「13階段」と「ジェノサイド」
「13階段」(高野和明)は乱歩賞受賞作だが、面白く一気に読めた。死刑制度とその執行の実態が描いてあって、「タメ」になった。冤罪事件をうまく料理してお見事。
野沢尚さんのことは知っていたが、この人も映画やテレビドラマの制作・脚本に関わっていたとは知らなかった。野沢さんもそうだが、高野さんも練り上げられたプロットはさすが脚本を書いていただけのことはあって見事だ。こちらも夜寝る前に読むのは控えた方が良いかもしれない。そう、ついつい読み進んで最後まで読まなければ気が済まなくなるので、次の日がお休みの場合は構わないが、朝早く予定がある人は寝不足になるのでご用心を。
<犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。2人は、無実の男の命を救うことができるのか。>
「ジェノサイド」(高野和明)読み始め、ついついやめられなくなり夜も引き続き読んでいたらとうとう2時近くまでかかって読了した。ご都合主義的なところもあるが、スケールの大きな物語だ。こういう物語を書けるパワーはどこから来るのだろう。好きなんだろうなあ、物語作りが。
<急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。それがすべての発端だった。創薬化学を専攻する大学院生・古賀研人は、その不可解な遺書を手掛かりに、隠されていた私設実験室に辿り着く。ウイルス学者だった父は、そこで何を研究しようとしていたのか。同じ頃、特殊部隊出身の傭兵、ジョナサン・イエーガーは、難病に冒された息子の治療費を稼ぐため、ある極秘の依頼を引き受けた。暗殺任務と思しき詳細不明の作戦。事前に明かされたのは、「人類全体に奉仕する仕事」ということだけだった。イエーガーは暗殺チームの一員となり、戦争状態にあるコンゴのジャングル地帯に潜入する。>
この作者の別の本を読む楽しみが増え、ちょっぴり気分が昂っている。