偏読老人の読書ノート

すぐ忘れるので、忘れても良いようにメモ代わりのブログです。

ぴんぞろ

 「まずいスープ」(戌井昭夫)が面白かったので、二冊同時に図書館から借りたのが「ぴんぞろ」と「ひっ」

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「ピンゾロ」は、浅草の路地裏、鄙びた温泉宿でのヌードショーなど、昭和の時代にタイムスリップしたかのような舞台背景に、これまた懐かしい「チンチロリン」が登場してくる。

<浅草・酉の市でイカサマ賭博に巻き込まれた脚本家の「おれ」は、まるでサイコロの目に導かれるように、地方のさびれた温泉街に辿り着く。そこであてがわれたのは、ヌード劇場の司会業。三味線弾きのルリ婆さんと、その孫リッちゃんとの奇妙な共同生活の末に訪れた、意外な結末とは。笑いと哀切に満ちた傑作。>

「笑いと哀切」を期待して読むと… ちょっぴり残念かも。

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「ひっ」は、伯父さんの「ヒサシ」さんがひっさんになった、大人の寓話。私にはこの小説の良さがわからなかった。

<「テキトーに生きろ」。破天荒な伯父の言葉通りに生きていたら、人生どんづまりに。面白すぎる純文学の誕生。

ヤクザの見習い、クラブのボーイ、作曲家を経て、半島に隠棲する伯父の「ひっさん」は身内で唯一の大人の男だった。おれは社会に出たものの、万年正月のような家庭内乞食に堕ち、あぶく銭を手に入れ、インドネパールを彷徨う。悟りも開けず帰国したら……。自由と自堕落、人の生き死にをとことん描く、天衣無縫の傑作長篇。>

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