看守眼
「看守眼」(横山秀夫)は六編の短編を収めた短編集。なかでは警察組織の非情な世界を描いた「午前5時の侵入者」が良かった。スタンダール「赤と黒」の一節の引用も効果的。
「俺は真実を愛した。
それは、どこにある?
至る所に、偽善か、少なくともイカサマがある。
最も徳のある者にさえも。
最も偉大な者にさえも。」
<刑事になるという夢破れ、留置管理係として職業人生を閉じようとしている、近藤。彼が証拠不十分で釈放された男を追う理由とは(表題作)。自叙伝執筆を請け負ったライター。家裁調停委員を務める主婦。県警ホームページを管理する警部。地方紙整理部に身を置く元記者。県知事の知恵袋を自任する秘書。あなたの隣人たちの暮らしに楔のごとく打ち込まれた、謎。渾身のミステリ短篇集。>
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