スペンサーに魅せられて(10)
「灰色の嵐」(ロバート・B・パーカー)
解説で、パーカーのインタビューを引用して、スペンサーシリーズをパーカーがどのように描いているのかを紹介している。
<プロットのことは心配せずに――「背信」であれば、スペンサーが経済犯罪を調査するというテーマだけを決めておいて書きはじめ、平日に十ページずつ書きためておくのだそうだ。それがだいたい午前8時から午後2時まで。「誰がやったか」は、終盤になるまで著者自身にもわからないことがある。とにかく行動を起こし、相手(登場人物)の出方を見ながら考えていく点で、私の執筆方法とスペンサーの調査方法は似通っている。>
なるほど、「攻めて」いるのだ、作者もスペンサーも。
<裕福な婦人からの依頼は奇妙なものだった。娘の結婚式で自分のそばにいてほしいというのだ。スベンサーは引き受け、スーザンとともに孤島に赴く。突然の嵐の中、豪華な招待客を集めた結婚式が強行される。だが武装した一団が襲来し、花嫁を連れ去った。一団を率いていたのは、スペンサーと深い因縁のある灰色男(グレイ・マン)だった。彼らしからぬ犯行。そして婦人の依頼の裏にあるものは?疑惑を抱き、スペンサーは調査を始める>
「盗まれた貴婦人」
ホークが登場しないとわさびのない刺身みたいだ。二人のテンポの良い会話が読み物なのに。
<17世紀の名画「貴婦人と小鳥」が美術館から盗まれ、身代金が要求される。解件を内密に処理したい美術館側の意向を受けた美術史教授のプリンスが受け渡しに赴く。依頼を受けたスペンサーは護衛として彼に同行した。だが受け渡しは失敗、プリンスはスペンサーの眼前で命を落としてしまう。誇りをかけ、無償での調査を開始するスベンサー。だが事件の鍵は名画の来歴に潜む闇の奥に存在した。サスペンスフルに展開する注目作>
「沈黙」
<ネヴィンズ教授は自殺した学生と同性愛関係だったのか?教授の潔白を証明するよう依頼されたスペンサーは、学生がゲイの著名人を暴露するミニコミ誌を作っていた事実を突きとめる。同時にスペンザーは、スーザンの友人の美女KCをストーキングする男の正体も探っていた。だがスペンサーに歪んだ愛情を抱くKCが、執拗に彼につきまとい・・・ただならぬ二つの恋愛事件はスペンサーとスーザンの関係に波紋をなげかける!?>