男の直観はあてにならない?
夜眠る前に少しずつ読んでいたのが「競馬の人類学」(長島信弘)。30年近く前に一度読んでいるのだが、例によってほとんど忘れている。読んでいて「なるほど」と思ったのは、男性と女性の馬券の買い方の相違だ。
<私も含めて、男たちは家を出る時持っていたお金は「無いもの」と思っている節がある。いいかえれば、これは「競馬用」のお金なんだと決めつけているところがある。ところが女性たちはお金はすべて同じお金、というセンスらしい>
流石に「無いもの」とは考えないが、普通の金銭感覚でなくなることは間違いない。たとえば缶ジュースや缶コーヒーをコンビニで買うのは馬鹿らしいと思う。スーパーでペットボトルを買った方が随分と安く済むからだ。そう、日常生活のなかでは「何十円」かの差にこだわるのだ。ところが、馬券を買うときは1000円単位のお金を「馬鹿らしい」と思わないで使ってしまう。多分に「返ってくるお金」をアテにするからなのだろうが、使って損したとは思わないから不思議だ。だが、損したとは思わないけれど、反省はする。ま、その反省が活かされることはそうそうないのだが。
<ОLギャンブラーの特徴は、男性に比べて勝負にのめりこまないこと。金額の上限を決め、負けたらさっさと止めるしせっかく勝った分を次のレースにつぎこんで結局負けるような愚をおかさない(「日経」夕刊より)>
男性はこのレースが当たったら次のレースでもっと儲けようと皮算用するが、女性はこの馬券が外れたらそのお金で何を買えたかと考えるらしい。どうやらギャンブルにおいても男性はロマン(ここでは穴馬券を的中して大儲けという夢より妄想と言い換えた方が良いかもしれないが)を求め女性は現実的ということのようだ。
最後に筆者が若い女性の競馬ファンの馬券の買い方を聞いた結果について書いている部分を参考までにご紹介しておく。
<まず女性は男性よりもパドック党で自分の目で馬を見ることに関心を持つ。と言っても後肢の踏み込みがどうのとか難しいことは考えない。とにかく「かわいい」のが第一である。姿、形、しぐさ。それに騎手も大事だ。これも成績とは関係なく「かっこいい」のがいいそうだ。馬名も重要。(中略)
新聞も持ってはいるけれど、ていねいには読まないし、負担重量とか上りタイムとかは気にしない。とにかく最終的には「女の直感」が武器であって、それだからこそ、こっちがつい「ウッソー」と叫びたくなるような奇怪な当たり馬券(それも複勝で好配当のもの)を当然のように持っているのだ。>
良いなあ、「女の直感」。男の直感は欲に目がくらんでいるからなあ。大抵は「偏った思い込み」になりがちなんだよなあ。気を付けようっと。