★★★☆☆
あらすじ
荷台に大量の犬を乗せていた女装した男が逮捕され、精神科医が話を聞くことになる。
フランス映画。114分。
感想
女装して大量の犬を運ぶ男が逮捕されるところから物語が始まる。インパクトのあるスタートだったが、その後どこに向かうのか、しばらくその方向性が見えない時間が続いて、いきなり停滞感があった。
逮捕された男が精神科医の質問に答えることで、その数奇な人生が明らかになっていく。家族に虐待され、犬と共に育ち、やがて大人になった。そんな幼少期を過ごしたら、こんな大人になるのかもなと思わせる内容ではあった。
なかなか興味深い彼の半生に引き込まれていったが、その後の裏世界に足を踏み入れてからの話は、想像していたよりもショボかった。犬を使ってもっと殺し屋的な犯罪をたくさんやったのかと思ったのに、それだけ?と思ってしまうような内容しかなくてがっかりしてしまった。描かれている以上のことはやっていない。
過去の回想が終わり、現在に戻ったところでラストのシークエンスが始まる。自分のやってきた行いを人間ではなく神に問う、ということなのだろうが、あまりピンと来なかった。女装で顔を白塗りするところなどは「ジョーカー」を思い起こさせて、痛快なアクションよりもメッセージ性の強い映画を目指していたのだろう。だが成功していたとは言い難かった。
最初と最後に難がある映画だ。ただ、犬が大活躍する大人の犬映画になっているので、犬好きならもっと楽しめるはずだ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 リュック・ベッソン
出演 ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ/マリサ・ベレンソン
音楽 エリック・セラ