「天使はモップを持って」
「天使はモップを持って」(近藤史恵)は八つの連作短編集。どうやらこの後シリーズ化されたようだ。
<オペレータールームに配属された梶本大介。その社内では奇妙な事件が発生する。書類紛失、保険外交員墜死、マルチ商法勧誘社員の台頭、派遣女性社員の突然の昏倒、ロッカールームの泥棒、切り裂かれた部長のぬいぐるみ、黒い液体で汚されたトイレ。オフィスを騒がす様々な「日常のミステリー」を女性清掃作業員のキリコがたちまちクリーンにする本格ミステリー。>
「モップの精は深夜に現れる」(近藤史恵)
「キリコ」シリーズの続編。生活上では主婦になったが仕事上では今までのまま(恰好も謎解きも)というのは若干違和感があるが、それでも現代の人情噺としてはまあまあ読ませる。
<「オフィスの本音から真相が見える。」
部下や自分の娘とのコミュニケーションに悩む中年課長。
取引先の仕事や自分の容姿にため息をつく女性ライター。
同じ事務所で付き合っていた男に二股をかけられたモデル。
こんな彼らが遭遇した不可解な事件の謎を女清掃人探偵キリコが解明する本格ミステリー。そして彼女自身の家でもまた頭を悩ます出来事が…>
「モップの魔女は呪文を知ってる」(近藤史恵)
キリコさんシリーズ三作目。四つの短編が収められている。
<名探偵は間違ってはならないし、まじめでけなげな人々がずっと悲惨なままの話というのも(わざと狙ってやるのではない限り)読むのはつらい。好感のもてるシリーズキャラクターが実は犯人だったというのも、やっぱり読者としては受け入れがたい。だから、予定調和というのは物語が物語である限り必要なことだと思っている。それでも、名探偵だって悩むし、ときどき間違うことだってある。キリコちゃんにだってどしゃぶりの日はやってくるのだ。それでも彼女は大切な呪文を知っているし、いろんな人と出会うことで、また新しい呪文を覚えていくのだと思う。どしゃぶりのあと、泥だらけの靴跡をモップでぴかぴかに磨き上げながら。(あとがき)>
「モップの精と二匹のアルマジロ」(近藤史恵)
キリコさんシリーズ四作目で初めての長編。久しぶりに大介さんも登場し、二人して事故で記憶を失った夫と妻との間に起こった問題にぶつかっていく。
<ある日キリコは見知らぬ女性から「夫の浮気を調べてほしい」と頼まれる。ところが思いがけない事故が発生して――。地味な妻と目が覚めるほど美形の夫、どこか不釣り合いな夫婦に秘められた謎に、キリコ&大介の名コンビが迫る本格ミステリー>