「日曜日たち」
「日曜日たち」(吉田修一)を再読してみた。この本で初めて吉田修一という作家を知ったのだが、実はもっと面白かった記憶があって読み直してみたのだが、初期の作品のせいか、もう一つパンチが足りないような気がした。その後の作品の面白さを知っているからこそそう思うのだが、それだけ吉田さんが進化していっているということなのだろう。五編の連作短編集だが、共通して登場する家出したらしい子供の兄弟の成長と、その兄弟と交差した男と女の恋物語を描いている。
<きっといつかは忘れてしまう、なのに忘れようとするほど忘れられない。ありふれていて特別なそれぞれの日曜日。東京一人暮らしの男女五人それぞれの物語に同時代の(生=リアル)を映す、長編最高傑作!>
「日曜日のエレベーター」は、アルバイトで暮らしている男と、韓国籍で医師になるための勉強をしている女の交情と別れを描いている。
「日曜日の被害者」は、女友達三人の京都旅行の顛末と、その三人のうちの一人が泥棒被害に遭い、その様子を訊いて平常心でいられなくなる女性の心情を描いている。」
「日曜日の新郎たち」は知り合いの息子の結婚式で上京した父親とその息子の物語。
「日曜日の運勢」は、知り合った女性に自分の運命を翻弄される「断れない男」を
「日曜日たち」は、仕事の都合で故郷に帰ることになった女性が、引っ越し作業を終え、不動産屋に挨拶に行く途中、かつて恋人のDV被害で逃げ込んだ相談所で知り合った子供の兄弟と再会する様を描いている。
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