偏読老人の読書ノート

すぐ忘れるので、忘れても良いようにメモ代わりのブログです。

手跡指南神山慎吾

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昨日読んだのは、「手跡指南神山慎吾」佐藤雅美。お家騒動ものだが、暗く陰湿なものがなくからっと仕上がっている。何より登場人物の経済感覚(お金に対する執着)が面白い。藩の主導権争いが、自分で権力を持ちたいという権力欲でなく、お金欲しさというのがリアルで良い。初期の作品だが、すでに「時代経済小説」の趣があり、数々のエピソードも現代に通じるものがあり、うまくまとまっていて読んで飽きさせない。こういうのを職人芸というのかもしれないが。

 ちなみにタイトルの「手跡指南」とは読み書き算盤を教える(寺子屋というより私塾といったほうが近い)先生。


<公金横領の罪で父が切腹、失意のうちに故郷を捨て、江戸で手習師匠となった神山慎吾。だが幽閉された当主の丹波守から遣わされた使者・加奈の言により、心ならずも暴政吹き荒れる修羅場へ舞い戻る羽目に。奸計、嫉妬の渦巻く中、奮闘する慎吾の前に明らかになった父の死の意外な真相とは!?>

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