偏読老人の読書ノート

すぐ忘れるので、忘れても良いようにメモ代わりのブログです。

看守眼

kansyu.jpg

 「看守眼」(横山秀夫)は六編の短編を収めた短編集。なかでは警察組織の非情な世界を描いた「午前5時の侵入者」が良かった。スタンダール「赤と黒」の一節の引用も効果的。


「俺は真実を愛した。

それは、どこにある?

至る所に、偽善か、少なくともイカサマがある。

最も徳のある者にさえも。

最も偉大な者にさえも。」


<刑事になるという夢破れ、留置管理係として職業人生を閉じようとしている、近藤。彼が証拠不十分で釈放された男を追う理由とは(表題作)。自叙伝執筆を請け負ったライター。家裁調停委員を務める主婦。県警ホームページを管理する警部。地方紙整理部に身を置く元記者。県知事の知恵袋を自任する秘書。あなたの隣人たちの暮らしに楔のごとく打ち込まれた、謎。渾身のミステリ短篇集。>

Last Modified :