、そう上手くはいかないのである。>

 う~ん、ナルホド!

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